| 派遣労働者の増加
厚生労働省の集計によりますと、平成29年6月1日現在で、派遣労働者数は約156万人、前年比119.4%だそうです。多くは有期雇用で約116万人にもなります。製造業が約28万人、一般事務が約27万人と多く、情報処理・通信技術者が約13万人と続きます。
警備業や建設業に派遣でよくありそうですが、実は従事する人がいません。なぜなら、これらは派遣禁止業務になっているのです。
派遣禁止業務には次の4つがあります。
1 港湾運送業務
2 建設業務
3 警備業務
4 医師・看護師等の医療関連業務
ただし、医療関連業務には例外があります。
例外1 紹介予定派遣の場合
例外2 社会福祉施設等で行われる場合
例外3 産前産後休業・育児休業・介護休業等の代替要員の場合
例外4 一定の僻地での医業の場合
僻地のドクターが派遣ということもあるのですね。どのくらいの人数が派遣されているのでしょうね。
| 派遣元と派遣先の責任
1 労働基準法の責任
派遣労働者も労働者ですから労働基準法が適用されます。このとき、派遣元が責任を負う場合と派遣先が責任を負う場合がありますが、主に派遣元が責任を負います。派遣元が責任を負わないものは派遣先が責任を負います。
① 派遣元と派遣先が責任を負うもの
・強制労働の禁止
・徒弟の弊害廃除
・法令の要旨の周知義務
・申告を理由とする不利益取り扱い禁止
・記録の保存
・報告の義務
② 派遣元が責任を負わないもの
・公民権行使の保障
・労働時間、休憩、休日
・年少者・妊産婦の労働時間等
・年少者・妊産婦の就業制限、坑内労働の禁止
・育児時間、生理休暇
労働時間や休暇などは派遣先しか管理できませんから、派遣元が責任を負わないのも当然かもしれません。
2 労働安全衛生法の責任
労働基準法とは逆に、労働安全衛生法上の責任は派遣先が主に負います。派遣先が責任を負わないものは派遣元が責任を負います。
① 派遣元と派遣先が責任を負うもの
・総括安全衛生管理者の選任など
・衛生管理者の選任など
・産業医の選任など
・安全衛生推進者の選任など
・衛生委員会
・作業内容変更時の安全衛生教育
② 派遣先が責任を負わないもの
・雇入れ時の安全衛生教育
・一般健康診断・保健指導
・面接指導など
雇用の時や健康診断などは派遣元だけが責任を負うのですね。そういうものだと初めて知りました。社労士の勉強は社会勉強にもなっています。
| まとめ
1 派遣労働者数は前年比119%!
2 派遣業には禁止業務があります!
3 労働法上の責任は派遣元と派遣先が分担します!