労働市場のルールは多種多様 ~その9~

今回のシリーズは労働市場のルールをまとめています。。基本法である雇用対策法から始めて職業能力開発促進法までをまとめました。このシリーズは今回が最終回です

今回は求職者への支援についてまとめたいと思います。

 

| 求職者支援法

 

職業訓練を実施するときに一定の求職者には給付金が支給されます。職業訓練を容易にして就職を促進し、求職者の職業や生活の安定を図ることが目的です。

どのような人が給付金をもらえるのでしょうか。法律では、ハローワークで求職の申込をしていて労働の意思と能力があり、職業訓練などが必要だとハローワークに認められた人です。特定求職者と呼ばれているようです。このような方が認定された職業訓練を受講すると給付金がもらえるのです。

職業訓練をしようとする事業者は厚生労働大臣に申請をして認定をもらうことができます。認定をもらうには次の3つの条件のどれかをクリアしなければいけません。

・職業訓練実施計画に照らして適切なものであること

・就職に必要な技能や知識を十分に有していない者に対して効果的なものであること

・その他一定の基準に適合するものであること

認定職業訓練を行う事業者には、予算の範囲内で必要な助成や援助がされます。奨励金が出るかもしれません。

また、ハローワークは特定求職者に対して次のような就職支援計画を作成して、就職支援措置を受けることを指導します。

・職業指導と職業紹介

・特定職業訓練または公共職業訓練など

・その他厚生労働省令で定めるもの

ハローワークが色々と支援をしてくれますが、求職者自らが進んで速やかに職業に就くように努めなければいけないのは言うまでもありませんね。

 

| 労働市場のルールのまとめ

 

労働市場のルールの基本は雇用対策法です。個別の法律は次のようなものがありました。

・職業安定法に基づいてハローワークなどの職業紹介事業者が様々な支援をする

・労働者派遣法で派遣さんのルールを規定する

・高年齢者雇用安定法でシルバー人材センターを作ったり高齢者の雇用の安定を図ったりする

・障害者雇用促進法で障害者の雇用の安定を図る

・職業能力開発促進法で職業の安定と労働者地位向上のために職業訓練を進める

・求職者支援法で一定の求職者に給付金を支給する

紛争解決手段も一般法で定めるほか複数の法律で個別に定められています。

・男女雇用機会均等法:性別差別やマタニティハラスメントなどを紛争調停委員会が調停する

・育児・介護休業法 :育児休業や介護休業などでの紛争を紛争調停委員会が調停する

・パートタイム労働法:短時間労働者に関する紛争を紛争調停委員会が調停する

・障害者雇用促進法 :障害者への差別などの紛争を紛争調停委員会が調停する

男女雇用機会均等法や障害者雇用促進法の調停では、募集や採用についての紛争は解決してくれません。一般法である個別労働関係紛争解決促進法でも募集や採用についての紛争は扱っていません。採用の段階では会社の自由が大きいからでしょうか。

 

| まとめ

 

1 ハローワークで職業訓練を受けると給付金がもらえるかも!

2 派遣・高齢者・障害者などのルールは個別法で!

3 紛争がこじれた場合の解決は紛争調停委員会の調停で!



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労働市場のルールは多種多様 ~その8~

今回のシリーズは労働市場のルールをまとめています。基本法である雇用対策法から始めて障害者雇用促進法までをまとめました。

本日は職業訓練などのルールについてまとめたいと思います。

| 職業能力開発促進法

 

職業訓練はハローワークなどで行われている離職者向けの講習を思い浮かべますが、会社で行われる職業訓練もあります。

職業能力開発促進法は、職業に必要な労働者の能力を開発したり向上させたりすることで、職業の安定と労働者の地位の向上を図っています。経済や社会の発展まで法律の目的になっています。

ハローワークや会社以外でも、労働者が自ら職業に関する教育訓練や職業能力検定を受ける機会もあります。このような施策などを総合的かつ計画的に講ずることが求められています。

 

| 会社内での職業能力開発

 

会社は、労働者が職業能力の開発や向上を図るための機会を確保できるように配慮することになっています。努力義務です。

次のような措置を取ることができます。

・職業訓練を会社または共同して行うほか、他社の設置する施設で行われる職業訓練を受けさせること

・他者の設置する施設で行われる教育訓練を受けさせること

・一定の職業能力検定を受けさせること

・必要に応じて実習併用職業訓練を実施して労働者の職業能力の開発・向上を促進すること

・労働者が目標を定めることを容易にするための情報提供や相談の機会の確保などを行うこと

・労働者の配置その他の雇用管理について配慮すること

・有給教育訓練休暇などの休暇を付与すること

・教育訓練や職業能力検定を受ける時間を確保するために勤務時間の変更・短縮などをすること

“有給教育訓練休暇”と出てきましたが、年次有給休暇として与えられるものは含まれません。有休とは別に与えることになります。

 

| 会社内での職業能力開発計画の作成

 

事業主は、会社内での職業能力開発の措置に関する計画を作成するように努めなければいけません。努力義務です。計画を作成したときは労働者に周知させて円滑な実施に努めなければいけません。こちらも努力義務です。

この契約の作成は会社の規模に関係なく努力義務とされています。

| 職業能力開発推進者の選任

 

会社内での職業能力開発の措置に関する計画の作成や実施、相談、指導などの業務などを担当する“職業能力開発推進者”を選任するように努めなければいけません。これも努力義務です。

 

| まとめ

1 会社内で職業訓練をする場合があります!

2 職業能力開発・向上のためにいくつかの努力義務があります!

3 会社は計画を作成したり責任者を選任したりします!



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労働市場のルールは多種多様 ~その7~

今回のシリーズは労働市場のルールをまとめています。基本法である雇用対策法から始めて高年齢者雇用安定法までをまとめました。

今回は障害者の雇用のルールについてまとめたいと思います。

 

| 障害者雇用促進法

 

近年“障害者”の表記を“障碍者”や“障がい者”とすることがあります。内閣府で検討が行われたりしていろいろな意見があるかと思いますが、障害者雇用促進法では“障害者”となっていますので、この記事では“障害者”と表記します。

さて、障害者雇用促進法は昭和35年に制定された“身体障害者雇用促進法”が元になっています。身体障害者だけでなく障害者全般に雇用の促進政策を拡大することになり、障害者雇用促進法と名前を変えたそうです。

障害者雇用促進法は身体障害者や知的障害者の職業の安定を図っています。たとえば、最近地方自治体などで話題になっている雇用義務、均等な機会と待遇の確保、職業リハビリテーションの措置などがあります。会社などの事業主は身体障害者や知的障碍者の雇入れに努めることになっています。

 

| 障害者の雇用義務

 

労働者を常時雇用する事業所では、身体障害者や知的障害者の数の割合が一定以上でなければなりません。民間事業主の場合には常時50人以上の労働者を雇用している場合に限ります。割合は大きく3つに分けられています。特例もあります。

・一般の民間事業主      : 2.0%

・特殊法人、国、地方公共団体 : 2.3%

・教育委員会など       : 2.2%

精神障害者については雇用義務が課せられていません。精神障害者保健福祉手帳を持っている精神障害者を雇用すると、身体障害者や知的障害者を雇用しているものとみなされます。

また、労働者の総数を数えるときの短時間労働者は0.5人とします。障害者の数を数えるときは次のように数えます。

・重度身体障害者、重度知的障害者          : 2人

・重度身体障害者、重度知的障害者で短時間労働者   : 1人

・精神障害者                    : 1人

・身体障害者、知的障害者、精神障害者で短時間労働者 : 0.5人

 

| 障害者に対する差別の禁止

 

1 募集・採用での差別の禁止

労働者を募集・採用するときに、障害者に対して障害者でない者と均等な機会を与えなければいけません。

2 賃金・教育訓練などでの差別の禁止

賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などの待遇で、障害者であることを理由として不当な差別的取り扱いをしてはいけません。

3 雇用の分野での均等な機会の確保など

募集や採用の場面で均等な機会の支障となっている事情がある場合に、障害者から申し出があるとその支障となる事情を改善するために障害の特性を配慮しなければいけません。また、障害者の能力の有効な発揮に支障となっている事情がある場合には、障害の特性に配慮した措置をしなければいけません。

もちろん、事業主に過度の負担がかかっていては経済的にもマイナスになります。その場合には免除されます。

4 障害者の意向の尊重など

障害の特性に配慮した措置をする場合には、障害者の意向を十分に尊重しなければいけません。相談や対応のために必要な措置も講じなければいけません。

5 助言や勧告など

上の1~4の規定に必要があるときは、厚生労働大臣が事業主に対して助言や指導、勧告をすることができます。

 

| 調整金の支給と納付金の徴収

 

1 障害者雇用調整金の支給

障害者の雇用での経済的負担の調整や雇用促進・継続のために障害者雇用調整金が支払われます。当分の間、常時100人以下の労働者を雇用している場合には適用されません。

2 障害者雇用納付金の徴収

障害者雇用調整金の支給に必要な費用や事務の費用に充てるために障害者雇用納付金が毎年徴収されます。当分の間、常時100人以下の労働者を雇用している場合には適用されません。

 

| 報告など

 

1 障害者の雇用状況の報告

常時50人以上の労働者を雇用している場合には、毎年6月1日現在の障害者の雇用状況を7月15日までにハローワークへ報告します。

2 障害者の雇入れの計画

厚生労働大臣が必要だと認めるときは、法定雇用率を達成していない事業主に対して、障害者の雇入れに関する計画を作成させて実施に関して勧告ができます。正当な理由なく勧告に従わないときは公表されます。

 

| 紛争の解決

 

1 苦情の自主解決

賃金などの待遇で不当な差別があって障害者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関に苦情の処理を委ねるなどして自主的な解決を図るように努めなければいけません。これは努力義務です。

2 紛争の解決の援助

障害者への差別についての紛争について、都道府県労働局長が当事者から援助を求められたときは、必要な助言や指導、勧告をすることができます。

3 調停

賃金などの待遇についての障害者への差別があって、都道府県労働局長の援助の対象になる紛争については、当事者から調停の申請があったときは、都道府県労働局長は紛争調整委員会に調停をさせます。

 

| まとめ

 

1 障害者雇用促進法では全ての障害者が対象!

2 差別の禁止や意向の尊重が主なルール!

3 障害者を雇用するとハローワークへの報告義務があります!



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労働市場のルールは多種多様 ~その6~

今回のシリーズは労働市場のルールをまとめています。基本法である雇用対策法から始めて、前回まで労働者派遣法をまとめました。

今回は高齢者の雇用のルールについてまとめたいと思います。

 

 

| 高年齢者雇用安定法

 

高年齢者雇用安定法と書いていますが、本当の名前は“高年齢者等の雇用の安定等に関する法律”といいます。現在は中高年齢者の就職が難しい状況ですので、再就職等の雇用を推進するために制定されました。この法律にはシルバー人材センターについても記載されています。

高年齢者雇用安定法は、定年の引き上げや継続雇用制度の導入などで高齢者の雇用の確保を推進したり再就職を促進したりして、高齢者の職業の安定や経済の発展に寄与することを目的としています。

 

 

| 定年年齢

 

定年を定めるときは、原則として60歳以上にしなければいけません。ただし、違反をしても罰則はありません。実態としては努力義務だと思われます。

例外もあります。工業法では坑内作業の場合は60歳未満で定年を定めてもOKです。

 

 

| 高年齢者雇用を確保するための措置

 

1 高年齢者雇用確保措置の原則

65歳未満で定年を定めている場合は、55歳以上の高年齢者を65歳まで安定的に雇用するため、次の措置のうちどれかを講じなければいけません。

・定年の引き上げ

・継続雇用制度の導入

・定年の定めの廃止

継続雇用制度は、高年齢者が希望するときには定年後も引き続いて雇用する制度です。

2 企業グループでの継続雇用制度の導入

継続雇用制度は、その会社自体で雇用する場合と企業グループ内で雇用する場合があります。企業グループは、子会社だけでなく親会社の子会社なども含まれます。

3 高齢者雇用推進者の選任

高齢者雇用推進者は、作業施設の改善やその他の諸条件の整備を図るための業務を行います。会社は高齢者雇用推進者を選任するように努めなければいけません。努力義務です。

 

 

| 再就職援助措置

 

常時雇用していて45歳以上65歳未満の労働者を解雇などする場合で、その労働者が再就職を希望するときは、再就職の援助に必要な措置を講ずるよう努めなければいけません。努力義務です。

 

 

| 求職活動支援書の作成など

 

解雇などで離職する45歳以上65歳未満の労働者が希望するときは、職務の経歴や職業能力など、再就職援助措置を明らかにする書面を作成して、離職する労働者に交付しなければいけません。

求職のためにハローワークへもっていくと、記載されている職務の経歴などを明らかにする書面の作成方法を助言してもらえます。

 

 

| 届出・報告

 

1 多数離職の届出

1か月以内に5人以上の高年齢者などを解雇などする場合には、最後の離職者が会社を辞める1か月前までに、ハローワークに届け出なければいけません。

2 雇用状況の報告

毎年6月1日現在の定年や継続雇用制度の状況などを7月15日までに、ハローワークを経由して厚生労働大臣に報告します。

 

 

| シルバー人材センター

 

シルバー人材センターは都道府県知事によって指定を受けた一般社団法人・一般財団法人です。公益社団法人の認定を受けているセンターもあります。いわゆる派遣業で、60歳以上の高齢者が登録をします。臨時的・短期的であったり軽易な業務が主です。

業務内容としては、初歩のパソコン指導や補修教室の講師などの専門技術職、ふすま張りや大工仕事、剪定や左官などの技術職、一般事務やあて名書き、電話番などの事務職など多岐にわたります。家事や福祉の援助、子育て支援などもあります。

 

 

| まとめ

 

1 高年齢者のためのルールが高年齢者雇用安定法!

2 継続雇用や再就職援助など様々な措置があります!

3 シルバー人材センターも高年齢者の雇用の一助に!



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労働市場のルールは多種多様 ~その5~

今回のシリーズは労働市場のルールをまとめています。本日は労働者派遣法の続きをまとめたいと思います。労働者派遣法は今回で最後です。

 

| 派遣先の措置

 

労働者派遣法では、派遣元だけでなく派遣先でもやるべきことが決められています。全部で10個もありますので、簡単にまとめたいと思います。

1 派遣責任者の選任など

5人以上の従業員のいる派遣先では、派遣責任者を選任し、派遣先管理台帳を作成して3年間保存します。派遣さんから苦情があれば派遣元に通知して、誠意をもって遅滞なく適切かつ迅速に処理をします。

2 派遣禁止業務

派遣された方を派遣が禁止されている業務に就かせてはいけません。派遣禁止業務は、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関連業務(例外あり)の4つです。

3 無許可事業者からの派遣受入の禁止

派遣元の事業主は厚生労働大臣の許可を受けた業者でなければいけません。それ以外の業者から派遣さんを受け入れてはいけないことになっています。

4 労働者派遣の提供期間

派遣さんを受け入れることができる期間は3年です。いわゆる3年ルールです。派遣の期間がない例外は次の5つです。

・無期雇用派遣労働者の場合

・60歳以上の派遣労働者の場合

・事業の開始などで、一定期間に完了することが予定されているものや1か月で10日以下の業務

・産前産後休業・育児休業などでその代わりとしての派遣労働者の場合

・介護休業などでその代わりとしての派遣労働者の場合

5 労働者派遣の提供期間の延長

派遣さんを3年を超えて期間を延長したい場合には、意見聴取期間に労働組合などの意見を聞いて3年に限って延長ができます。ただし別の業務でなければいけません。例えば、会計課から人事課への異動などが必要です。

6 特定有期雇用派遣労働者の雇用

組織単位ごとの同一の業務内容に継続して1年以上の間、特定有期雇用派遣労働者の派遣を受けるために労働者を派遣から直接雇用にするときには、継続就業を希望する一定のものを遅滞なく直接雇用するように努めなければいけません。努力義務です。

7 労働契約の申込・みなし制度

次の5つのことを派遣先が行った場合には、同一条件で労働契約の申し込みをしたとされます。ただし、派遣先が5つの行為に該当することを知らなかったことに過失がない場合には、申し込みがなかったことにされます。

・派遣禁止業務に従事させた場合

・無許可事業者から派遣労働者の役務の提供を受けた場合

・派遣可能期間を超えた場合

・期間の延長をせずに3年を超えた場合

・労働者派遣法のルールを免れる目的で請負などの名目で契約を締結した場合(偽装請負など)

8 労働契約の申込・みなし制度の監督

厚生労働大臣は、労働契約の申込をしたとみなされた派遣先が派遣労働者を就労させない場合には、必要な助言や指導、勧告をすることができます。勧告に従わなかった場合には、そのことを公表できます。

9 離職した労働者の派遣での受入の禁止

離職をして1年以内は派遣さんとして就業させてはいけません。

10 労働者派遣契約の解除

派遣先の都合で派遣契約を解除する場合には、新たな就業の機会の確保や休業手当などの支払などが必要です。

 

| まとめ

 

1 派遣元の許可があるかどうかに注意!

2 3年ルールには例外があります!

3 労働契約の申込にみなし制度があります!

4 辞めて1年以内の方を派遣では受け入れられません!



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