| 民法の中身は多種多様
2020年6月までに改正された民法が施行されます。120年ぶりの大改正として一時ニュースにも取り上げられていました。民法改正って言われても法学部の学生や資格試験などで民法を勉強した人以外はよく分かりませんよね?今の民法の基本的な考え方などを書きたいと思います。
民法と一口に言っても、中身は多種多様です。所有権に関するものや契約に関するもの、近隣のトラブル解消法、相続など日常的な事柄の根本的なルールを定めています。簡単に言いますと、契約ごとや事故などの責任について定められたルールですね。
| 民法の背骨は私的自治
民法の基本的な理念は私的自治です。人同士が話し合って自分たちでルールを決めるというものです。ここでは、対等で平等で合理的な選択をする人が念頭に置かれています。このような人は自分に一方的に不利なルールを納得できないので、対案として自分にとって有利な提案をするはずです。そこで折り合いをつけるために話し合って双方が納得できる条件で合意がされることが前提なのです。
私的自治はもう少し具体的に定められています。所有権絶対の原則、契約自由の原則、過失責任の原則の3つです。
所有権絶対の原則は、自分が所有する物は誰にも奪われないし、自分の好きに使ったり処分したりすることができるルールです。現代では当たり前ですが、身分制度のある時代や地域ではとても大切なルールでした。
契約自由の原則は、契約をするかしないか、誰と契約するか、どのような内容で契約するか、どのような様式で契約するかを自由にできるルールです。様式というのは契約書を作るか口頭だけですませるかなどの方法です。
過失責任の原則は、故意や過失があれば責任を取らなければいけないというルールです。交通事故を思い浮かべられるとイメージしやすいかと思います。このルールは契約を守らなかった場合にも適用されます。
| 民法の運用方法のルール
民法自体のルールとは別に、ルールを運用する方法にもルールがあります。ややこしいですね。権利の行使の限界といってもいいかもしれません。信義誠実の原則と権利の濫用です。
信義誠実の原則は、取引関係になった人はお互いに相手の信頼を裏切らないように誠実に行動しなければいけないというルールです。かなりおおざっぱなルールですが、たまに問題になったりします。
権利の濫用は、一見正当な権利の行使でも実質的には社会性に反する場合には権利行使を認めないルールです。こちらもかなりおおざっぱなルールです。
信義誠実の原則も権利の濫用も相手方の信頼を裏切るような行動はダメだというもので、あまり厳密に区別をされないようです。傾向としては、契約に関しては信義誠実の原則、所有権や担保権、親族間については権利の濫用が使われるといわれています。もちろん両方を使った裁判例もあります。
| まとめ
1 改正民法がもうすぐ施行!
2 民法の大原則は私的自治!
3 権利の行使にもルールがあります!