民法ってどんな法律?(物権編②)

| 物権はいくつかに分けられる

 

以前のブログ“民法ってどんな法律?(物権編①)”で書きました通り、民法には9種類の物権が書かれています。実はもう一つありまして、“入会権”という物権もあります。現在ではほとんど利用されていませんので9種類と書かせていただきました。ご了承ください。

これらの物権は大きく2つに分けられます。占有権と本権です。占有権以外の物権は“本権”と呼ばれています。占有権だけが少し変わった物権だと思ってください。

本権の中ではまた2つに分けられます。所有権と制限物権です。所有権だけがモノを全面的に支配する権利ですので特別扱いをされます。

制限物権の中ではまたまた2つに分けられます。用益物権と担保物件です。用益物権はモノを一定の目的のために利用するための権利です。地上権、地役権、永小作権、入会権の4つが用益物権です。担保物権は債権(請求権)を担保するための権利です。留置権、先取特権、質権、抵当権が担保物権です。

 

 

| 物権を手に入れる!

 

物権を取得する方法は2つあります。原始取得と承継取得です。

原始取得は、まだ誰のものでもないものを手に入れたり、時効で手に入れたりしたときに、前主のキズを承継しません。つまり、まっさらの権利を手に入れることができるのです。

承継取得は原始取得と違って、前主のキズを承継します。中古品ですね。モノの売買や相続のときにモノの所有権を取得しますが、その所有権には地役権や抵当権のような権利がくっついている場合があります。この地役権や抵当権がキズです。

逆に、物権を失くしてしまう場合があります。モノが壊れて無くなってしまったり、モノを売ってしまったり、誰かに時効取得されてしまったりした場合です。

 

| 物権は公開されてる!?

 

物権は強力な権利ですので、取引を安全にするために特別な工夫がなされています。

1つは公示の原則です。誰が所有しているのか、権利がどのような状態なのかを他の人にもわかるようにすることを公示と呼んでいます。権利は見えませんから、権利の状態が分からずに取引に入った他人に損害を与えてしまうかもしれません。それを防ぐための方法が公示なのです。

不動産の場合は登記です。法務局に行って申請をすれば誰でも不動産登記を見ることができます。不動産以外のモノ(動産)の場合は引渡です。簡単に言えば持っている人が所有者です。貸し借りがある場合などは違いますけどね。船や飛行機や車は登記や登録制度があります。樹木や農作物には明認方法という公示方法があります。

物権が移転した場合には当事者間ではもちろん有効ですが、他人に物件の移転を主張するためには公示が必要です。民法には177条(不動産)や178条(動産)に、公示のない物権変動は第三者に対抗できないと書かれています。

 

 

| まとめ

 

1 物権はいくつもに分類されます!

2 占有権、所有権は意外に特別な権利!

3 物権は誰でもわかるようになっています!



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連帯保証は怖いって聞くけど…

| 連帯保証って何が違うの?

 

連帯保証人はご存知かと思いますが、内容までご存知でしょうか?連帯保証人になる機会はそれほど多くありませんが、たとえば大学進学などで未成年のお子さんが一人暮らしを始めるときに賃貸住宅を借りる場合には、不動産会社から親御さんに連帯保証人になるよう求められると思います。

連帯保証は単なる保証とは違って、かなり厳しい内容です。もちろん債務者がきちんと支払いをしていれば全く問題ありません。支払いを怠った時に保証人の出番になります。

保証契約の特徴はいくつかあります。まず、債権者と債務者の契約とは別に契約します。しかも書面で契約しなければいけません。また、主たる債務がなくなると保証債務もなくなりますし、主たる債務に生じたことは保証人にも効果を及ぼします(付従性)。債権が譲渡されると保証債務も一緒についていきます(随伴性)。

以上は、単なる保証も連帯保証も共通の事柄です。違うところは2つあります。

1 連帯保証には補充性がない

単なる保証の場合、債務者が支払いを怠って保証人に請求されたとしても、まずは初めに債務者に請求してくれと主張することができます。ところが、連帯保証人はそのような主張ができません。いきなり連帯保証人に請求が来ても支払わないといけないのです。

さらに、単なる保証の場合、保証人が債務者に支払う能力があって簡単に強制執行ができることを証明すると債権者は債務者の財産に強制執行しなければいけません。しかし、連帯保証人はこの主張ができませんので、いくら債務者に財産があっても連帯保証人が支払わないといけないことになっています。

2 連帯保証には分別の利益がない

“分別の利益”という意味はよくわかりませんよね。いわゆる専門用語なのだと思います。分別の利益は保証人が数人いる場合(共同保証)に、原則として各保証人は主たる債務の額を保証人の頭数で割った額を負担することを言います。たとえば、主たる債務が1000万円、保証人が2人いた場合、保証人はそれぞれ500万円ずつ返済すればよいことになっています。

ところが、連帯保証人には分別の利益がありません。ですから、主たる債務が1000万円、連帯保証人が2人いる場合でも、主たる債務者が返済を怠って債権者が連帯保証人に請求してきたときは連帯保証人は1000万円を返済しなければいけないのです。先に書いたとおり、連帯保証人には補充性がありませんから債務者に財産が有っても1000万円を返済することになります。

 

他にも連帯保証の特徴はいろいろとありますが、連帯保証が怖い理由は補充性がないことと分別の利益がないことなのです。請求があれば有無を言わさず全額を返済する義務があるというのですからかなり厳しいですよね。よほど信頼できる人からの依頼でなければ連帯保証人にはならないことが賢明です。

ただ、事業の借り入れの場合はどうしようもありません。法人でも個人事業でも借り入れなく事業を営むことは難しいですから、多くの会社では代表取締役や代表は連帯保証人になっていることでしょう。代表者の方のご苦労・ご心労に頭が下がる思いです。

 

 

| まとめ

 

1 連帯保証は単なる保証とは違います!

2 主たる債務がなくなれば保証債務もなくなります!

3 連帯保証には補充性や分別の利益がありません!



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1人で“できること”と“できないこと”

| 行為能力が制限される

 

前回の記事でも書きましたが、1人で契約をすると契約を取り消されてしまう人たちがいます。未成年者、成年被後見人については前回の記事のとおりです。本日は、残り2つの被保佐人と被補助人について書きたいと思います。

未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人はまとめて制限行為能力者と呼ばれています。昔は行為無能力者と呼ばれていましたが名称が変わりました。また、禁治産者は成年被後見人に、準禁治産者は被保佐人となりました。

被保佐人は、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者で、家庭裁判所の補佐開始の審判を受けた者をいいます。法律の書き方は分かりにくいですね。つまり、一般の人よりも判断力がすごく弱くて裁判所の審判を受けた人です。

判断力がすごく弱いとは言っても、原則として1人で契約ができます。成年被後見人と比べますと、判断力が少しあっていつも判断力が悪いわけではない人ですから、成年被後見人ほど保護をしなくても大丈夫なのです。

被保佐人が1人で契約できるますが、次の9つのことは保佐人の同意がなければいけません。

1 元本の領収、利用

2 借金、保証

3 不動産などの重要な財産の権利の得喪に関すること

4 訴訟

5 贈与、和解、仲裁合意

6 相続の承認、相続放棄、遺産分割

7 贈与の申し込みの拒絶、遺贈の放棄、負担付贈与の申込の承諾、負担付贈与の承認

8 新築、改築、増築、大修繕

9 長期(土地5年以上、建物3年以上)の賃貸借

日常の中ではあまり経験しないことばかりですね。分かりにくいのは3番の“権利の得喪”でしょうか。権利の得喪というのは、たとえば不動産を買ったり売ったりして所有権を得たり手放したりすることです。

7番の負担付贈与は、たとえば“うちの猫の世話をしてくれるならこの時計をあげる”といった〇〇をするならこれをあげるというものです。単に“これをあげる”という贈与ではなくて、“〇〇をするなら”という負担が付いた贈与のことです。

保佐人の同意がない行為は取り消すことができます。

 

 

| 被補助人はどんな人?

 

被補助人は、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者で、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者をいいます。成年被後見人は“能力を欠く常況”、被保佐人は“能力が著しく不十分”、被補助人は“能力が不十分”になっています。これをみると、被補助人は被保佐人よりも軽い状態ですね。

ですから、被補助人は基本的に何でも1人で契約ができます。ただし、家庭裁判所が決めた行為は補助人の同意が必要です。家庭裁判所は、被保佐人が補佐人の同意を得なければいけない9つの行為の中からしか指定できません。上に書いた借金とか訴訟とか新築とかのあの9つの中からです。

補助人の同意がない行為は取り消すことができます。

 

 

| まとめ

 

1 被保佐人は同意が必要な行為が列挙されています!

2 被補助人は裁判所が同意の必要な行為を指定します!

3 被保佐人も被補助人も原則として1人で契約ができます!



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未成年者が契約できないってホント?

| 法定代理人の同意は必要?

 

みなさんご存知のとおり、未成年者は20歳未満の方です。2022年4月1日に改正民法が施行されると未成年は18歳未満になります。

たとえば、未成年者が携帯電話の契約をしようとすると親御さん(法定代理人)の同意が求められます。この同意がないと契約はできません。そうは言っても、未成年者はどんな契約もできないのかと言いますとそうではありません。

学校帰りにお菓子を買って食べている中学生や数人で集まって駄菓子を頬張る小学生を見かけることあります。このお菓子はどうしたのでしょうか?もちろん小学生や中学生が自分だけでお店で買ったものです。

スーパーやお菓子屋で子どもが買い物に来た時には親御さんの同意を求めませんよね?先ほどの携帯ショップとは何が違うのでしょうか。

民法上、原則として未成年者は親御さんの同意なしでは契約はできません。ですから、未成年者だけで携帯電話の契約もできませんし、お菓子も買えないのが原則です。もし契約をしてしまうと後から親御さんに契約を取り消される可能性があります。

しかし、原則には例外があるものです。例外は3つあります。

1つめは、単に権利を得たり単に義務を免れたりする行為は未成年者が単独ですることができます。たとえばタダでモノをもらう場合ですね。

2つめは、親御さんが処分を許した財産の処分です。固い言い方で分かりにくいですが、お小遣いでお菓子を買ったりする行為がコレです。お小遣いは自由に使ってよいという暗黙のルールで渡されます。つまり親御さんがお小遣い(財産)の使い方(処分)を許したのです。ですから、先ほどの中学生や小学生はお小遣いでお菓子を買って食べられたのですね。

3つめは、親御さんから営業を許された場合です。未成年者が起業したという場合には親御さんから営業を許されたのだと思います。

以上から、結論としては未成年者がする契約は原則として取り消しうるが、例外もあるということになります。

 

| 成年被後見人ってなに?

 

未成年者と同じく制限行為能力者という括りには成年被後見人も入ります。この2者以外にも、被保佐人と被補助人があります。

成年被後見人は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者です。さっぱりわかりません。簡単に言い換えますと、認知症などになって大体いつも判断力がない状態になっている人で、家庭裁判所から審判を受けた人のことです。よくあるのは認知症が相当程度進んだ状態でしょうか。このような方は自分が正しいことをしているのか間違ったことをしているのか分かりませんし、周りの状況も理解できていない可能性があります。このような方が結んだ契約は原則として取り消すことができます。

未成年者と大きく違うポイントは、後見人が事前に同意をしても意味がなくて契約を取り消すことができます。未成年者の場合は親御さんの同意があれば有効に契約が成立しましたが、成年被後見人の方がより強く保護されています。また、契約の時に正気に戻っていたとしても取り消すことができます。

ただし、原則にはやはり例外があります。日用品の購入や日常生活に関する行為は取り消すことができません。毎日の食料品の買い物まで取り消せるとなると、誰もお年寄りにモノを売らなくなってしまうかもしれませんものね。

 

 

| まとめ

 

1 未成年者は原則として単独で契約はできません!

2 成年被後見人も原則として単独で契約はできません!

3 両者とも例外があります!



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民法ってどんな法律?(物権編①)

| 物権ってなに?

 

物権にはいくつもの権利が法定されていますが、簡単に言えば“モノに対する権利”で“誰に対しても主張できる権利”です。たとえば所有権は代表的な物権ですが、あなたの持っているボールペンはあなたのもので、誰に対しても自分のものだと主張できます。

民法上の物権は9つあり、全て法律に書かれています。民法その他の法律で規定されている物権以外は認められません。譲渡担保のように担保物件と同じような効果がある権利もありますが、いわゆる物権ではありません。

9つの物権は以下のとおりです。

1 占有権

2 所有権

3 地上権

4 永小作権

5 地役権

6 留置権

7 先取特権

8 質権

9 抵当権

聞いたことがある権利は、占有権、所有権、留置権、質権、抵当権でしょうか。特に所有権や抵当権はなじみのある権利だと思います。

 

 

| 物権ってどんな権利?

 

物権は物に対する直接的・排他的な支配を内容とする権利です。ですから、一個の物には一個の物権しか成立しません。同じ物に同じ複数の物権は認められません。“一物一権主義”と呼ばれている性質です。物の何が一個かは難しい時もありますが、土地は1筆、建物は1棟ですね。

物権にはいくつかの性質や効力があります。どの物権にも認められている性質・効力としては、優先的効力と物権的請求権があります。

優先的効力は、物権と物権、物権と債権の関係がありますが、物権と物権は先に対抗要件(登記や占有)を備えた物件が優先します。物権と債権では物件に優先的効力があります。特に担保物権と債権では債権よりも物権が優先されます。

物権的請求権は、物権が侵害された時に妨害を排除したり予防したりする権利です。妨害されていれば除けるように請求できますし、妨害されそうであれば予防するように請求できます。

このように物件は強力な権利です。直接的・排他的に物を支配できますし、債権にも優先します。ですから、物権は法定されているモノしか認められていないのです。

 

 

| まとめ

 

1 物権は所有権や抵当権のような権利!

2 物件は法定されたものだけ!

3 物件には強力な性質や効力があります!



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