宅建士試験を受験される方は追い込み時期ですね。忘れやすい“法令上の制限”や“宅建業法”の見直しに頑張っておられると思います。
宅建士試験受験生に苦手意識のある“権利関係”の勉強はいかがでしょうか。今回から数回にわたって苦手意識のある“権利関係”のまとめを書きたいと思います。今回は制限行為能力者と意思表示です。
ぜひ、復習や知識整理にお役立てください。
| 制限行為能力者
制限行為能力者ではないのですが、胎児の権利能力について特別な規定があります。一定の場合には胎児に権利能力を認める規定です。3つありますので忘れないでください。
1 不法行為に基づく損害賠償請求
2 相続
3 遺贈
制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、補助人があります。それぞれの法定代理人の権限についてまとめます。代理権については、保佐人と補助人には代理権付与の審判をすることができます。
未成年者の同意を要する行為を挙げます。
1 貸金債権の弁済受領
2 雇用契約
3 割賦購入契約
4 相続の承認・限定承認・相続放棄
5 負担付贈与を受けること
6 解除を受けること
7 婚姻
未成年者で同意があってもなしえない行為もあります。
・養親になること
これだけを覚えておけばOKです。
被保佐人の同意を要する行為を挙げます。
1 元本の領収・利用
2 借財、借財の保証
3 重要な財産の権利の得喪を目的とする行為
4 訴訟行為
5 贈与、和解、仲裁合意
6 相続の承認、放棄、遺産分割
7 贈与の申込拒絶、遺贈放棄、負担付贈与の申込承諾、負担付遺贈の承認
8 新築・改築・増築・大修繕
9 短期賃貸借の期間を超える賃貸借(山林10年、宅地5年、建物3年、動産6か月)
制限行為能力者の相手方を保護する制度として、追認があったとみなす“法定追認”があります。覚えておくと安心です。
1 全部・一部の履行
2 履行の請求
3 更改
4 担保の供与
5 権利の全部・一部の譲渡
6 強制執行
| 意思表示
意思表示には心裡留保や通謀虚偽表示、錯誤など多くの制度があります。何が何だか分からなくなるところですので、まとめておくと覚えやすいと思います。
通謀虚偽表示(94条2項)の第三者には注意が必要です。
1 94条2項の第三者には転得者も含まれます。
2 94条2項の第三者にあたる例
・仮装譲受人からの譲受契約者
・仮装譲受人からの譲受人
・仮装譲受人からの抵当権者
・仮想譲受人の差押権者
・仮想譲受人の破産管財人
・仮想債権の譲受人
詐欺(96条)の第三者は、詐欺による意思表示を前提として新たに利害関係に入った人で、取消前の第三者のことを言います。取消後の第三者は対抗要件(登記)の先後で所有者が決まります。
| まとめ
1 胎児の権利能力はしっかり暗記!
2 法定代理人の権能は丸暗記!
3 意思表示の原則・例外、第三者との関係は必須!