昔から家が建っていたところではご相続した土地に狭い道路や水路の跡が残っていることがあります。法務局でもらえる公図の赤線や青線が里道や水路です。
道路や水路がすでに使われていない場合で、今後も使われる予定がない場合には、道路や水路の用途を廃止して払い下げを受けることができます。
そこで、里道や水路の払い戻し手続をみてみたいと思います。
| 里道や水路ってなに?
里道や水路は公共用財産で、道路法や河川法などの特別法の適用がないものを法定外公共物といいます。里道や水路は法定外公共物の代表的なものです。法務局でもらえる公図では、里道は赤線、水路は青線で書かれています。
法定外公共物は原則として市町村の所有物になっていますので、払下の申請は市町村役場で行います。
里道や水路は市町村の所有物で公有財産ですので、本当は勝手に利用することはできません。自宅内に里道や水路があると、そのままでは売却できないですし住宅ローンを組めなくなる可能性もあります。
そこで、使われなくなっている里道や水路を払い下げてもらうことができます。払い下げには1年程度かかることもありますので、早めに手続きを始められるのをおすすめします。
| 土地の払下手続の流れ
土地を払い下げてもらうには多くの手続きが必要です。大きな流れとしては次のようになります。
1 土地の調査
2 市町村役場への相談
3 現地での測量、境界確定作業
4 市町村役場への用途廃止、払下の申請
5 市町村との売買契約、代金支払
6 土地表題登記、所有権保存登記
7 登記事項証明書を市町村役場へ提出
これらの中でお金がかかるのは、土地家屋調査士に依頼する測量や境界確定作業、土地代金の支払、表題登記や所有権保存登記です。
これらの手続の中で最もキモになるのが境界確定作業です。里道の位置ははっきりと分からないことがあり、境界を復元するために隣接所有者との承諾が必要になります。原則的には、里道や水路の隣接しているすべての所有者のハンコが必要になります。
測量や境界確定作業、表題登記申請は土地家屋調査士、所有権保存登記は司法書士に依頼することになりますが、用途廃止や払下げの申請は行政書士の職務です。払い下げの手続きでは“売払申請書”を提出しますが、いくつかの添付書類が必要です。
1 住民票
2 利用計画書
3 位置図、現況図、実測図など
4 既往使用料債務確認書
既往使用料債務確認書は、里道や水路の上に建物が建っていたりして、里道や水路を使用している場合には使用料が必要ですので過去にさかのぼって使用料を支払わなければいけません。使用料の支払債務を明確にする書面が既往使用料債務確認書です。
これらの手続きには50万円以上の費用がかかります。境界標がなかったり前面道路が私道だったり隣接地の所有者が多数したりした場合は、費用はどんどん増えていきます。
費用や時間が意外にかかりますので、気軽にはできないのが土地の払下です。土地を売却する場合や住宅ローンを利用して建物を建て替える場合などに払い下げを検討することになります。
| まとめ
1 里道や水路があると売却や住宅ローンが組めないかも!
2 土地の払下の手続きは1年以上かかることも!
3 費用は50万円以上かかる覚悟を!