相続した家が空き家だとどうなる?

かなり昔ですが、2017年に全国空き家対策推進協議会に行政書士が参加していることを書きました。“空き家対策に本気!?”という記事です。5年も前ですが、あれからどうなったのでしょうか。空家対策は進んでいるのでしょうか。

今回は、国土交通省の「空き家対策の概要について」という資料の内容をご紹介しつつ、相続した空き家はどうなってしまうのかについて書きたいと思います。

 

 

| 空き家は全国で849万戸!

 

国土交通省の「空き家対策の概要について」によれば、2018年で空き家は全国で849万戸あるとされています。その5年前、2013年は820万戸、さらに5年前は757万戸です。(   )内は空家率。

1988年:394万戸(9.4%)

1993年:448万戸(9.8%)

1998年:576万戸(11.5%)

2003年:659万戸(12.2%)

2008年:757万戸(13.1%)

2013年:820万戸(13.5%

2018年:849万戸(13.6%)

空家数もどんどん増えていますが、空家率も増加しています。

ここで問題になっているのは、賃貸用や売却用の空き家や二次的な住宅(別荘など)を除いた住宅数(その他の住宅)だそうです。

 

 

| 利用されていない空き家も年々増加中!

利用されていない“その他の住宅”も年々増加しているようです。2018年は349万戸、その5年前は318万戸、さらに5年前は268万戸でした。

1988年:131万戸

1993年:149万戸

1998年:182万戸

2003年:212万戸

2008年:268万戸

2013年:318万戸

2018年:349万戸

10年ごとに1.3倍~1.5倍になるペースで増えていっています。この中には相続をした家も含まれていると思います

 

| 利用されていない空き家の多い地域は?

 

国土交通省の「空き家対策の概要について」では、利用されていない空き家率の高い都道府県も公表しています。上位10県を見てみましょう。ちなみに全国平均は5.6%です。

高知県 :12.7%

鹿児島県:11.9%

和歌山県:11.2%

島根県 :10.5%

徳島県 :10.3%

愛媛県 :10.2%

山口県 :9.9%

香川県 :9.7%

宮崎県 :9.1%

三重県 :9.0%

近畿圏では和歌山県が第3位に入っています。近畿ではありませんが、三重県も9%で10位です。2008年の調査結果と見比べてみますと、四国・中国地方や東北地方で利用されていない空き家率が増加しているようです。

 

 

| 放置されている空き家はどうなるの?

 

全国で350万件近い空き家が利用される予定がないようですが、そのまま放置しているとどうなるのでしょうか。

市区町村が行う取り組みとして次のようなものがあります。

1 管理不全の空き家の調査(48.4万件)

2 所有者の特定(46.2万件)

3 助言・指導・勧告、除去・改修などへの補助による除去等(9.7万件)

4 特定空き家としての把握(3.4万件)

5 除去等がなされた特定空き家(1.5万件)

これらの数字から見ると、特定空き家として除去などがされた場合(1.5万件)と特定空き家に指定されていなくても市区町村の働きかけによって除去などがなされた場合(9.7万件)をあわせると、全国で11.2万件もの空き家が除去などなされました。この11.2万件の内、市区町村からの働きかけに応じず、市区町村によって代執行された件数は351件です。

利用されていない空き家は約350万件でしたから、割合としては3%程度です。管理不全の空き家数48.4万件から計算しますと約23.1%にもなります。

管理不全の空き家は、市区町村が「腐朽・破損あり」と把握している住宅数です。2018年度の住宅・土地統計調査では管理不全の空き家は100.6万戸あるとされていますので、市区町村の調査はまだ十分ではないようです。

 

 

| 管理不全の空き家への市区町村の取組

 

市区町村が管理不全の空き家の所有者に対して行う実際の取り組みは次のようなものです。

1 助言・指導

2 勧告

3 命令

4 代執行

助言や指導に対応するかどうかは所有者の任意です。ただ、助言や指導に従わない場合には、より厳しい勧告や命令が発せられる可能性があります。

勧告や命令を無視すると、とうとう代執行されてしまいます。代執行は行政が管理不全の空き家を取り壊し、その費用を所有者に請求するものです。有無を言わさず取り壊されてしまいます。

こうなってしまう前に、所有者自ら解体やリフォームをしたり、賃貸や売却に出す方がよいのではないでしょうか。

もし、相続した空き家が管理不全の空き家として認定された場合には、行政だけでなく不動産屋に相談することをおすすめします。

 

 

| まとめ

 

1 全国の利用していない空き家は約350万戸!

2 利用していない空き家は西日本で増加中!

3 管理不全の空き家は代執行で解体されるかも!



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