2019年行政書士試験 憲法検討 (問題41)

2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。

合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一の検討をしたいと思います。

今回は、2019年の多肢選択式の問題41です。

 

 

| 行政書士試験の憲法検討(問題41)

 

問題1~2は基礎法学ですので割愛します。憲法の択一は問題3~7の5問、多肢選択は問題41の1問です。

 

【問題41】

判例の穴埋め問題です。NHKの最高裁判所の判決を題材にしています。判例問題は論旨の流れが大切です。判決文が長くても、細かいことに惑わされず大きな流れを考えるのがおすすめです。さっそく読んでみましょう。

まずは、放送の意義が書かれています。

次に、放送法の目的ですが、ここに空欄[ア]があります。判例を覚えていなければこれだけで空欄[ア]は埋まらないと思います。

先を読んでみましょう。

放送法の目的を実現するために、“公共放送事業者”と“民間放送事業者”とが啓蒙し欠点を補い、放送によって国民が福祉を享受できるように空欄[イ]を採ることにしたとあります。

“公共放送事業者”と“民間放送事業者”の二つに分けて論じていますから、ここに入るのは10の“二本立て体制”でしょう。

次の文章にも空欄[イ]が登場します。同法は空欄[イ]の一方を担う公共放送事業者として原告(NHK)を設立したとあります。“空欄[イ]の一方”という言い方で、国語的にも“二本立て体制”が入ることが分かります。

ここまでの流れは、放送の意義、放送法の目的、目的実現のための手段という流れです。

次に空欄[ウ]を見てみましょう。目的、業務、運営体制等を前記のように定め、原告(NHK)を民主的かつ空欄[ウ]的な基盤に基づきつつ空欄[ア]的に運営される事業体として性格付け…とあります。

ここではNHKの特徴が書かれています。

国語的に見ていきましょう。~的という言い方に入りそうなのは、9の“自律”、11の“多元”、12の“国際”、14の“全国”、15の“地域”、17の“集中”、20の“営利”くらいでしょうか。

空欄[ウ]では“民主的かつ[ウ]的な基盤”と言っています。民主的と並列していることから、全く異なる言葉が入るとは思えません。民主的というのは、自分たちのことは自分たちで決めることです。

放送の特徴(電波は有限)、放送法の目的(知る権利に資する)、二本立て体制を採用した意図(互いに啓蒙、欠点を補う)を考えると、不偏不党ながら様々な意見を提供することで国民の知る権利に資するようにすることが大切だとされているように思います。

そうすると、空欄[ウ]には11の“多元”が入るのではないでしょうか。

同じ文章にある空欄[ア]を考えましょう。民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ空欄[ア]的に運営される事業体とあります。

目的が書かれている前半部分を読み返してみると、放送局の表現の自由を確保する手段として3つ書かれています。(1)不偏不党の保障、(2)真実の保障、(3)空欄[ア]の保障です。

表現の自由を確保する手段として保障する内容ですので、放送内容について自ら規律を守ることで表現の自由を守ろうとしているように思います。ですので、9の“自律”が入ると思われます。

蛇足ですが、“自立”と“自律”を混同しないようにしてください。自立は“自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやって行くこと”で、自律は“自分の気ままを押さえ、または自分で立てた規範に従って、自分の事は自分でやって行くこと”だそうです。

最後に空欄[エ]を見ましょう。放送法が、NHKにつき空欄[エ]を目的として業務を行うこと及び他人の営業に関する広告の放送をすることを禁止しているとあります。放送法の財源について書かれています。

NHKが放送法で禁止されていることを考えればOKです。NHKで最初に思い浮かぶのは放送で他社の広告がないことですね。もう一つは〇〇を目的としての業務でないことです。

これら2つが禁止されることによって財源が不安になりますが、受信料で賄っています。もうお分かりですね。空欄[エ]には20の“営利”が入ります。

以上から、次のようになります。

[ア]:自律

[イ]:二本立て体制

[ウ]:多元

[エ]:営利

空欄[ア]と空欄[ウ]が難しいように思います。「イ」の二本立て体制と[エ]の営利は正解を選びたいです。

この問題は現場で考える問題だと思います。もちろん判例を知っていれば簡単ですが、注目を集めた最新判例とは言っても一言一句覚えている受験生はいないでしょう。判例を知らなくても埋められる空欄はあります。あとは択一で勉強した知識と理解で乗り切れると思います。

 

 

| まとめ

 

1 判例問題は文章の流れを大切に!

2 憲法でよく出てくる“自立”と“自律”の違いを理解してましょう!

3 国語的に埋められる空欄もあります!



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