2019年行政書士試験 民法検討 (問題27~問題28)

2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。

合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一の検討をしたいと思います。

今回は、2019年の問題27、問題28です。

 

 

| 行政書士試験の民法検討(問題27~問題28)

 

民法の択一は問題27~問題35の9問です。

 

【問題27】

時効の援用に関する問題です。組合せ問題になっています。組合せ問題は、確実にわかる肢に◯や×をつけて消去法で解きましょう。

ア 時効は援用されてはじめて確定的に効果が生じます。基本問題です。

イ 裁判上で時効を援用するには、事実審の口頭弁論終結時までに援用する必要があります。事実審は最高裁判所以外の裁判所で行われる審理です。簡易裁判所、地方裁判所、高等裁判所などですね。口頭弁論は判決が出される前までの審理です。原告と被告がお互いに主張を繰り広げる場です。最高裁判所は法律審と呼ばれていて、事実認定は行いません。

ウ 判決文そのままです。時効の完成によって利益を受ける者は自己が直接に受けるべき利益の存する限度で時効を援用することができます。共同相続人の場合には自分の相続分が時効取得を主張する限度です。

エ 時効の援用権者は、時効によって直接利益を受ける者です。一般的には当事者ですね。その他には、連帯債務者、保証人・連帯保証人、物上保証人、抵当不動産の第三取得者も時効を援用できます。受験生なら覚えておきたい事項です。逆に、時効を援用できない者は反射的利益を受けるに過ぎない者です。たとえば、抵当権の後順位者は先順位の抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できないとされています。

オ 主債務者が破産した場合、保証人が主債務者の時効を援用できるのかは問題になります。主債務者に破産免責決定が確定した場合には、主債務者の時効進行を考える余地がありませんので、保証人は主債務者の消滅時効を援用できません。主債務が免責されると履行や請求などができませんので、時効の進行の起算点がなくなってしまうからです。難しい肢だと思います。

 

【問題28】

代理に関する問題です。妥当でない肢を選びます。この問題は没問になると発表されました。没問ですが、一応検討してみましょう。

1 代理人による詐欺の問題です。原則として、代理行為の意思表示の瑕疵は代理人で判断されます。代理人が善意なら善意、代理人が悪意なら悪意です。ですから、相手方は、本人が詐欺の事実を知らなくても(善意)、代理人による詐欺を理由に取り消すことができます。

2 無権代理行為の追認の催告の問題です。無権代理行為は本人が全く関知しない状態で契約がされています。本人は全く知らないのだから、契約の相手方を名乗る者から追認の催告を受けても無視して放っておくのが通常ではないでしょうか。ですから、この場合には、本人の確答がない場合には追認拒絶とみなされます。

3 代理人が顕名なく権限踰越行為をした場合の問題です。通常の権限踰越の代理行為の場合には、相手方が代理権の範囲内にあると信じることについて正当な理由(善意・無過失)があったときは表見代理が成立します。相手方が本人だと思っていた場合には、本人に過失があると表見代理が成立する可能性があります。

4 復代理の問題です。復代理は代理人が選任しますが、あくまでも本人の代理人です。ですから、受領した目的物を本人に引き渡す義務を負います。では、代理人に引き渡す義務はないのでしょうか。委任契約の義務として代理人に引き渡すことで義務を履行したと言えるとした判例もあります。

5 無権代理行為は、本人が追認するまでの間は取り消すことができます。ただし、相手方が無権代理行為であることを知っている場合(悪意)は取り消すことはできません。問題文の前半部分である“無権代理行為につき、相手方はこれを取り消すことができる”という文章は妥当でないと言える可能性があります。

 

 

| まとめ

 

1 物上保証人などは主債務の時効を援用できます!

2 主債務者が破産した場合の時効の援用の可否は難しい!

3 問題28(代理)は全員正解になるそうです!



ブログランキングに参加しています。ボタンをクリックしていただけると更新の励みになります。右のサイドバーからもぜひ!(スマホの方は下部のバナーから!)


にほんブログ村 企業ブログへ
Translate »