2019年宅建士試験 民法検討 (問6~問7)

2019年の宅地建物取引士試験の合格発表が12月4日にありました。試験問題が公表されましたので、検討してみたいと思います。みなさんが苦手な民法です。

民法の点数が安定すると試験合格がぐっと近づきます。来年の試験まで10カ月ありますから、焦らずじっくりと基礎固めをしていきましょう。

今回は2019年の問6、問7です。

 

 

| 宅建士試験の民法検討 (問6~問7)

 

今回もどんどん前に進みましょう。

 

【問 6】

遺産分割の問題です。正しい肢を選びます。単純な知識問題です。知らなければ解けませんし、知っていれば1分で解けます。

1 被相続人は、遺言によって遺産分割を最長5年間禁止することができます。

2 遺産分割協議は共同相続人の全員の合意があれば何度でもやり直すことができます。

3 預貯金が遺産の場合、相続開始と同時に相続人は持分を取得します。2004年の判例では、原則として預貯金は被相続人の死亡によって相続人に当然に分割されて、遺産分割の対象にならないとされていました。しかし、2016年の決定で、預貯金は相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象になるとしました。理由としては、(1)預貯金は現金と同じように遺産分割の方法を調整する財産であること、(2)預貯金は口座で管理されていて、準共有する共同相続人が全員で解約しない限り、同一性を保持しながら常に残高が変動するものとして存在し、各共同相続人に確定額の債権として分割されることはないこと、(3)定期預金についても預貯金の契約上分割払い戻しが制限されていること、の3つを挙げています。新しい裁判例の知識を問う問題でした。

4 遺産分割協議の効果は相続開始時に遡って生じます。

 

【問 7】

土地売買の代金債務を題材に、弁済に関する総合的な知識を問う問題です。誤っている肢を選びます。易しい肢と難しい肢が混ざっているように思います。

1 代金債務の受領権限のない者に対する弁済は、原則として有効な弁済ではありません。ただし、受領権限のない者が債権者へ弁済金を渡していた場合には有効になります(民法479条)。条文問題ですが知らない受験生が多いと思います。

2 肢1と同じく、代金債務の受領権限のない者に対する弁済は、原則として有効ではありません。債務者が善意無過失であっても同様です。債務者は受領者に対して不当利得返還請求をすることになります。準占有者への弁済と併せて、基本的な知識です。

3 肢2と同様です。準占有者への弁済と併せて、基本的な知識です。

4 売買契約では原則として同時履行です。ですから、履行の提供を受けていないなら代金を支払う必要もないのが原則です。ただし、相手方の引渡債務が履行期にない場合には、代金債務の履行期が到来すると代金を支払わなければいけません(民法533条)。基本的な知識を問われています。

 

 

| まとめ

 

1 遺産分割協議は相続分野でも難しいところ!

2 弁済に関する知識は手薄になりがち!

3 新しい裁判例であっても重要判例はしっかりチェック!



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