2019年の宅地建物取引士試験の合格発表が12月4日にありました。試験問題が公表されましたので、検討してみたいと思います。みなさんが苦手な民法です。
民法の点数が安定すると試験合格がぐっと近づきます。来年の試験まで10カ月ありますから、焦らずじっくりと基礎固めをしていきましょう。
今回は、2019年の問8、問9、問10です。
| 宅建士試験の民法検討 (問8~問10)
今回もどんどん前に進めます。
【問 8】
請負契約に関する問題です。誤っているものを選びます。
1 判例問題です。請負契約の目的物が建物の場合、重大な瑕疵があって建替えしなければいけない場合には、注文主は請負人に対して建物の建替えに必要な費用の損害賠償を請求することができます。建物を壊してから建て替えることになりますので、請負人が貰った報酬額以上の損害賠償額になると思われます。
2 建物や土地の工作物の場合、引渡から5年間、請負人は担保責任を負うのが原則です。ただし、石造、土造、レンガ造、コンクリート造、金属造などの場合には、担保責任の期間は10年になります。20年ではありません。売主の担保責任と混同しないようにしてください。
3 注文者の責任で仕事の完成ができなくなったときは、請負人は注文者に対して全額の報酬を請求でき、未履行部分の仕事を完成する債務も免れます。
4 請負契約は、仕事完成までの間はいつでも損害を賠償して契約を解除することができます。基本的な条文問題です。
【問 9】
時効の中断に関する問題です。誤っているものを選びます。
1 時効の中断理由に“裁判上の請求”がありますが、訴えが却下されたり、請求が棄却されたり、訴えを取り下げた場合には、時効の中断の効力は生じません。
2 肢1のとおり、訴えの却下判決が確定したときには時効の中断の効力は生じません。
3 肢1のとおり、請求棄却の判決が確定したときには時効の中断の効力は生じません。
4 裁判上の和解が成立したときには新たな時効が始まります。金銭債権の場合、一般的には和解のときから10年ですね。表にして整理・暗記すると楽々正解できます。
【問 10】
抵当権の順位の譲渡の計算問題です。正しいものを選びます。順位の譲渡は、抵当権者が他の抵当権者に抵当権の順位を譲渡することです。順位を譲られた抵当権者Dは、順位を譲った抵当権者Bと同じ順位になって優先弁済を受けられます。
まず初めに、順位を譲渡する前の弁済額を計算します。
売却代金は6,000万円。1番抵当権者のBの債権額は2,000万円。2番抵当権者のCの債権額は2,400万円。3番抵当権者のDの債権額は3,000万円です。
B:2,000万円
C:2,400万円
D:1,600万円(残りの1,400万円は一般債権者になります。)
次に、譲渡した抵当権者と譲渡された抵当権者の弁済予定額を合計します。
2,000万円 + 1,600万円 = 3,600万円
3,600万円をBとDで分け合います。DはBに優先して弁済を受けられますから、3,600万円のうち3,000万円をDが弁済を受けます。
3,600万円 - 3,000万円 = 600万円
残りの600万円をBが弁済を受けます。結局は次のとおりの弁済額になります。
B:600万円
C:2,400万円
D:3,000万円
抵当権の弁済額の計算は練習をしておきましょう。抵当権の譲渡・順位の譲渡、抵当権の放棄・順位の放棄、異時配当あたりは、出来るからと面倒くさがらずに繰り返し練習してください。
| まとめ
1 請負契約の担保責任は売主の担保責任と混同しないで!
2 時効の中断理由は表にして整理しましょう!
3 抵当権の弁済額の計算は練習しておかないと間違えるかも!?