2019年宅建士試験 民法検討 (問2~問3)

2019年の宅地建物取引士試験の合格発表が12月4日にありました。試験問題が公表されましたので、検討してみたいと思います。みなさんが苦手な民法です。

民法の点数が安定すると試験合格がぐっと近づきます。来年の試験まで10カ月ありますから、焦らずじっくりと基礎固めをしていきましょう。

今回は2019年の問2、問3です。

 

 

| 宅建士試験の民法検討(問2~問3)

 

早速問題を見ていきましょう。

 

【問 2】

問1とは違って、この問題では土地の買主は登記を備えています。間違っているものを選ぶ問題です。意思表示が絡んだ物権変動の問題です。

1 詐欺です。詐欺の場合には売主は契約の取消ができますが、善意の第三者には取消を対抗できません。この肢では第三者は背信的悪意者ではなく、すでに登記を備えています。背信的悪意者は悪意者と同視できますから、売主は背信的悪意者に取消を対抗できますが、背信的悪意者ではない第三者との間では登記の先後で決着がつきます。第三者はすでに登記を備えていますから、売主は登記なくして土地の返還を請求できません。

2 詐欺です。この肢では、第三者は悪意で登記を備えています。悪意の第三者に対しては詐欺に基づく取消を対抗できますから、売主は詐欺取消を主張して土地の返還を請求できます。

3 錯誤です。錯誤の表意者は無効を主張できますが、重大な過失があるときには表意者自ら無効を主張できません。錯誤によって無効になったときは全ての人に無効を主張できます。もちろん善意の第三者に対しても無効を主張できます。この肢では表意者に重大な過失がありませんので、第三者に対して土地の返還を請求することができます。

4 錯誤です。表意者に重大な過失がある場合には表意者自ら無効を主張できません。この肢では表意者に重大な過失がありますから、第三者に対して土地の返還を請求することはできません。

 

【問 3】

瑕疵担保責任の問題です。正しい肢を選ぶ問題です。引渡から3か月間の瑕疵担保責任の特約がありますが、売主は瑕疵を知っていたにもかかわらず買主にその事実を告げなかったという前提があります。

1 買主が瑕疵を知ったのは引渡から1年後です。瑕疵担保責任の規定(民法570条、566条)によれば、瑕疵を知ってから1年以内であれば損害賠償の請求と解除ができるとあります。この規定と特約との関係を問うています。原則的には法律の規定よりも特約が優先されます。しかし、この肢では、売主は瑕疵を知っていたにもかかわらず買主に告げませんでした。この場合には、特約の規定は適用されずに売主は担保責任を負います(民法572条)。

2 瑕疵担保責任で解除ができるのは、契約の目的が達成できなかった場合だけです。この肢では“契約の目的を達成できるか否かにかかわらず”とあるので、間違っています。

3 瑕疵担保責任で損害賠償請求をする場合には条件がありません。瑕疵担保責任を売主が負う場合には買主は損害賠償請求ができます。ここが瑕疵担保責任による契約の解除とは違うところですね。

4 瑕疵担保責任を負うのは売主です。仲介業者は瑕疵担保責任を負いません。ただし、場合によっては仲介業者が債務不履行として損害賠償責任を負うことはあります。瑕疵担保責任と債務不履行責任は異なる責任ですから、ごちゃ混ぜにしないようにしましょう。担保責任は無過失責任、債務不履行責任は過失責任という点も違いますね。

 

 

| まとめ

 

1 物権変動の問題は制限能力者や意思表示を絡めた問題もあります!

2 担保責任はややこしいのでしっかりと理解しましょう!

3 担保責任と債務不履行責任は異なる制度!



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