フラット35の不正利用!?

| フラット35は居住用だけ

 

住宅金融支援機構が全国の金融機関などに委託して展開している「フラット35」。固定金利で長期間の借入が可能ですので、変動金利が人気の今でも一定の需要があります。新規貸出額のおおよそ10~15%くらいでしょうか。変動金利型はおおよそ50%ほど利用されています。

このフラット35は居住用だけで利用が可能です。投資用には利用できません。ローンを借りる物件に住民票を移していることを証明するために、住民票の提出を求められます。

ところが、投資用に借りていたという不正利用疑惑が発覚しました。約100件もあるみたいです。同様の事例がないかを全ての融資先で調査するだけでなく、投資目的の利用を排除するための審査や実際に借主が住んでいるのかの調査なども行われるそうです。

たとえば、住宅を買ったすぐ後に転勤が決まって、第三者に家を貸し出す場合は認められていますが、居住用と投資用の線引きはなかなか難しそうです。実務上は定期借家契約であればOK、普通借家契約であればNGとされているようです。

 

 

| フラット35の条件は?

 

民間の金融機関に比べてフラット35の有利な点は年収です。一般的には年収400万円くらいが借入のラインになります。ゆうちょ銀行はこれよりも低い年収でも大丈夫な場合がありますが金利は高くなります。フラット35は返済額が年収の30%未満であれば大丈夫です。低所得者でも住宅ローンを借りられるようになっています。

フラット35の金利は固定金利ですが、おおよそ1.3~1.9%です。物件価格の9割以上を借りたり、21年以上のローンを組んだりすると金利は高めになります。変動金利は0.5%くらいですが、最長35年間金利が固定されるというのはうれしい限りです。ちなみに、不動産投資用のローンは4%くらいが多いのではないでしょうか。

 

 

| フラット35を不正利用したらどうなる?

 

疑わしい事例では調査が行われるそうですが、そこで投資目的だと認定された場合、どうなるのでしょうか。厳しいようですが、住宅ローンの一括返済が求められます。返済できないと抵当権を実行されてしまいます。

不正利用だとされた場合には、大急ぎで銀行や信用金庫に相談をして投資用のローンとして借り換えが必要になります。フラット35の金利は1.3~1.9%ですが、投資用のローンは4%くらいですので、単純に2倍~3倍の金利になります。

転勤などのやむを得ない事情の場合以外の、投資目的と認定されそうな事情ではフラット35の住宅ローンを受けるのは控えておいた方がよいと思います。

 

 

| まとめ

 

1 フラット35は固定金利の長期間住宅ローン!

2 フラット35は投資用には使えません!

3 投資用と認定されると一括返済!?



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契約書の担保責任ってなに? ~その3~

| 売買契約の担保責任

 

前回・前々回の記事で売買契約の担保責任は6つあることを書きました。

1 モノの全部が他人のモノの場合

2 モノの一部が他人のモノの場合

3 数や量が足りなかったり一部が滅失したりする場合

4 用益権によって制限されている場合

5 隠れた瑕疵がある場合

6 担保権によって制限されている場合

1と2は前々回、3と4は前回に内容を書いています。“契約書の担保責任ってなに? ~その1~”と“契約書の担保責任ってなに? ~その2~”をそれぞれご参照ください。

今回は、5の隠れた瑕疵がある場合と6の担保権によって制限されている場合を書きたいと思います。今回で売買の担保責任は終わりです。

 

 

| 全然分からなかった不具合はどうする?

 

通常の人は業界の人に比べてモノやサービスに詳しくないので、どこをどのように見たらいいのか分かりません。建物を買うときも同じです。建築士や不動産屋が見れば分かる不具合でも、一般の人が見ても分からない不具合がたくさんあるのではないでしょうか。

そこで、通常の人の注意では知りえない欠陥(隠れた瑕疵)が存在する場合、売主は担保責任を負うことになっています。

買主は契約の解除と損害賠償請求をすることができます。ただ、欠陥を知っていた買主は売る主に何も請求することができません。

 

 

| 土地の抵当権が実行されちゃった!

 

土地を買ったけど抵当権が付いていて、その抵当権が実行されて土地を失ったとき、買主は何を主張できるでしょうか。

実行されるかもしれない抵当権がついていることを知っていたんだし、その分安く買ったんだから、何も請求できないんじゃないの?と思われた方は残念ながらハズレ。

買主が抵当権の存在を知っていても知らなくても、売主に対して契約の解除と損害賠償請求をすることができます。実際の取引では抵当権は抹消することが多いのですが、民法上は抵当権がついたまま取引をすることは通常だとされています。

ここでのポイントは、担保権の実行によって所有権を失ったときという限定付きであることです。

 

 

| まとめ

 

1 隠れた瑕疵があったときは解除と損害賠償請求!

2 担保権が実行されたときも解除と損害賠償請求!

3 担保権の実行の場合は悪意の買主も請求可能!



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契約書の担保責任ってなに? ~その2~

| 売買契約の担保責任

 

前回の記事で売買契約の担保責任の種類を6つ挙げました。

1 モノの全部が他人のモノの場合

2 モノの一部が他人のモノの場合

3 数や量が足りなかったり一部が滅失したりする場合

4 用益権によって制限されている場合

5 隠れた瑕疵がある場合

6 担保権によって制限されている場合

このうち1と2は前回の記事に内容を書いています。“契約書の担保責任ってなに? ~その1~”をご参照ください。

今回は3の数量が足りなかったり一部滅失したりする場合と4の用益権によって制限されている場合を書きたいと思います。

 

 

| 数が足りない!?

 

たとえば瓶ビールを1ダース酒屋さんに注文したとします。酒屋さんは1ダースを配達したつもりでしたが、ビンの1本が空ビンでした。酒屋さんに「1本少ないから持ってきて」と電話すると「あれが最後の1ケースだったので、今日は配達できません」と断られてしまいました。

この場合、売主の担保責任以外にもいろいろ追及できそうですが、ここでは担保責任を考えてみます。

まず、モノが足りないのだから代金を返してよという主張が考えられます。買主が数の足りないことを知っていた場合は主張できませんが、知らなかった場合には主張できます。また、1本足りないことでビールを買った目的が達成できない場合は契約の解除をすることができます。ただし、買主が数量不足を知っていた場合にはやはり主張できません。さらに、損害賠償請求をすることもできますが、数量不足を知っていた買主は主張できません。

数量が足りない場合や一部が滅失している場合には、このことを知っていた買主は売主に何も請求できず、知らなかった買主は代金減額請求、解除、損害賠償請求を主張できます。

 

 

| 使いたくても使えない!

 

たとえば家を建てようと思って土地を買ったのに、その土地は別の人が耕作をしていて使えない場合、どうしたらいいでしょうか。

耕作をしている人が永小作権を持っていて適法に耕作しているなら、土地の買主は家を建てることができません。このように契約の目的を達成できない買主は契約を解除することができます。ただし、別の人が耕作していることを知っていた買主は解除ができません。

また、損害賠償請求をすることもできますが、別人が耕作いていることを知っていた買主は損害賠償請求もできません。

この場合も、用益権による制限を知っていた買主は売主に何も主張できませんが、知らなかった買主は契約の解除と損害賠償請求をすることができます。

 

 

| まとめ

 

1 数が足りない場合は代金減額ができます!

2 使いたくても使えない場合は解除や損害賠償請求ができます!

3 ただし、どちらも悪意の買主は何も主張できず!



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契約書の担保責任ってなに? ~その1~

| 売買契約の担保責任

 

モノを売ると担保責任を負います。担保責任はモノに何かしらの不具合があった場合に、売主が負う責任です。

モノが売買されると、売主と買主はお互いに相手に対して義務を負います。売主から見ますとモノを引き渡す義務、買主から見ますと代金を支払う義務です。モノと代金が同じ価値があるから売買が成立します。

ところが、モノの権利に問題があったりモノ自体に欠陥があったりする場合には、モノの価値は下がります。そうすると、モノの価値に対して多すぎる代金を支払うことになってしまいます。

そこで、この不公平を何とかしようとして定められたルールが売主の担保責任なのです。

売主の担保責任は6個あります。

1 モノの全部が他人のモノの場合

2 モノの一部が他人のモノの場合

3 数や量が足りなかったり一部が滅失してしまったりする場合

4 用益権によって制限されている場合

5 隠れた瑕疵がある場合

6 担保権によって制限されている場合

それぞれを順に書きたいと思います。

 

 

| モノの全部が他人のモノの場合

 

他人のモノを売ることは民法上違法ではありません。買った人に引渡すまでにそのモノを入手できれば問題ないからです。しかし、売主がモノを手に入れることができなかった場合には売主は責任を負います。

どのような責任を負うかは、他人のモノであることを買主が知っていたかどうかによって変わります。買主が知っていた場合、契約の解除と損害賠償ができます。買主が知らなかった場合には契約の解除だけができます。

実は、売主が自分のものだと思い込んでいたけれど実は他人のモノで、それを売主が知らなかった場合には、売主から契約を解除することができます。

 

 

| モノの一部が他人のモノの場合

 

先ほど書いた通り、他人のモノを売ることは民法上違法ではありません。売ったモノの一部分が他人のモノであったとしても同じです。

売主が他人のモノを手に入れることができず、買主に引渡せなかった場合には、買主は売主に代金の減額を請求できます。

また、一部他人のモノであることを買主が知らなかった場合には、損害賠償をすることができます。さらに、契約の目的を達成することができない場合には解除をすることもできます。期間は知ったときから1年です。

買主が知っていた場合には、代金の減額を請求できるだけで解除や損害賠償はできません。しかも、代金減額請求ができる期間は契約から1年です。

 

 

| まとめ

 

1 モノが不完全だった時の責任が担保責任!

2 全部が他人のモノだったときは解除と損害賠償!

3 一部が他人のモノだったときは代金減額請求!



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建物の形が制限される!?

| 建物の高さが決められている!

 

建物の高さが制限されている地域があります。高さが10mか12mが限度になっていますから、3階建ては厳しいです。高さの制限があるのは“低層住居専用地域”です。第1種も第2種もどちらも高さの限度があります。

名前のとおり、高さの低い住居の専用地域ですから当然なのかもしれません。このような地域は、建物の面積を稼ぐために土地が広くないといけませんので、大きな邸宅の並ぶ高級住宅地になっているところが多いです。

 

 

| ビルのような直方体はダメ?

 

低層住居専用地域は絶対的な高さの規制がありましたが、それ以外の地域では“斜線制限”と呼ばれる規制があります。

1 道路斜線制限

道路の反対側の境目から斜めに横1:縦1.25か横1:縦1.5の割合で線を引いたところには建物を建てられない規制です。言葉にすると分かりにくいですが、図を見ると分かりやすいと思います。

2 隣地斜線制限

お隣との土地の境界線から20mか31mだけ縦にまっすぐ線を引いて、そこから横1:縦1.25か横1:縦2.5の割合で斜めに線を引いたところには建物を建てられない規制です。低層住居専用地域にはない規制です。

3 北側斜線規制

北側のお隣さんとの土地の境界線から5mか10mだけ縦にまっすぐに線を引いて、そこから横1:縦1.25で斜めに線を引いたところには建物を建てられない規制です。低層住居専用地域では5m、中高層住居専用地域では10mになっています。

4 日影規制

冬至の日の午前8時から午後4時までの間で、敷地の外に一定時間以上の日影を生じさせてはいけないという規制です。規制の時間は条例で定められています。低層住居専用地域では、軒の高さ7m超や3階建以上の建物が規制対象になっていますし、それ以外の地域(商業地域、工業地域、工業専用地域以外)では高さ10m超の建物が規制対象になっています。

ビルのような直方体の建物は商業地域や工業地域に多いのも納得です。

 

 

| まとめ

 

1 低層住居専用地域は10mか12m以下の建物しかダメ!

2 斜線制限では斜めに切り取った部分には建てられない!

3 日影がよその土地に長時間ある建物もダメな地域も!



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