法律用語の基礎知識 その②

| 民法の言葉も分かりにくい

 

前回、“法律用語の基礎知識 その①”として“又は”と“若しくは”の区別、“並びに”と“及び”の区別、“直ちに”と“速やかに”と“遅滞なく”の区別について書きました。

今回は民法特有の用語について書きたいと思います。民法を勉強し始めて最初の方で躓くのが意思表示のところです。“権利能力”“意思能力”“行為能力”“責任能力”などの能力についてと、“意思表示”“意思の通知”“観念の通知”の違いについてです。

能力については日常生活でも使う言葉かもしれませんが、民法では日常生活での意味と違うかもしれません。意思表示についても民法独特の意味がありますし、意思の通知や観念の通知にいたっては、日常生活で使うことはないのではないでしょうか。

今回は、これらについて簡単に書きたいと思います。

 

 

| “権利能力” “意思能力” “行為能力” “責任能力”

 

1 権利能力

権利能力は人間なら誰もが持っている能力で、出生によって取得し死亡によって消滅する能力です。権利を手に入れたり義務を負ったりするための能力です。民法の教科書などでは“権利義務の主体”という難しい言葉を使って説明されます。

出生によって権利能力を手に入れるということは、生きている間に大金持ちにもなれるし大きな借金を背負う可能性もあるということです。当たり前と言えば当たり前です。死んだら権利能力は亡くなりますから、死んだ後に労働をすることはできませんし、死んだ後の財産は配偶者や子供たちに相続されてしまいます。これも当たり前ですね。

この当たり前のことができる能力が“権利能力”なのです。ちなみに、法人にも権利能力が認められています。法人は“法”律的に“人”とみなされている団体です。ですから、株式会社も土地を買って所有者になることができますし、会社名義で借金をすることもできます。

2 意思能力

意思能力は、自分の行為の結果が分かる能力です。たとえば“アンパンを買う”のは“お金を払って”“アンパンを手に入れる”ということで、お金を失う代わりにアンパンが手に入るということを理解できる能力です。おおよそ10歳くらいの能力だと言われています。

意思能力がない人のした契約は原則として無効です。

3 行為能力

行為能力は、自分だけで契約ができる能力です。行為能力が制限されている人を“制限行為能力者”と呼んでいます。成年行為能力者には、成年被後見人、被保佐人、被補助人、未成年者の4種類あります。

行為能力がない人のした契約は取り消すことができるのが原則です。

4 責任能力

責任能力は、不法行為をしたときにその責任を負うことのできる能力です。何か行動をしたときにその行動の責任が分かるための能力です。たとえば、“人を殴ったらその責任を取らないといけない”という場合には、“人を殴ったら謝罪をするだけでなく治療費を支払ったり慰謝料を支払ったりしなければならない”ことを分かっているかどうかです。

意思能力よりも少し高度な能力だと言われています。13歳くらいの能力でしょうか。

 

予想以上に長くなってしまいましたので、意思表示については次の機会に書きます。

 

 

| まとめ

 

1 権利能力は人間ならみんな持っています!

2 意思能力は10歳くらいの能力!

3 行為能力は未成年者にはありません!

4 責任能力は中学校1年生くらいの能力!



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法律用語の基礎知識 その①

| 法律の文章は分かりにくい

 

必要に駆られて法律の条文を読んだり判例を読んだりしたことはありませんか?法律の文章はとても分かりにくいです。正確に伝えるためにより回りくどく冗長な文章になっています。最近の新しめの法律は、第1条に目的、第2条に用語の定義が書かれていて少しは読みやすくなっていますが、いかんせん基礎知識がない我々には難解この上ありません。

そこで今回は、法律での言葉の使い方や法律用語について書きたいと思います。とはいっても、全ての法律を網羅することは到底不可能ですから、一般的なことや民法に関することを少しだけ忘備録として書きたいと思います。

 

 

| “又は”と“若しくは”

 

日常会話では“又は”も“若しくは”も同じように使っています。どちらかを選択するときに使われますね。「牛または馬」と言ったり「牛若しくは馬」と言ったりした場合、どちらも「牛か馬のどちらか」という意味は変わりません。

ところが法律では少しややこしくなります。まずは基本から。たとえば「牛か馬か豚」という場合には“牛又は馬又は豚”というように書かれています。では、“若しくは”はいつ使うのでしょうか。

大きな括りは“又は”、小さな括りは“若しくは”を使います。たとえば、「弁護士、司法書士若しくは行政書士、又は建設業若しくは宅地建物取引業の代表者」と言った場合、大きな括りとして“弁護士、司法書士、行政書士”のグループと“建設業の代表者、宅地建物取引業の代表者”というグループに分けられます。その中で、それぞれ“弁護士”“司法書士”“行政書士”に、“建設業の代表者”“宅地建物取引業の代表者”に分けられます。

“及び”“並びに”も同じように使われます。“並びに”が大きな括りで、“及び”は小さな括りです。たとえば「弁護士、司法書士及び行政書士及びその補助者並びに建設業及び宅地建物取引業の代表者及び従業員」といった具合です。

 

 

| “直ちに”と“速やかに”と“遅滞なく”

 

法律で届出をしないといけない場合、“速やかに届け出なければならない”とか“遅滞なく届け出なければならない”と書かれていることがあります。7日以内とか14日以内とかはっきりと書かれていればいいのですが、“速やかに”とか“遅滞なく”と言われても漠然としていてよく分かりません。日常生活でもあまり区別をしていないかもしれません。

実はこの区別について裁判例があるのです。“直ちに”が最も即時性が強く、次に“速やかに”、最後に“遅滞なく”になるそうです。“遅滞なく”の場合には正当な理由や合理的な理由があって遅滞した場合には許されると考えられているようです。

イメージとしては“直ちに”は“すぐ”、“速やかに”は“急いで”、“遅滞なく”は“なるべく早く”くらいでしょうか。よく分かりませんが…。

 

 

| まとめ

 

1 法律の文章は分かりにくい!

2 原因は言葉の使い方!?

3 “又は”や“並びに”は大きな括り!



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値段がつかない中古マンションとは?

| マンションを買い替える?

 

大阪では今よく売りに出されているマンションは1980年代に建築されたマンションです。築後30~40年経過していて、管理の仕方にもよりますが長期修繕や建て替えが検討される時期です。リフォームをした街中のマンションで1500~2500万円くらいでしょうか。

中古マンションの価格は、築30年くらい経つと新築時のおおよそ半値で推移すると言われています。もちろん、東京には価格が高騰しているようなプレミアムなヴィンテージマンションもあるようですが、大阪にはそのような物件はほとんどないようです。

 

 

| 中古マンションの価値はなに?

 

1 立地

中古マンションの価格を左右するのは、なにはともあれ“立地”です。都会にあること、駅から徒歩5分以内にあることなどが価格の下がらない理由になっています。以前は、駅から徒歩10分以内であれば“駅近”物件とされていましたが、このようなマンションはマンション全体の約7割もあるそうです。近年は、駅周辺の再開発によって、駅と直結したような徒歩0分や1分といったマンションも売りに出されています。

共働き世帯が増えている現在では、通勤に便利な駅近の物件が多く建てられています。近隣に商業施設があるマンションは買い物に便利ですし子育て世代に人気があります。

近隣に商業施設がなく駅から10分以上の分譲マンションは売るに売れず、売れたとしても売却価格は新築時の半値以下。住宅ローンの残債を支払うことができれば万々歳という場合が多くあるようです。

2 管理

マンションの管理が悪いと売却価格が下がる傾向にあるようです。たとえば、エントランスにある郵便受けにチラシがあふれている、自転車置き場がぐちゃぐちゃになっているなどです。

郵便受けにチラシがあふれているのは長期間空室になっている可能性が高いです。つまり、所有者が住んでおらず賃貸されてもいないのですから、何らかの理由で人気のないマンションの可能性があります。

自転車置き場がぐちゃぐちゃになっているのは管理が行き届いていない証拠です。通常は1戸あたり1台以上の駐輪スペースがあるはずですが、自転車置き場に自転車があふれているのは、住民の人数に対して自転車置き場が足りなかったり住民以外の人が駐輪したりしている可能性があります。

ぐちゃぐちゃの自転車置き場には、往々にしてかごにゴミがポイ捨てされた自転車があったり無断駐輪の自転車があったりします。このような場合は、不審者の侵入を許したり犯罪が起こったりするかもしれません。マンション専用のステッカーの貼付けを徹底されていて台数がきちんと確保されているマンションは安心感があります。

 

 

| まとめ

 

1 マンションは値下がりしても半値程度まで!?

2 商業施設が近く駅まで5分以内のマンションが人気!

3 中古マンション購入時は郵便受けや自転車置き場をチェック!



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終の棲家はマンション!?

| マンションの総合調査を発表

 

国土交通省は「平成30年度マンション総合調査結果」を発表しました。分譲マンションについての調査で、5年に1度行われています。管理組合や区分所有者が対象ですが、回答率が悪く、管理組合が1688件、区分所有者が3211件の回答をしました。回収率は4割くらいでしょうか。

分譲マンションは駅に近いことが多く、近隣に商業施設が多くあります。一戸建よりも便利な立地ですので、都会ではマンションの購入を検討されている方も多いです。マンションはリフォームがされた中古の販売も多いです。マンションは新築・中古をあまり気にせず探されてはいかがでしょうか。

 

 

| マンションに永住する予定は6割超

 

マンションは便利な立地にありますので、居住者の方には高齢者が多いです。分譲マンションでの70歳以上の高齢者の割合は約22%もあります。特に1979年以前に建築されたマンションに居住する70歳代以上の割合は約47%にもなります。若い頃に購入されたマンションにずっと住んでいる方が多いのでしょうね。

70歳代以上の方がこれほど多いのですから、今のマンションに永住するつもりの方も多くなっています。なんと62%以上の方がマンションを終の棲家と考えているようです。高齢者だけでなく子育て世代の若い方にも駅近のマンションは人気ですが、若い方もずっと死ぬまで住み続けるつもりなのでしょうね。

マンションの居住者は高齢化していますが、管理の上での問題は管理組合の役員の選任です。高齢者や若い方ばかりでしたらなかなか役員になってくれる人はいないのではないでしょうか。ずっと同じ方が理事長をしていて業者とズブズブの関係になっているマンションもあるようです。

たとえば、長期修繕計画の修繕積立金の問題があります。25年以上の長期修繕計画に基づいて積み立てをしているマンションは約53%。47%近くのマンションは25年以上先の修繕については考えられていません。また、修繕積立金が不足しているマンションは約34%もあります。積立金が20%以上足りないマンションは約15%。

このような状態を見ますと、中古マンションを購入するときには長期修繕計画と積立金をしっかりと確認した方がよいです。実際に、管理組合の役員さんはお年寄りが多いですし、積立金が厳しい状態だと聞くこともあります。

永住するつもりのマンションを探されていて中古を検討されている方は、安いからと古いマンションに飛びつかずに価格と管理・月々の費用のバランスを気にしてみてください。

 

 

| まとめ

 

1 マンションの総合調査を発表!

2 70台以上のお年寄りが居住者の約22%!

3 修繕積立金が足りていないマンションは約34%!



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空家率は13.6%でほぼ横ばい!?

| 総務省が調査結果を発表

 

4月に総務省が平成30年住宅・土地統計調査の概要を発表しました。この調査は、住宅や居住状況、土地などの実態を把握するために5年毎に実施されています。平成30年の詳細な調査結果は2019年9月の公表予定だそうです。

今回は概要だけですが、政府が行っている調査だけに大規模な調査になっています。なんと約370万住戸・世帯を対象にした調査です。結果を見てみましょう。

 

 

| 空き家の数や率は増加してる?

 

まず、総住宅数から見ていきます。約6242万戸で2013年の調査よりも3%増加しています。増加数は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県など関東が多く、この1都3県で全国の増加数の4割をも占めています。関東の住宅事情はすごいですね。

住宅のうち、一戸建は約53%、長屋建が約2%、共同住宅が約43%です。ほとんどが一戸建か共同住宅ですので、イメージの通りではないでしょうか。門真市には長屋建も多いのですが、全体の数からみると数%なのでしょうね。

空き家の数を見てみましょう。空き家の数は846万戸で2013年よりも3.2%増加しました。ただ、総住宅数が3%増加していますので、空家率は13.6%(0.1%増)とほぼ横ばいです。過去最高になったのは確かですが、思っていたよりも変わらなかった印象です。

空き家の内訳を見てみます。賃貸住宅用が431万戸で2万戸の増加、売却用は29万戸で1万戸の減少、別荘などは38万戸で3万戸の減少だそうです。空き家のまま放置されていて賃貸にも売却にも当てはまらない住宅は347万戸で29万戸の増加です。

賃貸や売却をするような空き家であれば大きな社会的な問題になりませんが、放置されている空き家は社会問題になっています。そのような空き家が1割弱増えているのですから、やはり空き家問題は深刻になってきます。

特に戦後に建てられた古い長屋や昭和56年6月より前に建てられた住宅は耐震に問題がある場合が多いです。このような古い家屋が空き家として放置されることでボロボロになって“危険な空き家”として認識されてしまいます。倒壊の可能性も増えますし、犯罪の温床にもなりがちです。

空き家になっている古い建物をお持ちの方は、早めに取り壊したり土地と一緒に売却したりしてくださいね。市町村では建物診断や耐震工事の費用を補助しているところが多くあります。また、倒壊の危険がある住宅は取壊しの費用の補助をしていることもあります。まずは、市町村や不動産業者に相談してみてください。

 

 

| まとめ

 

1 関東の新築住宅はとびぬけて多い!?

2 住宅は一戸建と共同住宅で97%!

3 空家率は5年前とほぼ同じ!



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