| 初めて読まれる方のために
相続の知識で争族にしないシリーズ第5弾です。少しずつややこしい特殊な事例が増えてきました。前回の特別受益は、結婚時の祝い金や事業立上げ時の祝い金など意外に身近なことかもしれません。
その1~その4は下の記事をクリックしてご参照ください。
簡単にまとめます。
1 同時に亡くなられると相続できません。
2 胎児は相続できます。
3 相続できない“相続欠格”“相続廃除”があります。
4 誰が相続人なのかによって法定相続分が変わります。
5 遺言書で相続分を決めることができます。
6 特別受益者は遺言や遺贈で贈与を受けた人です。
| 寄与分ってなに?
前回の特別受益者は“特別”に利“益”を“受”けた“者”でした。寄与分はその反対です。つまり、相続財産を増やしたり減らないようにしたりしてきた人の相続分です。
寄与分を受け取る人がいる場合には、相続財産の中から寄与分を差し引いてから相続されます。さらに、寄与分を受け取る人は相続分から寄与分を加えて相続します。具体例を見ましょう。
被相続人Aさんは6000万円を遺して亡くなりました。相続人は奥さんのBさん、お子さんのCさんとDさんです。
お子さんのCさんは20年間、家業の八百屋を手伝って店を1店舗から3店舗まで増やしました。売上は5倍、利益は3倍にまで増えています。この20年間で利益を2000万円分増やしました。
奥さんのBさんとお子さんのDさんは、寝たきりになった晩年のAさんを5年間療養看護しました。そのおかげで特別養護老人ホームに必要な費用1800万円の支出を免れました。
このような場合、相続できる額を計算してみましょう。まず遺産の6000万円に増やした利益2000万円と免れた費用1800万円を差し引きます。そうすると相続財産は2200万円になります。
この2200万円を奥さんのBさん、お子さんのCさん、Dさんで分けます。Bさんは半分の2200万円の1/2である1100万円。CさんとDさんはそれぞれ550万円ずつです。
Cさんは生前に2000万円分利益を増やしていますから、550万円に2000万円を加えて2550万円を相続します。BさんとDさんは二人で1800万円の支出を免れさせましたので、それぞれ900万円ずつを加えます。Bさんは1100万円に900万円を加えて2000万円、Dさんは550万円に900万円を加えて1450万円を相続します。
奥さんB :2000万円
お子さんC:2550万円
お子さんD:1450万円
合計 :6000万円
ピッタリと合いました。寄与分があった場合にはこのように計算します。
| まとめ
1 寄与分は相続財産の維持・増加への貢献!
2 寄与分の額は相続財産から差引!
3 相続分で分けられた額に貢献分を加算!