| 認知症になったとき
体験したことをすべて忘れてしまう認知症。認知症にはアルツハイマー型やレビー小体型など種類があります。認知症になると日常生活が困難になりますし、判断能力が低下します。詳しくは“認知症で家族に迷惑をかけたくない!”をご参照ください。
年齢を重ねてくると誰しも認知症になる可能性があります。認知症の人を守るために後見制度があります。特に任意後見制度と家族信託制度は使い方に柔軟性があっていろいろな方に対応できます。家族信託制度については“家族信託という方法”をご覧ください。
任意後見制度には、即効型、将来型、移行型とありますが、認知症になる前からなった後へスムーズに支援ができる移行型がおすすめです。また、任意後見とは別に死後事務委任契約もあると安心です。
死後事務委任契約は、本人が亡くなったときに葬儀の手配や埋葬、支払の清算などを信頼できる人に頼んでおく契約です。何を委任するのかは自由に決められますので、受任者の方と相談しながら決めていくことをおすすめします。
| 亡くなるときの治療はどうする?
老化や病気を原因として不治で末期になったとき、どのような治療を望みますか?治療を続ける、延命だけの治療は拒否するなど様々な選択肢があると思います。新しい薬が開発されたり、画期的な治療方法が見つかったりする可能性を考えて治療を続けることを選択する人もいれば、苦痛を取り除く治療だけを希望して延命措置を断る人もいます。
本人の意思に基づいて、死期を引き延ばすだけの延命措置を断って自然の経過を受け入れる死のことは尊厳死と言われています。尊厳死は本人の意思のみで希望することができますが、実際には面倒を見てくれる人や家族の理解が重要です。医師の中には家族の意見を重視する人もいるからです。
そこで、尊厳死を希望していることを明確にして、面倒を見てくれている人たちに納得してもらうために、尊厳死の意思を書面で残すことができます。手紙のような形で書いてもいいですし、きちんとした書面(公正証書)を作ることもできます。
公正証書で作る場合は“尊厳死宣言公正証書”という名前にすることがあります。内容は、たとえば“あらゆる治療行為に効果が期待できず死への進行が止められなくなったときには延命治療を行わず苦痛を和らげる処置のみを希望し、医師・家族・任意後見人などは私の尊厳死の意思を尊重し安らかな死を迎えられるように配慮してください”と言ったことになります。
尊厳死の宣言を公正証書にしたとしても法律上の効果が生じるわけではありませんが、尊厳死を希望しているという意思がはっきりと明確になります。言った言わないと言った水掛け論や、認知症になった後の書面だなどといった争いを避けることができます。より確実に本人の意思が実行されるといえます。尊厳死を望まれる場合には公正証書で宣言される方法もご検討ください。
| まとめ
1 財産管理委任、任意後見、死後事務委任はセットがおすすめ!
2 延命措置を望まないなら尊厳死宣言で明確に!
3 尊厳死宣言は家族にも相談してください!