専任技術者が突然辞めちゃった…

建設業の許可を取って営むには“人・モノ・金”の要件を満たす必要があります。“モノ(事務所)”や“金”は経営者の頑張りで何とかなりますが、“人”はタイミングなどで簡単にはいきません。特に建設業許可の要件である“専任技術者(専技)”が会社を辞めてしまうと、とたんに会社が危うくなります。

専技が突然辞めちゃった…というときにはどうすればいいでしょうか。

 

 

| 専任技術者って?

 

専任技術者(専技)は営業所ごとに配置する必要がある技術者のことで、専任でなければいけません。専技は一定の資格を持っていたり十分な経験を有していたりする人の中から選任します。

“一定の資格”といっても建設業の業種は多種多様ですので資格も多種多様です。様々な業種に対応しているのは、土木業なら土木施工管理技士(1級、2級土木)、建築業なら1級建築施工管理技士や建築士です。資格さえあれば、該当する業種の専技をいくつも兼任することができます。

“十分な経験”というのは、原則として10年の従業員や職人としての経験です。ただ、1つの資格でいくつもの業種を兼任できたのとは違って、10年の経験では1つの業種でしか専技になれません。

この実務経験を短縮する方法があります。1つは実務経験の振り替え、もう一つは学歴です。実務経験の振り替えでは、一式工事の経験を専門工事の経験に振り替えができる場合と専門工事の間で経験を振り替えができる場合があります。また、学歴は一定の学科を卒業していれば実務経験を3~5年に短縮できます。高卒なら5年、大卒なら3年です。

このようにして、専技になるためには資格か経験が必要なのです。

 

 

| 専任技術者がいなくなったらどうする?

 

専技になるのは簡単ではありませんから、もし専技に会社を辞められてしまうと建設業の許可がなくなってしまいますからとたんに会社の経営が危うくなります。1日でも専技がいない状態はダメなのです。何か対策はあるのでしょうか。

1 会社内で後任者を探す

一番いいのは会社内で後任者が見つかることです。そのためには資格の取得を奨励したり長い年月を働いてもらえたりするような環境を作っておくことです。

2 他社から招聘する

自社内で後任者がいない場合には他社から招聘するしかありません。求人をしてもなかなか見つからないでしょうから、知り合いの方にお願いするのが近道だと思います。他社から招聘する場合には、常勤であることに納得してもらわなければいけません。

3 変更届を提出する

後任者が見つからない場合には、2週間以内に役所へ変更届(専技が在籍していない届出)を提出します。この場合には建設業の許可が取り消されますが、新たに専技が見つかればすぐに建設業の許可の申請をすることができます。また、許可が取り消されても許可のいらない工事の受注は可能です。

4 廃業届を提出する

後任者が見つからない場合、変更届ではなくて廃業届を提出する方法もあります。廃業届は30日以内に役所へ提出します。この場合も許可が必要な工事を請け負うことはできません。

 

 

| 絶対にやってはいけないこと

 

専技がいなくなった場合に絶対にやってはいけないことが2つあります。

1 名義貸し

専技になれる資格を持つ人の名前を貸してもらう行為です。名板貸しはかなり厳しくチェックされます。社会保険の加入、営業所への通勤、給与の額などです。名板貸しで変更届を提出してもバレてしまいますし、もし上手く専技の変更ができたとしてもばれたら許可が取り消されます。

名板貸しで許可が取り消された場合は、許可が取り消されてから5年間は新たに許可を取ることができなくなります。一定の役員が新たに会社を立ち上げて許可を取ることも5年間できなくなります。

2 専技のいないまま放置

専技がいないままで放置しておくと、許可の取り消しの対象になります。許可の更新以外でバレる可能性は低いかもしれませんが、バレると許可が取り消されます。この許可の取り消しも新たに5年間は許可を取ることができなくなります。

 

 

| 会社が危機にならないためには?

 

専技は会社にとって大切な技術者です。専技がいなくなると会社は危うくなります。そこで、その対策として常に後任者がいる状態にしておく必要があります。

たとえば、従業員に資格取得を奨励して資格者を増やしておく、採用のときは指定学科を卒業した人を採用する、従業員が長く働ける環境にしておく、同業他社との人材交流を活発にしておくなどですね。

資格の取得は受験資格に学科の条件があったりしますし、指定学科の卒業生を採用するというのも思うようにはできないでしょう。そこで、運に頼らない方法は従業員が長く働ける環境を作っておくことだと思います。また同業他社との人材交流も大切だと思います。

何かあっても会社に影響がないようにしておくと安心ですね。

 

 

| まとめ

 

1 専技は営業所に必ず一人!

2 専技がいないと許可が取り消されます!

3 人材を大切にして他社との人材交流を活発に!



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