宅地建物取引業者の制限

| 8種制限って何があるの?

 

前回“不動産の売買で手付金は必要?”で8種制限と書きましたが、どんなものがあるのでしょうか?私も宅建士試験で勉強したはずなのですがすっかり忘れてしまっていますので、復習にお付き合いください。

8種制限は“不動産屋(宅地建物取引業者)が売主で、一般消費者が買主”の場合に適用される制限です。一般消費者が売主の場合で不動産屋(宅地建物取引業者)が仲介する場合には適用されませんし、不動産業者同士の売買でも適用がありません。

8種制限は言葉のとおり8種類あります。

 

| クーリングオフ

 

クーリングオフは消費者保護の制度でご存知かと思います。宅建業法では、事務所など以外で申込や契約を締結した場合には、8日以内に限って書面で契約を解除できる制度です。

ただし、8日間という期間は“クーリングオフができることを書面で告げられた日”からになります。クーリングオフの書面での通知は義務ではありませんが、現実には契約書に書かれていると思ってください。

また、引渡と代金全額の支払いが終わったときにはクーリングオフはできなくなります。

 

| 自己の所有に属さない物件売買の制限

 

ちょっと言葉がややこしいですね。自己所有に属さない物件というのは、“他人が所有している物件”と“未完成物件”のことです。

民法では他人物売買が認められていますが、不動産屋が売主になって一般消費者が買主になる場合には原則として売買ができないことになっています。

ただし、例外があります。“他人が所有している物件”の場合には、不動産屋が物件所有者と契約(予約を含む)している場合には買主さんと売買することができます。“未完成物件”の場合には、手付金等の保全措置を講じた場合には売買することができます。

 

| 手付金等の保全措置

 

これは前回の“不動産売買で手付金は必要?”に書きました。未完成物件の場合には手付金等が売買代金の5%または1000万円を超えるとき、完成物件の場合には手付金等が売買代金の10%または1000万円を超えるときには手付金等の保全措置を取らなければいけません。

保全措置には、金融機関との保証委託契約、保険会社との保証保険契約、指定保証機関などによる保管があります。

 

| 手付の制限

 

手付金についても前回の“不動産売買で手付金は必要か?”に書きました。手付金の金額が大きくなりすぎると買主さんによる手付放棄が難しくなりますから解除を抑制することになります。買主さんを保護するため、手付金の金額は目的物の代金の20%が上限になっています。

| 損害賠償予定額の制限

 

損害賠償額の予定や違約金の条項は契約違反をしたときに支払う金額をあらかじめ決めておくものです。8種制限では代金の20%が上限になっています。契約で20%を超える金額を定めている場合には20%として扱われます。

 

| 瑕疵担保責任の特約の制限

民法に定められた瑕疵担保責任は免除する特約も有効ですが、8種制限では免除する特約は無効です。さらに民法の瑕疵担保責任よりも買い手に不利な契約は無効になります。

 

| 割賦販売契約の解除の制限

 

割賦販売は分割払いで売買することです。分割払いで支払いが多少遅れた場合でも不動産屋はいきなり解除することができません。30日以上の相当な期間を定めて書面で催告し、それでも支払いがない場合に限って契約解除や一括返済請求ができるようになります。

 

| 所有権留保の制限

 

所有権留保は代金の支払いが終わるまで売主が買主に登記を移転しないことです。登記が移転していないと、代金が支払われないときに契約を解除して他人に売ることができるので売主に有利です。8種制限では代金の30%の支払いを受けるまでは所有権を留保できますが、30%を超えると登記を移転しなければいけません。

 

以上、8種類の制限を簡単にまとめてみました。一度覚えたつもりでもなかなか身についていないことばかりです。しっかりと頭に叩き込んで業務に活かしたいと思います。

 

| まとめ

 

1 8種制限は不動産屋が売主で一般消費者が買主のときの制限!

2 消費者保護のために不動産屋には多くの制限があります!

3 クーリングオフや割賦販売の解除などは強力な制限!



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