| 経営事項審査で審査されること
経営事項審査では次の5点を審査されます。
1 年間の平均完成工事高
2 自己資本額と平均利益額
3 技術職員数、元請完成工事高
4 労働福祉・法令順守など
5 経営状況
この1~5を書類で申告します。それぞれに分けて提出書類のポイントを書いていきます。
| 提出・添付書類、提示書類の概略
基本的に確定申告書や決算書、社会保険加入を証明する書類を提出します。
1 完成工事高について
工事種類別の完成工事高と元請完成工事高、工事経歴書と上位5件分の契約書などの写しを提出します。完成工事高は次の書類を提示して証明します。
(1) 法人の場合
(あ)法人税の確定申告書(別表一)、決算報告書の損益計算書
(い)消費税の確定申告書の控えと添付書類
(う)消費税の納税証明書(その1)
(2) 個人事業主の場合
(あ)所得税の確定申告書(第一表、第二表)、収支内訳書または青色申告決算書
(い)消費税の確定申告書の控えと添付書類
(う)消費税の納税証明書(その1)
2 自己資本額と平均利益額について
決算変更届の副本一式、直近の変更届の副本一式を提示します。決算報告書では完成工事高以外に資本額や利益額も確認されます。
3 技術職員数、元請完成工事高について
技術職員名簿、継続雇用制度の適用を受けている技術職員名簿、国家資格等を確認する書類の写し(技術職員名簿に書かれている職員)、技術職員実務経験申立書、技術職員の常時雇用が確認できる書類、工事経歴書と上位5件分の契約書の写しを提出します。
国家資格等の確認書類や常時雇用を証明する書類などは細かくなりますので、Q&Aで書きたいと思います。
4 労働福祉・法令順守など
社会保険への加入状況や営業継続の状況などは“その他の審査項目(社会性等)”という書類に記入して提出します。該当する場合はその確認書類を提示しなければいけません。どのような書類で証明するのかはQ&Aに書きたいと思います。
5 経営状況
経営状況分析結果通知書の原本を提出します。建設機械を持っている場合には、保有状況の一覧表も提出します。
| 完成工事高の振替ができる!?
一定の場合には、異なる業種間で完成工事高を振り替えることができます。ただし、振替元の業種は経営事項審査を受けることができません。経営事項審査を受けない業種の完成工事高を上乗せできる制度です。
1 専門工事 → 一式工事
(1)土木一式工事
土木工作物の建設に関する工事を専門工事で請け負った場合、土木一式工事に振り替えることができます。
(2)建築一式工事
建築物の建設に関する工事を専門工事で請け負った場合、建築一式工事に振り替えることができます。
2 専門工事 → 専門工事
次の業種間のみで振替ができます。例外はありません。
“とび・土工・コンクリート工事”と“石工事”“造園工事”
“電気工事”と“電気通信工事”“消防施設工事”
“管工事”と“熱絶縁工事”“水道施設工事”“消防施設工事”
“塗装工事”“屋根工事”と“防水工事”
たとえば、“消防施設工事”は、“電気工事”に振り替えたり“管工事”に振り替えたりできます。ただし、振替元の“消防施設工事”は経営事項審査を受けることができません。
3 一式工事 → 専門工事・専門工事・専門工事・・・
一式工事で請けた工事の完成工事高を、許可を受けた専門工事の完成高に加えることができます。
たとえば、“とび・土工・コンクリート工事”で経営事項審査を受けたいA社があるとします。ところが、“建築一式工事”の完成工事高は十分にあるけれど、専門工事として“とび・土工・コンクリート工事”だけを請け負った完成工事高が少ないのでもっと金額を増やしたい。そんなときには、請け負った“建築一式工事”の一部の“とび・土工・コンクリート工事”A社で施工していたならば、“建築一式工事”の完成工事高を“とび・土工・コンクリート工事”の完成工事高に振り替えることができるのです。
4 専門工事 → 専門工事・専門工事・専門工事・・・
業種に制限があるものの請け負った専門工事の完成工事高を、経営事項審査を受ける専門工事の完成工事高に振り替えることができます。
たとえば、“塗装工事”を請け負ったけれど付随する工事として“防水工事”を行っていた場合、“防水工事”の請負金額を完成工事高に加えることができます。
実際に工事をしているのだからそれも評価しましょう!というわけです。
| まとめ
1 確定申告書・決算書、社会保険加入の書類が多いです!
2 完成工事高は上乗せできます!
3 専門工事同士の振替は業種に注意!