建設業の許可を事例でみる! ~建設業許可申請の書類集め~

| 登場人物と経緯

 

前回まででAさんとCさんは“C塗装株式会社”を設立し、開業届の提出と社会保険の加入手続きを終えました。

Aさん、Bさん、Cさんの経歴とここまでの経緯を簡単にまとめます。

【登場人物と経歴】

〇 Aさん

18歳で塗装業に飛び込み、職人歴40年のベテラン。建設業の許可を取り、事業を息子のCさんに譲りたい。“C塗装株式会社”の取締役。

〇 Bさん

Aさんの奥さん。経理を担当している。“C塗装株式会社”では従業員。

〇 Cさん

Aさんのご子息。職人歴10年超の中堅。今回で職人歴の詳細が明らかに!“C塗装株式会社”の代表取締役。

 

【これまでの経緯】

1 定款の内容を決める

2 印鑑を作る(費用:2万円)

代表者印、銀行印、角印を作りました。

3 定款の作成と認証(費用:10万7200円)

行政書士Dに依頼しました。

4 株式会社の設立登記(費用:20万6100円)

司法書士Eに依頼しました。

5 開業届の提出

税務署、府税事務所、市役所にそれぞれ開業届を提出しました。

6 社会保険の加入

社会保険労務士Fに依頼しました。

 

 

| 新規に法人を設立して許可を取る!

 

7 建設業許可のための書類集め

建設業許可の手引き(大阪府、平成29年11月版)を見ますと、36~39ページに提出書類の一覧表が載っていましたので、これを集めていきます。

(1)確定申告書の第一表と専従者の記載書類

建設業の許可申請では、法人の役員で常勤の者の1人に経営経験が必要です。Aさんの経験で許可申請をします。Aさんは“C塗装株式会社”の取締役ですので、Aさんは個人事業での塗装業の経営経験が5年以上あって条件を満たします。提出書類は確定申告書5年分です。

古いものがなかなか見つからず探し出すのは大変でした。確定申告書の第二表に専従者の記載がありますので、これも一緒に提出します。

 

確定申告書B_雛形_第二表_控え

 

(2)工事経歴書に記載する工事の請求書

“A塗装”は工事を請けるときに契約書を交わしていませんでしたので、注文書を提出することにしました。12か月以上空かないように年1~2件の請求書を10年分です。Aさんの10年間の経営の経験と専任技術者の経験をこの書類で証明します。AさんがC塗装株式会社の取締役として経営業務の管理責任者と専任技術者を兼任します。

注文書の中には、工事内容がはっきりと“塗装”と書かれているものと“塗装”だと分かりにくいものとがありました。府庁の窓口で職員に説明をするのは面倒です。“塗装”と書かれている注文書だけでなんとか10年分を用意できました。

ついでに、直前3年分の年度別工事施工代金額を計算しておきました。

ここで気づかれた方がいらっしゃるかと思いますが、10年間の経験はCさんにもあります。Cさんの職人歴は10年超ですからね。ところが、Cさん、実は高校卒業したあと28歳までの10年間は他所の建設会社でとび職をしていました。“A塗装”で働き出してから3年ですので、“塗装業”としての経験は3年しかありませんし、経営の経験も3年です。ですから、Cさんが個人で許可申請をするのは無理だったのです。Aさんは仕方なくCさんとともに法人を設立したのでした。

 

工事現場などで使われる、手のひらにイボイボが付いた軍手のイラスト

 

(3)定款の写し

近くのコンビニでコピーをしました。

(4)営業所付近の案内図

駅から自宅までの地図を見ながら簡単な手書きの地図を作りました。

(5)営業所の写真

C塗装株式会社の看板がまだありませんので、手書きで紙に書いて玄関に貼ってから写真を撮りました。郵便受けにも“C塗装株式会社”と書いた紙を貼っています。室内は事務所らしく見えるように模様替えをして写真を撮りました。

自宅の全景1枚、事務所の入り口2枚(引きと寄り各1枚)、郵便受け1枚、事務机1枚、電話とFAX1枚、計6枚を用意しました。

 

大きな看板が付いた、会社(大企業)の建物のイラスト

 

(6)法人事業税納税証明書

第1期の決算がまだ終わっていないので、決算未到来の理由書を提出します。パソコンで簡単な書面を作りました。文面はこんな感じです。

「当社は、平成30年6月12日に設立し、決算日が5月31日のため、いまだ第一期の決算期が到来しておらず、貸借対照表及び損益計算書並びに法人税の納税証明書が添付できません。」

 

苦々しい表情で嫌々税金を払っている男性会社員のイラスト

 

(7)登記されていないことの証明書、市町村の長の証明書、商業登記簿謄本、印鑑証明書

Aさんは平日には仕事があって役所に行くことが難しいので、奥さんのBさんに行ってもらいます。申請書は、法務局や市役所のホームページの記載方法や記載例を見ながら見本を作ってBさんに渡しました。これで間違いなく取得できるはずです。

会社の謄本と印鑑証明書は司法書士が取ってくれていましたので、これを使います。

AさんとCさんの分を取得できました。

(8)資本金を振り込んだ通帳のコピー

自己資本の額が500万円以上あることを証明するために、資本金を振り込んだF銀行G支店の通帳をコピーして提出することにしました。

 

シンプルな緑色の通帳のイラスト

 

(9)常勤性の確認書類

Aさんが経営業務の管理責任者と専任の技術者を兼任しますので、Aさんの書類を提出します。必要書類は以前にまとめたものを再掲します。

 

建設業許可_常勤性の証明必要書類一覧表

 

AさんはまだC塗装株式会社の健康保険証を受け取っていませんし、C塗装株式会社の役員として住民税を納めてもいません。ですので、特別徴収切替申請書と役員報酬に関する役員会議事録を提出することにしました。

ここでAさんはある事に気づきます。

(10)特別徴収切替申請書

実はまだ特別徴収への切替申請をしていませんでした。慌てて奥さんのBさんに市役所へ行ってもらい、特別徴収の切替をしました。受付印のある申請書の控えを受け取りましたので、これを提出します。特別徴収した府民税・市民税の特例の申請書も提出しました。

手引きのしっかりと読んでおかなければいけなかったのに、事前準備を怠って失敗してしまいました。府庁での受付のときに指摘されなかっただけよかったと前向きに考えることにします。

 

 

| まとめ

 

1 確定申告書と工事経歴の証拠書類は集めるのが大変!

2 書類集めのときに手続の不足が発覚することがあります!

3 営業所の写真は多めに撮って提出するのがおすすめ!

4 会社の名前は郵便受けにも貼っておくことを忘れずに!



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