相続の知識で争族にしない ~その6~

| 初めて読まれる方のために

 

相続の知識で争族にしないシリーズ第6弾です。特別受益や寄与分など分かりにくく馴染みのない制度が続いています。分かりにくいことを分かりやすくお伝えするように頑張っています。見捨てずに見守っていただけると幸いです。

その1~その5は下の記事をクリックしてご参照ください。

相続の知識で争族にしない ~その1~

相続の知識で争族にしない ~その2~

相続の知識で争族にしない ~その3~

相続の知識で争族にしない ~その4~

相続の知識で争族にしない ~その5~

簡単にまとめます。

1 同時に亡くなられると相続できません。

2 胎児は相続できます。

3 相続できない“相続欠格”“相続廃除”があります。

4 誰が相続人なのかによって法定相続分が変わります。

5 遺言書で相続分を決めることができます。

6 特別受益者は遺言や遺贈で贈与を受けた人です。

7 寄与分は相続財産を増やしたり減らないようにしたりした額です。

 

 

| 遺産分割ってどうやるの?

 

相続人が決まって、相続分も計算しました。次は実際に遺産を分配する作業です。これを遺産分割と言います。

遺産分割協議は、相続人が話し合いをして誰がどの遺産を相続するのかを決めることです。もし協議がうまく整わなかったときは家庭裁判所の審判で分割することもできます。

遺産分割の方法には次の3つがあります。

1 指定分割

被相続人が遺言で分割の方法を決めた場合です。相続分を決めることもできますし、一定期間遺産を分割しないようにすることもできます。遺産の分割を禁止しても相続人全員の合意があると遺産分割ができるようです。

2 協議分割

指定分割がない場合には相続人全員で話し合いをして誰がどの遺産を相続するのかを決めます。

3 家庭裁判所の審判

遺産分割協議が整わなかったときや行方不明者がいて遺産分割協議ができないときには、家庭裁判所に遺産の分割を請求することができます。

 

 

| 遺産分割をするといつから自分のものになるの?

 

遺産を分割すると、相続開始のときに遡って相続があったことになります。つまり、被相続人が亡くなったときに相続をしたことになるのです。

問題になるのは、賃貸マンションなどの収益物件を相続した場合に、賃料は相続開始からマンションを相続した人のものになるの?というところです。

たとえば、被相続人Aさんには、奥さんのBさん、お子さんのCさん、Dさんがいたとします。Aさんは2019年2月15日に亡くなり、遺産分割がなされたのが2019年4月1日でした。奥さんのBさんは賃貸マンション(家賃5万円、5部屋)を相続し、お子さんのCさんは株券などの有価証券を相続し、お子さんのDさんは預貯金を相続しました。

Bさんは賃貸マンションを相続していますから、Aさんが亡くなったときからBさんは賃貸マンションのオーナーです。では、Aさんが亡くなった2月15日から遺産分割された4月1日までの1か月半の家賃(375,000円)はBさんのものなのでしょうか?

実は、賃貸マンションと家賃は別のもので、Bさん、Cさん、Dさんの三人は相続分に応じて1か月半の家賃(375,000円)を分けることになるのです。Bさんは1/2の187,500円、CさんとDさんは1/4の93,750円ずつを相続します。

 

 

| まとめ

 

1 遺産分割には3つの方法があります!

2 相続は被相続人が亡くなったときから!

3 収益マンションを相続しても賃料は相続分だけ!



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相続の知識で争族にしない ~その5~

| 初めて読まれる方のために

 

相続の知識で争族にしないシリーズ第5弾です。少しずつややこしい特殊な事例が増えてきました。前回の特別受益は、結婚時の祝い金や事業立上げ時の祝い金など意外に身近なことかもしれません。

その1~その4は下の記事をクリックしてご参照ください。

相続の知識で争族にしない ~その1~

相続の知識で争族にしない ~その2~

相続の知識で争族にしない ~その3~

相続の知識で争族にしない ~その4~

簡単にまとめます。

1 同時に亡くなられると相続できません。

2 胎児は相続できます。

3 相続できない“相続欠格”“相続廃除”があります。

4 誰が相続人なのかによって法定相続分が変わります。

5 遺言書で相続分を決めることができます。

6 特別受益者は遺言や遺贈で贈与を受けた人です。

 

 

| 寄与分ってなに?

 

前回の特別受益者は“特別”に利“益”を“受”けた“者”でした。寄与分はその反対です。つまり、相続財産を増やしたり減らないようにしたりしてきた人の相続分です。

寄与分を受け取る人がいる場合には、相続財産の中から寄与分を差し引いてから相続されます。さらに、寄与分を受け取る人は相続分から寄与分を加えて相続します。具体例を見ましょう。

被相続人Aさんは6000万円を遺して亡くなりました。相続人は奥さんのBさん、お子さんのCさんとDさんです。

お子さんのCさんは20年間、家業の八百屋を手伝って店を1店舗から3店舗まで増やしました。売上は5倍、利益は3倍にまで増えています。この20年間で利益を2000万円分増やしました。

奥さんのBさんとお子さんのDさんは、寝たきりになった晩年のAさんを5年間療養看護しました。そのおかげで特別養護老人ホームに必要な費用1800万円の支出を免れました。

このような場合、相続できる額を計算してみましょう。まず遺産の6000万円に増やした利益2000万円と免れた費用1800万円を差し引きます。そうすると相続財産は2200万円になります。

この2200万円を奥さんのBさん、お子さんのCさん、Dさんで分けます。Bさんは半分の2200万円の1/2である1100万円。CさんとDさんはそれぞれ550万円ずつです。

Cさんは生前に2000万円分利益を増やしていますから、550万円に2000万円を加えて2550万円を相続します。BさんとDさんは二人で1800万円の支出を免れさせましたので、それぞれ900万円ずつを加えます。Bさんは1100万円に900万円を加えて2000万円、Dさんは550万円に900万円を加えて1450万円を相続します。

奥さんB :2000万円

お子さんC:2550万円

お子さんD:1450万円

合計   :6000万円

ピッタリと合いました。寄与分があった場合にはこのように計算します。

 

 

| まとめ

 

1 寄与分は相続財産の維持・増加への貢献!

2 寄与分の額は相続財産から差引!

3 相続分で分けられた額に貢献分を加算!



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相続の知識で争族にしない ~その4~

| 初めて読まれる方のために

 

相続の知識で争族にしないシリーズ第4弾です。その1~その3は下の記事をクリックしてご参照ください。

相続の知識で争族にしない ~その1~

相続の知識で争族にしない ~その2~

相続の知識で争族にしない ~その3~

簡単にまとめます。

1 同時に亡くなられると相続できません。

2 胎児は相続できます。

3 相続できない“相続欠格”“相続廃除”があります。

4 誰が相続人なのかで法定相続分が変わります。

5 遺言書で相続分を決めることができます。

 

 

| 特別受益者ってなに?

 

特別受益者は、被相続人から贈与を受けていたり遺言で遺贈を受けたりした人のことです。“特別”に利“益”を“受”けた“者”ですね。特別受益者は必ず相続人でなければいけません。

特別受益者がいる場合には、相続財産の中に贈与や遺贈の財産の価額を加えてから相続されます。さらに、特別受益者は相続分から贈与や遺贈で受けた額を差し引きます。ややこしいですね。具体例で考えてみましょう。

被相続人Aさんは6000万円を遺して亡くなりました。相続人は奥さんのAさん、お子さんのBさんとCさんです。

お子さんのBさんは個人事業を営んでいますが、事業に必要な資金1400万円をAさんから譲り受けました。お子さんのCさんは結婚するときにAさんから200万円を貰いました。

このような場合、相続する額はいくらになるのでしょうか。まず遺産6000万円に生前贈与をした1400万円と200万円を加えます。そうすると相続財産は7600万円になりました。

この7600万円を奥さんのBさん、お子さんのCさん、Dさんで分けます。Bさんは7600万円の1/2である3800万円。CさんとDさんはそれぞれ1900万円です。

Cさんは生前に1400万円の贈与を受けていますから、1900万円から1400万円を差し引いた500万円が相続する額です。Dさんは生前に200万円の贈与を受けていますから、1900万円から200万円を差し引いた1700万円が相続する額です。

奥さんB :3800万円

お子さんC:500万円

お子さんD:1700万円

合計   :6000万円

ぴったりと合いましたね。 特別受益があった場合には以上のように計算します。

 

 

| まとめ

 

1 特別受益は生前や遺言での贈与!

2 特別受益の額は相続財産の額に加算!

3 相続分で分けられた額から贈与額を差引!



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相続の知識で争族にしない ~その3~

| “その1”“その2”を読まれていない方のために

 

相続の知識で争族にしないシリーズ第3弾です。“その1”と“その2”は下の記事をクリックしてご参照ください。

相続の知識で争族にしない ~その1~

相続の知識で争族にしない ~その2~

簡単にまとめます。

1 同時に亡くなられると相続はできません。

2 胎児は相続できます。

3 相続人は親族の範囲よりも狭いです。

4 相続できない“相続欠格”“相続廃除”の制度があります。

 

 

| 誰がどれだけ相続できるの?

 

どの遺産を誰が相続するのかは遺言書があればそれに従いますが、遺言書がない場合でも民法で相続する割合が決められています。

1 配偶者と子が相続人のとき

配偶者が1/2、お子さん全員で1/2です。お子さん3人いる場合には、それぞれ1/6ずつです。養子でも実子でも同じ相続分です。

2 配偶者と祖先が相続人のとき

配偶者が2/3、祖先全員で1/3です。配偶者と父母が相続人になる場合には、配偶者が2/3、父が1/6、母が1/6です。父母が生きていれば祖父母は相続人になりません。

3 配偶者と兄弟姉妹が相続人のとき

配偶者が3/4、兄弟姉妹全員で1/4です。兄弟姉妹が3人いる場合には、それぞれ1/12ずつです。父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)は、全血兄弟姉妹の半分になります。

 

 

| 遺言書で相続が決められる場合

 

亡くなられた方の遺言書がある場合には、遺言書の内容に従って相続されます。たとえば、Aさんの遺言書があり、相続人は奥さんのB、お子さんのC・Dだとします。Aさんの遺言書に、Bさんの相続分は7/10、Cさんの相続分は2/10、Dさんの相続分は1/10と書かれていると、その通りに相続されます。

このように“相続分”を決める場合には、必ず遺言書で決めないといけません。

自分では決められないという方は、遺言で第三者に相続分の指定を委託することができます。たとえば、生前世話になっていた弁護士Eさんに、遺言書の中で“相続分の指定を弁護士Eに委託する。相続分を指定する場合には遺言書作成後の事情を考慮する”と書いておくケースがあります。

 

 

| まとめ

 

1 法定相続分は誰が相続人になるかで変わります!

2 遺言書で相続分を決めることもできます!

3 相続分の割合を第三者に委託することもできます!



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相続の知識で争族にしない ~その2~

| “その1”を読まれていない方のために

 

今回は“相続の知識で争族にしない~その2~”です。その1を読まれていない方は“相続の知識で争族にしない ~その1~”をご参照ください。

面倒くさいという方のためにまとめておきます。

1 被相続人が離婚・再婚していたり、被相続人の面倒を見ていた方がいたり、不動産以外に遺産がない場合には、争族になりやすいと言われています。

2 相続は亡くなった方の財産や負債を受け継ぐ制度です。

3 同時に亡くなられたときには相続はありません。

4 胎児は相続することができます。

 

 

| 相続人ってだれ?

 

相続人になるのは一定範囲の親族です。このブログでは何度も書いていますが、もう一度書きたいと思います。詳しくは“相続人って誰?”を読んでいただけますと嬉しいです。

親族には奥さんの祖父母や姪の旦那さんも含まれますが、彼らはあなたの相続人ではありません。相続人になりうるのは、配偶者、曾祖父母、六世の孫、甥姪までです。

この中で相続人になることができる順番が決められています。

1 配偶者

2 子

3 直系の祖先

4 兄弟姉妹

配偶者は常に相続人です。お子さんがいれば相続人になります。お子さんがいない場合には、配偶者と直系の祖先が相続人です。お子さんも直系の子孫もいない場合には、奥さんと兄弟姉妹が相続人です。

曾祖父母や孫、甥姪などは代襲相続が発生したときに相続人になります。詳しくは“相続人って誰?”をご参照ください。

 

 

| 相続できない人もいる!

 

法定相続人の範囲に入っていても相続できない人がいます。たとえば、相続で不正な利益を得ようとして不法なことをしたりすると相続権がなくなります。“相続欠格”と言います。法律の文章は分かりにくいので簡単に言い換えますと、次のとおりです。

1 被相続人や先順位・同順位の相続人を殺したり、又は殺そうとしたりして刑に処せられた者

2 被相続人が殺害されたことを知っていながら訴えなかった者(例外あり)

3 被相続人をだましたり脅したりして遺言の作成・取消・変更をさせなかった者

4 被相続人をだましたり脅したりして遺言をさせたり、遺言の取消・変更をさせた者

5 遺言書を偽造したり書き換えたり捨てたり隠したりした者

 

その他にも“相続排除”という制度もあります。こちらは、被相続人が家庭裁判所の審判によって前もって相続人の相続権を失わせる制度です。被相続人の意思に重きを置かれているのですね。廃除の対象者は次の人です。

1 被相続人に虐待や重大な侮辱をした者

2 著しい非行をした者

 

 

| まとめ

 

1 親族と相続人は範囲が違います!

2 相続人の範囲内でも相続できない人がいます!

3 “相続欠格”と“相続排除”で相続させない!



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