契約書の担保責任ってなに? ~その1~

| 売買契約の担保責任

 

モノを売ると担保責任を負います。担保責任はモノに何かしらの不具合があった場合に、売主が負う責任です。

モノが売買されると、売主と買主はお互いに相手に対して義務を負います。売主から見ますとモノを引き渡す義務、買主から見ますと代金を支払う義務です。モノと代金が同じ価値があるから売買が成立します。

ところが、モノの権利に問題があったりモノ自体に欠陥があったりする場合には、モノの価値は下がります。そうすると、モノの価値に対して多すぎる代金を支払うことになってしまいます。

そこで、この不公平を何とかしようとして定められたルールが売主の担保責任なのです。

売主の担保責任は6個あります。

1 モノの全部が他人のモノの場合

2 モノの一部が他人のモノの場合

3 数や量が足りなかったり一部が滅失してしまったりする場合

4 用益権によって制限されている場合

5 隠れた瑕疵がある場合

6 担保権によって制限されている場合

それぞれを順に書きたいと思います。

 

 

| モノの全部が他人のモノの場合

 

他人のモノを売ることは民法上違法ではありません。買った人に引渡すまでにそのモノを入手できれば問題ないからです。しかし、売主がモノを手に入れることができなかった場合には売主は責任を負います。

どのような責任を負うかは、他人のモノであることを買主が知っていたかどうかによって変わります。買主が知っていた場合、契約の解除と損害賠償ができます。買主が知らなかった場合には契約の解除だけができます。

実は、売主が自分のものだと思い込んでいたけれど実は他人のモノで、それを売主が知らなかった場合には、売主から契約を解除することができます。

 

 

| モノの一部が他人のモノの場合

 

先ほど書いた通り、他人のモノを売ることは民法上違法ではありません。売ったモノの一部分が他人のモノであったとしても同じです。

売主が他人のモノを手に入れることができず、買主に引渡せなかった場合には、買主は売主に代金の減額を請求できます。

また、一部他人のモノであることを買主が知らなかった場合には、損害賠償をすることができます。さらに、契約の目的を達成することができない場合には解除をすることもできます。期間は知ったときから1年です。

買主が知っていた場合には、代金の減額を請求できるだけで解除や損害賠償はできません。しかも、代金減額請求ができる期間は契約から1年です。

 

 

| まとめ

 

1 モノが不完全だった時の責任が担保責任!

2 全部が他人のモノだったときは解除と損害賠償!

3 一部が他人のモノだったときは代金減額請求!



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建物の形が制限される!?

| 建物の高さが決められている!

 

建物の高さが制限されている地域があります。高さが10mか12mが限度になっていますから、3階建ては厳しいです。高さの制限があるのは“低層住居専用地域”です。第1種も第2種もどちらも高さの限度があります。

名前のとおり、高さの低い住居の専用地域ですから当然なのかもしれません。このような地域は、建物の面積を稼ぐために土地が広くないといけませんので、大きな邸宅の並ぶ高級住宅地になっているところが多いです。

 

 

| ビルのような直方体はダメ?

 

低層住居専用地域は絶対的な高さの規制がありましたが、それ以外の地域では“斜線制限”と呼ばれる規制があります。

1 道路斜線制限

道路の反対側の境目から斜めに横1:縦1.25か横1:縦1.5の割合で線を引いたところには建物を建てられない規制です。言葉にすると分かりにくいですが、図を見ると分かりやすいと思います。

2 隣地斜線制限

お隣との土地の境界線から20mか31mだけ縦にまっすぐ線を引いて、そこから横1:縦1.25か横1:縦2.5の割合で斜めに線を引いたところには建物を建てられない規制です。低層住居専用地域にはない規制です。

3 北側斜線規制

北側のお隣さんとの土地の境界線から5mか10mだけ縦にまっすぐに線を引いて、そこから横1:縦1.25で斜めに線を引いたところには建物を建てられない規制です。低層住居専用地域では5m、中高層住居専用地域では10mになっています。

4 日影規制

冬至の日の午前8時から午後4時までの間で、敷地の外に一定時間以上の日影を生じさせてはいけないという規制です。規制の時間は条例で定められています。低層住居専用地域では、軒の高さ7m超や3階建以上の建物が規制対象になっていますし、それ以外の地域(商業地域、工業地域、工業専用地域以外)では高さ10m超の建物が規制対象になっています。

ビルのような直方体の建物は商業地域や工業地域に多いのも納得です。

 

 

| まとめ

 

1 低層住居専用地域は10mか12m以下の建物しかダメ!

2 斜線制限では斜めに切り取った部分には建てられない!

3 日影がよその土地に長時間ある建物もダメな地域も!



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建ぺい率や容積率はどうやって決まるの?

| 建ぺい率ってなに?

 

建ぺい率は、建物を真上から見たときに、土地の面積のうち建物がどれだけを占めているかを表した割合です。式で書くと次のようになります。

建ぺい率 = 建築物の建築面積 ÷ 敷地面積

たとえば、土地が200㎡、建物の建築面積が120㎡とすると、

120㎡ ÷ 200㎡ = 0.60

となって、建ぺい率は60%になります。建物の建築面積は延べ床面積ではありませんのでご注意ください。延べ床面積を使って計算をするのは、下に書く容積率です。

建ぺい率は用途地域によって決められています。大阪の多くの地域では60~80%ですね。低層住居専用地域では50%というところもあります。この建ぺい率は、条件を満たせば10~20%緩和されます。

1 建ぺい率が80%の地域以外で、防火地域内にある耐火建築物 : 10%緩和

2 角地で特定行政庁が指定するもの : 10%緩和

3 上記の2つを満たすもの : 20%緩和

また、建ぺい率の制限がない建築物もあります。

1 建ぺい率が80%の地域で、防火地域内にある耐火建築物

2 派出所、公衆トイレなど

3 公園や広場にある建物で、特定行政庁が安全と認めて建築審査会の同意があるもの

建ぺい率が80%の地域は商業地域や近隣商業地域が多く、防火地域はほぼ商業地域です。駅前などの商業地域では土地いっぱいにビルが建っているのも違法ではないんですね。

その他では、角地で10%の緩和がありますが、この緩和を受けている土地は意外にもたくさんあります。市町村が特定行政庁の指定する地域を公表していて、インターネットでも調べることができます。

 

 

| 容積率ってなに?

 

容積率は、いわゆる算数ででてくる“容積”ではなく、延べ床面積を使って計算します。

容積率 = 建築物の延べ面積 ÷ 敷地面積

たとえば、土地が100㎡、1階が80㎡、2階が70㎡の住宅の場合、

(80㎡ + 70㎡)÷ 100㎡ = 1.50

となって、容積率は150%になります。

容積率は用途地域によって決められています。大阪の住居系の用途地域では200%が多いですね。ただ、低層住居専用地域では100%が多い印象です。商業地域では300%もありますね。

容積率は、前面道路の幅員で制限を受けます。前面道路が12m未満であれば、幅員に0.4や0.6を乗じた数字と規定の容積率の厳しい方が限度になります。

たとえば、既定の容積率が200%、前面道路は6mで0.6を掛ける地域の場合、

6m × 0.6 = 3.6

となって、容積率は360%になりますが、規定の容積率が200%ですので、厳しい方の200%が容積率の上限になります。

その他にも、特定道路による緩和や車庫などの特例もあります。気になる方は“容積率の緩和”という言葉で調べてみてください。面白いことが見つかれば、私にも教えてくださいね。

 

 

| まとめ

 

1 建ぺい率は、建築面積÷土地面積!

2 容積率は、延べ床面積÷土地面積!

3 建ぺい率は60~80%、容積率は200%くらいが多い!



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不動産業者の説明は大丈夫?

| 不動産屋からの説明の決まりごと

 

部屋を借りたり不動産を買ったりしたときには、不動産屋は借主さんや買主さんに重要な事項について説明しなければいけません。“重要事項説明書”と“契約書”の2冊を渡されると思います。

重要な事項は不動産屋が説明しないといけませんが、実際に説明を担当する人は宅地建物取引士(宅建士)です。宅地建物取引士証を提示して説明を受けるのですが、重要事項説明書にも宅建士の名前が書かれていてハンコも押されています。

契約までに必要ですので覚えておいてくださいね。

 

 

| 説明の内容はどんなこと?

 

重要事項の説明では、大きく分けて2つのことが説明されます。

1 取引する物件に関すること

登記名義人、登記されている権利、所有者の氏名、法令上の制限の概要、私道負担(建物賃貸以外)、設備の状況などが説明されます。分譲マンションの売買の場合には、マンションの管理先などもっとたくさんのことが説明されます。分譲マンションの賃貸だと規約と管理委託先のみです。

2 取引する条件に関すること

手付金の額、契約の解除に関すること、違約金、住宅ローンのあっせん内容、住宅ローン特約に関することなどが説明されます。その他にも、建物の売買のときだけに説明すること、建物の賃貸のときにだけ説明することなど色々あります。

 

不動産屋は重要事項説明をするために事前に物件について調査をします。現地では、周辺の状況、臭い、越境物、埋設物など多岐にわたります。役所では、法令上の制限、建築確認などを調べます。

 

 

| 重要なことを言わないとどうなる?

 

不動産屋が重要事項説明で義務になっていることを言わなかった場合、2年以下の懲役や300万円以下の罰金という刑事罰だけでなく、業務停止や免許の取り消しなどの処分を受けることがあります。

重要な事実は重要事項説明書に書かれていることよりも範囲が広いと言われています。ただし、説明の仕方は決められていないので、口頭だけの説明でもOKです。書面がないと説明したことを証明できませんけどね…。

 

 

| まとめ

 

1 重要事項説明は宅建士の仕事!

2 物件に関することと条件に関することを説明!

3 説明をしなかった場合には刑事罰まで!



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相続の知識で争族にしない ~その7~

| 初めて読まれる方のために

 

相続の知識で争族にしないシリーズ第7弾です。今回が最終回になります。相続人が決まり相続分も決まって、遺産分割にまですすみました。これで基本的に相続手続きは終了です。今回は相続人がいない場合に財産はどうなるの?というお話です。

その前に、その1~その6をご紹介します。クリックしてご参照ください。

相続の知識で争族にしない ~その1~

相続の知識で争族にしない ~その2~

相続の知識で争族にしない ~その3~

相続の知識で争族にしない ~その4~

相続の知識で争族にしない ~その5~

相続の知識で争族にしない ~その6~

簡単にまとめます。

1 同時に亡くなられると相続できません。

2 胎児は相続できます。

3 相続できない“相続欠格”“相続廃除”があります。

4 誰が相続人なのかによって法定相続分が変わります。

5 遺言書で相続分を決めることができます。

6 特別受益者は遺言や遺贈で贈与を受けた人です。

7 寄与分は相続財産を増やしたり減らないようにしたりした額です。

8 遺産分割には3つの方法があります。

9 収益マンションを相続しても遺産分割までの賃料は相続分だけです。

 

 

| 相続人がいないときの財産はどうなるの?

 

相続人になる人は、配偶者、子孫、祖先、兄弟姉妹だけでなく、そのお子さんたちも代襲相続をする場合があります。これだけたくさんの方がいても、ときとして相続人がいなかったり、どこかにいるかもしれないけれど分からなかったりすることが起こります。

生涯独身だったりお子さんがいなかったりする方は気になるのではないでしょうか。生きているうちに使ってしまえ!と散財することもできますが、いつまで生きるか分からないのが命です。生きてるうちにお金が無くなってしまうのは怖いですから不安になりますね。

そこで、相続人がいない場合に財産がどうなるのかを見てみましょう。

相続人がいない場合、お金を貸していた人や大家さんなどの利害関係人や検察官は家庭裁判所に管理人を選任して公告をするように請求できます。公告というのは、官報に相続人がいるなら名乗り出るような文章を載せたりすることです。

また、お金を貸していた人にはお金を返したり、大家さんにはたまっていた家賃を支払ったり部屋を引き払うための費用を支払ったりします。

公告をしても相続人が分からない場合には、内縁の妻や配偶者の連れ子など相続人と一緒に生活をしていた人、被相続人の療養看護をしていた人、老人ホームなど縁故のあった人が、家庭裁判所へ相続財産の分与を請求して認められると、これらの人に相続財産が分け与えられます。このような人を特別縁故者と呼びます。

特別縁故者もなく相続財産が残ったときは、国がもっていきます。ただし、相続財産に共有者がいる場合には、共有者が被相続人の持分を貰います。

 

相続する順番をもう一度整理しておきましょう。

1 配偶者

2 子

3 祖先

4 兄弟姉妹

5 特別縁故者

6 共有者

7 国

配偶者は特別で、常に相続人です。配偶者のみ、配偶者と子、配偶者と祖先、配偶者と兄弟姉妹というパターンがあります。子が相続するときには祖先や兄弟姉妹は相続できません。また、祖先が相続するときには兄弟姉妹は相続できません。

配偶者、子、祖先、兄弟姉妹の相続人がいない場合に、特別縁故者が相続財産を分けてもらえます。特別縁故者もいない場合には共有者、共有者もいない場合には国という順番です。

1~4までは相続人で、5~7までは相続人がいないときの財産分与です。

 

 

| まとめ

 

1 相続人がいないときは特別縁故者が財産を分けてもらえる!

2 特別縁故者には内縁の妻や老人ホームなどがあります!

3 特別縁故者がいない場合には共有者が持分を貰います!

4 共有者もいない場合には国が財産を持っていきます!



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