健康保険と国民健康保険は何が違うの?

| 健康保険と国民健康保険の違い

 

自営業者の方は国民健康保険に加入されています。法人の取締役やサラリーマンの方は健康保険ですね。

医療費の助成など同じところも多々ありますが、今回は違いに注目してまとめてみたいと思います。

 

| 被扶養者

1 健康保険

被保険者によって生計を維持されている一定範囲の者です。“世帯同一+生計維持”が必要な場合があります。直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟は生計維持関係があればOKです。

2 国民健康保険

被扶養者という概念はありません。全員が被保険者です。
ただし退職被保険者を除きます。退職被保険者の被扶養者の場合には、“同一世帯+生計維持”の要件を満たす必要があります。

 

| 給付

 

1 健康保険

特別療養費の支給はありません。出産育児一時金・葬祭費・傷病手当はあります。

2 国民健康保険

特別療養費の支給があります。出産育児一時金・葬祭費は特別の理由があるときは支払われないことがあります。傷病手当は条例や規約の定めによって支給されたり支給されなかったりします。

 

| 一定以上の所得者

 

1 健康保険

原則として、標準報酬月額が28万円以上の方が該当します。

2 国民健康保険

原則として、課税所得が145万円以上の方が該当します。

 

| 診療報酬審査支払

 

1 健康保険

社会保険診療報酬支払基金が審査支払します。

2 国民健康保険

国民健康保険団体連合会が審査支払します。

 

| 審査請求

 

1 健康保険

社会保険審査官や社会保険審先に審査請求します。二審制です。

2 国民健康保険

国民健康保険審査会に審査請求します。一審制です。

 

 

| まとめ

 

1 国民健康保険には原則被扶養者はありません!

2 国民健康保険には特別療養費の支給があります!

3 国民健康保険には傷病手当がない地域があります!



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派遣業でも労働基準法の規制があります

| 派遣労働者の増加

 

厚生労働省の集計によりますと、平成29年6月1日現在で、派遣労働者数は約156万人、前年比119.4%だそうです。多くは有期雇用で約116万人にもなります。製造業が約28万人、一般事務が約27万人と多く、情報処理・通信技術者が約13万人と続きます。

警備業や建設業に派遣でよくありそうですが、実は従事する人がいません。なぜなら、これらは派遣禁止業務になっているのです。

派遣禁止業務には次の4つがあります。

1 港湾運送業務

2 建設業務

3 警備業務

4 医師・看護師等の医療関連業務

ただし、医療関連業務には例外があります。

例外1 紹介予定派遣の場合

例外2 社会福祉施設等で行われる場合

例外3 産前産後休業・育児休業・介護休業等の代替要員の場合

例外4 一定の僻地での医業の場合

僻地のドクターが派遣ということもあるのですね。どのくらいの人数が派遣されているのでしょうね。

 

| 派遣元と派遣先の責任

 

1 労働基準法の責任

派遣労働者も労働者ですから労働基準法が適用されます。このとき、派遣元が責任を負う場合と派遣先が責任を負う場合がありますが、主に派遣元が責任を負います。派遣元が責任を負わないものは派遣先が責任を負います。

① 派遣元と派遣先が責任を負うもの

・強制労働の禁止

・徒弟の弊害廃除

・法令の要旨の周知義務

・申告を理由とする不利益取り扱い禁止

・記録の保存

・報告の義務

② 派遣元が責任を負わないもの

・公民権行使の保障

・労働時間、休憩、休日

・年少者・妊産婦の労働時間等

・年少者・妊産婦の就業制限、坑内労働の禁止

・育児時間、生理休暇

労働時間や休暇などは派遣先しか管理できませんから、派遣元が責任を負わないのも当然かもしれません。

2 労働安全衛生法の責任

労働基準法とは逆に、労働安全衛生法上の責任は派遣先が主に負います。派遣先が責任を負わないものは派遣元が責任を負います。

① 派遣元と派遣先が責任を負うもの

・総括安全衛生管理者の選任など

・衛生管理者の選任など

・産業医の選任など

・安全衛生推進者の選任など

・衛生委員会

・作業内容変更時の安全衛生教育

② 派遣先が責任を負わないもの

・雇入れ時の安全衛生教育

・一般健康診断・保健指導

・面接指導など

雇用の時や健康診断などは派遣元だけが責任を負うのですね。そういうものだと初めて知りました。社労士の勉強は社会勉強にもなっています。

 

| まとめ

 

1 派遣労働者数は前年比119%!

2 派遣業には禁止業務があります!

3 労働法上の責任は派遣元と派遣先が分担します!



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健康保険は治療費だけじゃない!

| 保険給付のいろいろ(被保険者の場合)

 

健康保険で支払われる保険給付は治療費の7割だけではありません。実は色々な費用が支払われます。

1 療養の給付

業務災害以外の疾病や負傷の診察費や手術費などです。年齢によって金額が異なります。

2 入院時食事療養費

入院等で食事療養に必要な費用です。

3 入院時生活療養費

入院等で食事療養・療養環境に必要な費用です。

4 保険外併用療養費

評価療養・選定療養を受けた費用です。評価療養はいわゆる高度先進医療で、選定療養は特別の病室などです。

5 療養費

療養の給付と同じ内容です。療養の給付が困難な場合などがこちらになります。

6 訪問看護療養費

指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときに支払われます。

7 高額療養費・高額介護合算療養費

所得に応じて一定金額以上の療養費がかかった場合です。

8 移送費

療養のために病院などに移送された場合です。

9 傷病手当金

3日間以上療養中で仕事ができなかった場合に標準報酬日額の2/3の金額が支払われます。

10 埋葬料

基本的に5万円以下です。

11 出産育児一時金

40万円程度が支払われます。

12 出産手当金

標準報酬月額の2/3が支払われます。

 

かなり多いですね。出産手当金や高額療養費はよくご存じだと思います。そのほかに入院時の食事代一部や移送費も支払われるのですね。忘れずに申請したいです。

 

| 保険給付のいろいろ(被扶養者の場合)

1 家族療養費

被保険者の療養の給付や療養費と同じです。6歳までは2割負担です。

2 家族訪問看護療養費

3 高額療養費・高額介護合算療養費

4 家族移送費

5 家族埋葬料

6 家族出産育児一時金

 

被保険者に比べて種類がかなり減りましたね。。保険外併用療養費がありません。労災の代替のような傷病手当金や出産手当金も被扶養者にありません。これらは任意継続被保険者にもありませんのでご注意ください。

入院時の食事や療養環境の費用もありませんが、家族療養費に合算されます。

 

| まとめ

 

1 被保険者と被扶養者では給付内容が違います!

2 療養費の負担額は年齢によって異なります!

3 労災の代替のような出産手当金や傷病手当金は被扶養者にはありません!



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社会保険料の決まり方は? ~その2~

前回の“社会保険料の決まり方は?”でお伝えしました通り、社会保険料の決まり方の第2回を書きたいと思います。よろしくお願いします。

 

| 社会保険に入るとき

 

1 月給・週給等の場合
次のような式で標準報酬月額を決めます。

(標準報酬月額)=(社会保険に入る日の報酬額)÷(総日数)×30

2 日給・時間給・出来高給等の場合

(標準報酬月額)= 社会保険に入る月の1か月前にその事務所で同様の業務・報酬を受ける者の平均報酬額

3 計算が困難な場合

(標準報酬月額)= 社会保険に入る月の1か月前にその地方で同様の業務・報酬を受ける者の平均報酬額

有効期間は、1月1日~5月31日の場合はその年の8月まで、6月1日~12月31日の場合は翌年の8月までです。

 

| 育児休業等終了時に改定するとき

 

育児休業等を終えて3歳未満の子を養育する人が対象です。ただし、育児休業等の終了日の翌日に産前産後休業を開始している人は除きます。被保険者が事業主を経由して協会けんぽなどに申請します。

標準報酬月額を決めるために使うのは、育児休業等の終了日の翌日の月を含んで3か月間の平均賃金です。ですから、保険料が変わるのは、育児休業等の終了日の翌日から数えて2か月後の日を含む月の翌月です。一般的には3か月後ですね。

有効期間は、改定が1~6月ならその年の8月まで、7~12月なら翌年の8月までです。

 

| 産前産後休業終了時に改定するとき

 

産前産後休業を終えてその期間に産んだ子を養育する人が対象です。育児休業等の終了時と同じく、産前産後休業の終了日の翌日に育児休業等を開始している人は除きます。被保険者が事業主を経由して協会けんぽなどに申請するところも、育児休業等の終了時と同じです。

標準報酬月額はを決めるために使うのも育児休業等の終了時に改定する場合と同じです。有効期限も同じです。

 

産前産後休業は、出産日・出産予定日の前42日間と出産後56日間、妊娠・出産を理由として仕事を休むことです。双子以上の出産の場合には出産日・出産予定日の前の休業日数は98日間になります。母親に身体的な影響が大きいからなのでしょうか。

| まとめ

 

1 月給・週給と日給・時間給では標準報酬月額の計算方法が違います!

2 育児休業が終わった後でも3か月間は保険料が高いかも!?

3 社会保険料の改定は会社を通じて申請します!



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社会保険料の決まり方は?

| 健康保険料と年金保険料

 

前回まで2回にわたって労働保険の賃金の決まり方をまとめてきました。今回は健康保険料と年金保険料の決まり方をまとめてみます。

労働保険と違ってかなりいろいろとありますので、数回に分けてまとめてみたいと思います。

| 毎年7月に決まる定時決定

 

健康保険料や年金保険料を計算する元となる賃金を“標準報酬月額”と言います。毎年7月10日までに“算定基礎届”という書類を協会けんぽや年金事務所に提出します。会社の事務をされている方はよくご存じかと思います。

対象になるのは7月1日に雇用されている被保険者です。ただし、6月中に被保険者になった人や7~9月に改定されたりされる予定の人は除外されます。

4~6月の3か月間の平均額を標準報酬月額とします。改定される月は9月からで、有効期間は9月から8月までです。
この定時決定は事務の方の年中行事です。

| 大きな変動があった時の随時改定

基本給などの固定給が2等級以上変わったときには、“月額変更届”を協会けんぽや年金事務所に提出します。計算に使うのは変動月以降の継続した3か月間の賃金です。この3か月間の平均額が新しい標準報酬月額になります。

変動した月から4か月目から保険料が変わり、1~6月の改定ではその年の8月まで、7~12月の改定では翌年の8月までその保険料が続きます。

 

他には育児休業等終了時改定、産前産後休業終了時改定がありますが、まとめるのは次回にします。

| まとめ

 

1 毎年7月は社会保険の手続きです!

2 改定されるのは9月から!

3 固定給が大きく変わると4か月後から変更!



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