賃金のいろいろ ~その2~

| 労働者災害補償保険法の賃金

 

前回“賃金のいろいろ”でも少し書きましたが、労災の賃金(給付基礎日額)は労働基準法の平均賃金とほぼ同じです。“平均賃金”を“給付基礎日額”に読み替えればOKです。

転載します。

平均賃金=(前3か月の賃金総額‐A期間中の賃金‐B賃金)÷(前3か月の総暦日数‐A期間の日数)

A期間は次のものがあります。

① 業務上傷病による療養期間

② 産前産後の休業期間

③ 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間

④ 育児・介護休業期間

⑤ 試用期間

⑥ 正当な争議行為による休業期間

⑦ 組合専従中の期間

 

B賃金には次のものがあります。

① 臨時に支払われた賃金

② 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

③ 現物などで支払われた賃金で一定範囲に属しないもの

 

労災では少し例外があります。

 

① 政府算定額になる場合

・じん肺患者、振動障害患者の特例

・私傷病休業者、看護休業者の特例

・船員の特例

② 最低保障額 3,920円

③ 1円未満の端数は切り上げ

 

さらに、特別加入者の場合、本人の希望で金額が決まります。日額3,500~25,000円です。家内労働者なとは2,000円~です。もちろん保障が大きければ保険料も高くなります。

 

| 雇用保険法の賃金

 

基本は次の式で算定されます。

賃金日額=(最後の6か月間の賃金総額‐A賃金)÷180

A賃金には次のものがあります。

① 臨時に支払われる賃金

② 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

もし賃金がはっきりと分からない場合や計算で出した数字がおかしい場合には厚生労働大臣が決めてしまいます。

労災の給付基礎日額と同じように最低保証額があります。2,300円です。最高限度もあって次の金額になります。

① 65歳~  12,780円

② 60~64歳 14,910円

③ 45~59歳 15,610円

④ 30~44歳 14,200円(育児・介護休業者)

⑤ ~29歳  12,780円

基本手当日額は賃金日額の50~80%です。ただし、離職日に60~64歳だった場合は45%に減ります。

たとえば、30歳で月30万円(ボーナスなし)をもらっていた人が雇用保険をもらう場合、賃金日額は30万円×6÷180日=1万円/日です。この賃金日額を使って基本手当日額を計算します。

30~44歳で賃金日額が4,970~12,210円の場合

基本手当日額=0.8×賃金日額‐0.3{(賃金日額‐4,970)÷(12,210‐4,970}×賃金日額

ややこしいですね~。数字を入れてみますと、

基本手当日額=0.8×1万‐0.3{(1万‐4,970)÷7,240}×1万≒5,915円

この人は一日に5,915円の雇用保険が貰えることになります。

もし、この人が内職で毎日5000円稼いでいたとすると少し事情が変わってきます。内職をしている場合には、内職収入1日分‐1,286円の金額と基本手当日額との合計が賃金日額の80%超の場合、超過額が基本手当日額から減額されます。

5,000‐1,286+5,915=9,629円

この数字は賃金日額の96%ですから、9,629‐8,000=1,629円が減額されます。つまり、5,915‐1,629=4,286円になります。

| まとめ

 

1 労災でもらえる給付金は労基法とほぼ同じ!

2 雇用保険では賃金日額から基本手当日額を計算!

3 内職などをしていると一定の場合に雇用保険から減額!



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賃金のいろいろ

本日は社会保険労務士試験日でした。受験された皆様、お疲れさまでした。私は試験日を忘れており受験できませんでした。あまりにもひどい結末です。手元には受験票だけがあります。受験された皆様の合格を祈っております。

 

| 法律によって計算方法が違う!?

 

労働保険や社会保険の中には保険料や給付金のために賃金を計算しなければいけないものはたくさんあります。労働基準法、労働者災害補償保険法、雇用保険法などなど。健康保険料や厚生年金保険料でも4~6月の賃金を計算しなければいけません。しかもそれぞれ賃金の呼び名が異なります。ややこしくて仕方ありません。

今回は、労働基準法の平均賃金についてまとめてみます。

 

| 労働基準法の平均賃金

 

労働基準法では、最低賃金の確認のためにも使いますが、主に休業手当の算出に用います。休業手当は、使用者側の原因で休業する場合には平均賃金の60%以上を支払わなければいけないというものです。

平均賃金=(前3か月の賃金総額‐A期間中の賃金‐B賃金)÷(前3か月の総暦日数‐A期間の日数)

A期間は次のものがあります。

① 業務上傷病による療養期間

② 産前産後の休業期間

③ 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間

④ 育児・介護休業期間

⑤ 試用期間

⑥ 正当な争議行為による休業期間

⑦ 組合専従中の期間

 

B賃金には次のものがあります。

① 臨時に支払われた賃金

② 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

③ 現物などで支払われた賃金で一定範囲に属しないもの

 

B賃金は分かりにくいですね。①は祝い金など、②はボーナスなど、③は通勤定期などです。

計算式のポイントは日数が暦日数だということです。たとえば、4~6月の3か月間で計算する場合には、(4月)30日+(5月)31日+(6月)30日=91日で計算します。例えば月給30万円でAもBもない人の4~6月の平均賃金を計算する場合には、次のようになります。

平均賃金=30万円×3か月÷91日=9890円/日

意外に少ないですね。労災でも少しの例外がありますが同じように計算しますので、思ったよりも労災の休業補償額は少なく感じるかもしれません。

 

| まとめ

 

1 本日は社会保険労務士試験日!

2 法律によって賃金の計算方法が異なります!

3 平均賃金は意外に少ない!?



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社会保険料の算出方法は?

| 社会保険料は業種や賃金で!

 

労災と雇用保険の保険料は賃金×保険料率で算出され、保険料率は業種で決まります。健康保険や厚生年金の保険料も賃金×保険料率で算出されますが、保険料率は各協会・組合、被保険者の種類で決まります。

私の能力的に一度にすべてを書くことができませんので、今回は賃金についてだけ書きます。保険料率は後日書きたいと思います。

 

 

| 賃金の共通点

 

賃金とされるものとされないもので、労災・雇用保険・健康保険・厚生年金のすべてで共通しているものがあります。

1 基本給

賃金 :休業手当

非賃金:休業補償

2 時間外・深夜手当

賃金 :通勤手当

非賃金:出張旅費、宿泊費

3 休業手当

賃金 :税金の補助

非賃金:財形貯蓄・生命保険料の補助

4 家族手当

賃金 :社会保険料の補助

非賃金:チップ(例外あり)

5 役職手当

賃金 :奉仕料分配金

非賃金:解雇予告手当

6 住宅手当

賃金 :スト妥結一時金

非賃金:傷病手当金、出産手当金

 

所得税では通勤手当は非課税ですが、社会保険では賃金に入ります。間違えそうですね。

 

 

| 賃金の相違点

 

賃金とされるものとされないもので、違いのあるものをまとめます。

 

1 臨時または3月超の期間ごとに受ける賃金

労基法:賃金

徴収法:賃金総額に算入

健保法・厚年法:3月を超えるものは賞与に参入

2 食事の供与

労基法:非賃金(原則)

徴収法:賃金総額に不算入(原則)

健保法・厚年法:厚労大臣・健保組合が定める額が報酬になる

3 住宅の貸与

労基法:非賃金(原則)

徴収法:賃金総額に不算入(原則)

健保法・厚年法:厚労大臣・健保組合が定める額が報酬になる

4 制服・作業委の供与

労基法:非賃金(原則)

徴収法:賃金総額に不算入(原則)

健保法・厚年法:非報酬(原則)

5 退職手当(原則)

労基法:賃金(定めある場合のみ)

徴収法:賃金総額に不算入

健保法・非報酬

6 結婚祝金・死亡弔慰金・災害見舞金

労基法:賃金(定めがある場合のみ)

徴収法:賃金総額に不算入

健保法・厚年法:恩恵的なものは非報酬

7 私傷病(病気)見舞金

労基法:賃金(定めがある場合のみ)

徴収法:賃金総額に参入(定めがある場合のみ)

健保法・厚年法:恩恵的なものは非報酬

 

食事・住宅・制服などの現物供与は賃金にならない場合が多いです。健康保険や厚生年金だけは定められた金額が報酬に入るようです。

逆に、徴収法での結婚祝金など扱いを除いて、祝金などは定めがある場合に賃金に入りますが、恩恵的なものは賃金に入りません。

労基・労災・雇用保険と健保・年金では反対の扱いになる箇所に注意が必要ですね。

 

 

| まとめ

 

1 休業手当は基本給!

2 労働保険では現物給付は賃金ではない!

3 労働保険では私傷病(病気)見舞金は賃金!



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社会保険の受給権者の届出は?

| 被保険者と受給権者の違いってなに?

 

労災や年金の勉強をしていると被保険者と受給者がごちゃごちゃになります、私の場合は…。そこで調べてみると、次のような違いがあるようです。

被保険者:加入している人

受給権者:保険の給付金を受け取れる人

う~ん、分かりにくいですね。

年金を例にとりますと、被保険者は受給資格(10年加入)を満たしているかどうかに関係なく年金を支払っている人、受給権者は受給資格を満たしている人で受給開始年齢(65歳)に到達した人です。

前回、前々回の記事では被保険者の届出についてまとめました。今回は受給権者の届出についてまとめてみます。

 

| 定期報告書

 

労働者災害補償保険法(労災)のみです。提出先は所轄労働基準監督署長です。

1~6月生まれ:毎年6月30日まで

7~12月生まれ:毎年10月31日まで

 

| 現況届など

 

原則として現況届は必要ありません。受給権者の確認は住民基本台帳法によって本人確認情報が提供されます。

ただし、例外として現況届などが必要になる場合があります。

1 本人確認情報の提供がないとき

2 障害基礎年金・加給年金額の対象者で老齢・障害厚生年金の受給者など

厚生年金:毎年誕生月の末日まで、日本年金機構

国民年金:毎年誕生月の末日まで、ただし障害基礎年金の受給権者などは7月31日まで、日本年金機構

 

| 所在不明の届出

 

厚生年金・国民年金機構:速やかに、日本年金機構

受給権者の所在が1月以上明らかでないときに世帯主などに届けられます。

 

| 氏名・住所変更届など

 

日本年金機構に届け出ます。

厚生年金:10日以内

国民年金:14日以内

 

| 上記以外の厚生年金・国民年金の届出(例外あり)

加算開始事由該当届、支給停止事由該当(消滅)届などがあります。

速やかに、日本年金機構に届け出ます。

 

| まとめ

 

1 被保険者と受給権者は間違えやすい!

2 定期報告書は生まれ月によって提出日が違う!

3 変更届の提出期限は厚生年金・国民年金でそれぞれ違う!



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社会保険の被保険者の届出って? ~その2~

| その他の届出の期限と提出先

前回、“社会保険の被保険者の届出って?”では、資格取得・喪失などの提出期限や提出先をまとめました。5日~14日の短い期間で会社の担当者は大変なのではないでしょうか。

今回は細かな届出についてまとめたいと思います。

 

| 雇用保険

 

1 転勤

被保険者転勤届、10日以内、転勤後の所轄職業安定所長

2 被保険者証滅失

被保険者証再交付申請証、期間の規定なし、任意の公共職業安定所長

 

| 健康保険・厚生年金保険

 

1 高齢任意加入被保険者に係る同意(同意撤回)

事業者同意(同意撤回)届、10日以内、日本年金機構

2 2以上の事業所に使用

所属選択届・2以上事業所勤務届、10日以内、健康保険組合・日本年金機構

3 被扶養者の異動

被扶養者(異動)届、5日以内、健康保険組合・日本年金機構

4 賞与支払い

賞与支払届、5日以内、健康保険組合・日本年金機構

船員被保険者の場合:10日以内5 服役(出所)

第118条第1項(非)該当届、5日以内、健康保険組合・日本年金機構

6 定時決定

被保険者報酬月額算定基礎届、7月10日まで、健康保険組合・日本年金機構

7 臨時改定

被保険者報酬月額変更届、速やかに、健康保険組合・日本年金機構

船員被保険者の場合:10日以内

8 育児休業等・産前産後休業終了時改定

育児休業等終了時報酬月額変更届、速やかに、健康保険組合・日本年金機構

産前産後休業終了時報酬月額変更届、速やかに、健康保険組合・日本年金機構

船員被保険者の場合:どちらも10日以内

 

| 雇用継続給付の申請期限

 

1 高年齢雇用継続基本給付金

支給対象付きの初日から4か月以内

2 高年齢再就職給付金

再就職後の支給対象月の初日から4か月以内

3 育児休業給付金

支給単位期間の初日から4か月以内

4 介護休業給付金

介護休業終了日の翌日から2か月経過日の属する月の末日

 

| まとめ

1 雇用保険の届出は少なめ!

2 船員被保険者の臨時的な届出は10日以内!

3 定時決定だけは決まった日!



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