社会保険の免除、受けてますか?

| 社会保険料の免除制度

 

健康保険料や厚生年金保険法、国民年金制度には保険料の免除制度があります。健康保険料と厚生年金保険料は同じような制度になっていて、国民年金制度は別に規定されています。

それぞれをまとめてみました。

 

| 健康保険法・厚生年金保険法の免除制度

 

1 育児休業期間

育児休業等をしている被保険者を使用する事業者が申し出ます。免除期間は、育児休業等開始日の月~終了日の翌日の月です。

ただし、例外がいくつかあります。

・産前産後休業期間中の保険料の免除者

・任意継続被保険者

・特例退職被保険者

・第4種被保険者

・船員任意継続被保険者

第4種被保険者は聞きなれないですが、昭和61年まであった厚生年金の任意加入制度です。退職してから老齢年金をもらうまでに受給資格を満たすために加入できた制度です。今なら退職後は国民年金に入ればいいのですが、当時は別々の制度で受給資格が満たせない場合がありました。ですので、10年以上厚生年金に加入していた人のためにこのような制度があったそうです。

2 産前産後休業期間

産前産後休業をしている被保険者を使用する事業者が申し出ます。免除期間は、産前産後休業開始日の月~終了日の翌日の月です。

こちらも例外があります。

・任意継続被保険者

・特例退職被保険者

・第4種被保険者

・船員任意継続被保険者

3 少年院収用などの期間中(健康保険法のみ)

被保険者が少年院などに収容されたり、刑事施設・労役場などに拘禁されたときに適用されます。免除期間は、収容などされた月~されなくなった月の前月です。ただし、収容された月に被保険者資格を取得した場合には、収容された月の翌月~されなくなった月の前月です。開始月が1か月短くなります。

こちらも例外があります。

・任意継続被保険者

・特例退職被保険者

 

| 国民年金保険料の免除制度

 

国民年金保険料の免除制度にはいくつか種類があります。

1 法定免除(追納可)

【要件】

・2級以上の障害年金受給

・生活保護法による生活扶助などの受給

・国立ハンセン病療養所・国立保養所などへの入所

【期間】

該当した月の前月~該当しなくなった月

【除外】

・学生など

・3/4免除、半額免除、1/4免除適用者

・納付済み保険料、任意加入被保険者

2 全額免除・若年者納付猶予(50歳未満)

【要件】

・単身:57万円以下の所得

・一般世帯:(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円以下の所得

・生活保護法による生活扶助以外の扶助の受給

・寡婦又は障碍者で125万円以下の所得

・天災等

【期間】

厚生労働大臣の指定する期間

【除外】

・学生など

・納付済み保険料、任意加入被保険者

3 3/4免除

【要件】

・(78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など)以下の所得

・生活保護法による生活扶助以外の扶助の受給

・寡婦又は障碍者で125万円以下の所得

・天災等

【期間】

厚生労働大臣の指定する期間

【除外】

・学生など

・納付済み保険料、任意加入被保険者

4 半額免除・学生納付特例

【要件】

・(118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など)以下の所得

・学生納付特例は学生などであること

・生活保護法による生活扶助以外の扶助の受給

・寡婦又は障碍者で125万円以下の所得

・天災等

【期間】

厚生労働大臣の指定する期間

【除外】

・半額免除は学生など

・納付済み保険料、任意加入被保険者

5 1/4免除

【要件】

・(158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など)以下の所得

・生活保護法による生活扶助以外の扶助の受給

・寡婦又は障碍者で125万円以下の所得

・天災等

【期間】

厚生労働大臣の指定する期間

【除外】

・学生など

・納付済み保険料、任意加入被保険者

 

| まとめ

 

1 健康保険・厚生年金の免除は育児休業・産前産後休業があります!

2 少年院などへの収容は健康保険のみ免除!

3 国民年金の免除は所得制限が厳しい!



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社会保険で懲役!? ~その2~

| 懲役や罰金

 

前回の“社会保険で懲役!?”の記事でも書きましたが、労働保険・社会保険関係の法律に違反した場合には懲役・罰金刑に処せられる可能性があります。

前回は事業主などの罰則についてまとめました。今回は事業主など以外の罰則についてまとめます。

 

| 労働法関係(事業主等以外)

 

事業主など以外では被保険者や受給者についての罰則です。1つだけです。

報告・届出懈怠、虚偽陳述など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は20万円以下の罰金

 

| 社会保険関係(事業主等以外)

 

社会保険関係ではいくつかの罰則が規定されています。

 

1 不正受給:懲役・罰金刑

3年以下の懲役又は100万円以下の罰金

2 報告・届出懈怠、虚偽陳述など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

3 日雇労働被保険者手帳の不正入手:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

4 日雇特例被保険者手帳の虚偽交付:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

5 資格の得喪などの虚偽届出:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

6 国民年金手帳の提出命令違反など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

7 診療等の報告懈怠・虚偽報告:罰金刑

30万円以下の罰金

8 資格の得喪などの届出懈怠:罰金刑

30万円以下の罰金

9 徴収職員に対する虚偽陳述など:罰金刑

30万円以下の罰金(国民年金法)、50万円以下の罰金(厚生年金法)

10 申出・届出懈怠、虚偽申出・届出:過料

10万円以下の過料

11 資格の得喪など以外の届出懈怠・虚偽届出:過料

10万円以下の過料

 

| まとめ

 

1 被保険者などにも罰則があります!

2 労働法関係では1つだけ!

3 社会保険関係では届出懈怠や虚偽届出に注意!



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社会保険で懲役!?

| 懲役や罰金

 

労働保険・社会保険関係の法律には様々な規制があります。報告・届出の懈怠や虚偽の報告・届出をした場合にも罰則が設けられています。

事業主に対する罰則もあれば事業主以外に対する罰則もあります。今回は労働保険・社会保険関係での罰則についてまとめたいと思います。

 

| 労働法関係(事業主等)

 

労働法関係ではかなり厳しい罰則が設けられています。

1 強制労働:懲役・罰金刑

1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金

2 中間搾取、児童使用、坑内労働違反:懲役・罰金刑

1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

3 法定労働時間規定違反など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

4 告懈怠・虚偽報告など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

5 印紙関係の違反:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

6 労使協定・就業規則の届出違反など:罰金刑

30万円以下の罰金

 

| 社会保険関係(事業主等)

 

社会保険関係は労働法関係よりも少し緩くなっています。

1 報告懈怠・虚偽報告など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

2 答弁懈怠・虚偽陳述など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

3 届出懈怠・虚偽の届出など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

4 印紙関係の違反:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

5 被保険者の資格の得喪、報酬月額等の届出懈怠など:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

6 被保険者への通知懈怠:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

7 保険料の納付懈怠:懲役・罰金刑

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

8 被保険者の資格の得喪等以外の報告・届出懈怠、虚偽報告・届出:過料

10万円以下の過料

9 健保組合の設立命令違反:過料

遅延機関に負担すべき保険料額の2倍以下の過料

 

事業主に対してだけでもかなり多くの罰則があります。事業主さんは労働保険や社会保険の届出はきちんと正しくしなければ痛い目に合うかもしれません。悪質だとして懲役刑にでもなったら社会的な制裁を受けるかもしれません。怖いですね。

| まとめ

 

1 労働・社会保険関係でも罰則があります!

2 労働法関係の罰則は厳しくなっています!

3 社会保険関係では報告・届出をしないだけで罰則があります!



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社会保険の端数処理はややこしい

| 1円未満はどうするの?

社会保険の計算でよく分からなくなるのが、1円未満の端数の処理の仕方。源泉徴収のときは?平均賃金のときは?賃金総額のときは?と疑問が尽きません。

今回はそんな端数処理をまとめてみたいと思います。

 

| 原則

1 定めがない場合の支払金額・納付額

1円未満切り捨て。

2 源泉控除の場合の被保険者負担額

1円未満五捨六入。50銭1厘以上1円未満を切り上げて、50銭以下を切り捨てます。

3 現金徴収の場合の被保険者負担額

1円未満四捨五入。

 

| 労働法関係

 

1 平均賃金(労基法)

1銭未満切り捨て。

2 給与基礎日額など(労災法)

1円未満切り上げ。

3 自動変更対象額(労災法・雇用保険法)

10円未満四捨五入。

4 賃金総額(徴収法)

1000円未満切り捨て。

5 中途加入・脱退の特別加入保険料算定基礎額の月割(徴収法)

1円未満切り上げ。

6 労働保険料額(徴収法)

1円未満切り捨て。

7 印紙保険料掘被保険者負担分(徴収法)

1円未満切り捨て。

 

 

| 社会保険関係

 

1 定率一部負担金(健康保険法)

10円未満四捨五入。

2 標準賞与額(健康保険法)

1000円未満切り捨て。

3 高額療養費算定基準額(健康保険法)

1円未満四捨五入。

4 傷病手当金との併給調整のときの障害厚生年金・老齢退職年金給付の日額(健康保険法)

1円未満切り捨て。

5 年金給付の裁定・改定(国民年金法・厚生年金法)

100円未満四捨五入。

6 年金給付額計算過程の端数(国民年金法・厚生年金法)

原則、1円未満四捨五入。

7 保険料額(国民年金法)

10円未満四捨五入。

8 支給停止調整開始額など(厚生年金法)

10000円未満四捨五入。

ややこしいのは源泉徴収の5捨6入でしょうか。他には、労働保険料額は1円未満切り捨てで、国民年金保険料は10円未満四捨五入というのも覚えきれません。

逆に、賃金総額や標準賞与額は金額が大きくなるので1000円未満を切り捨てというのは覚えやすいかもしれません。労働保険料の申請書は単位が1000円になっていますもんね。一度間違えて書いた私はよく覚えています。失敗して覚えます!

 

| まとめ

 

1 大原則は1円未満切り捨て!

2 賃金総額・ボーナスなど金額の大きなものは1000円未満切り捨て!

3 国民年金と厚生年金で同じ端数処理をするものがあります!



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年金を減らすスライドってなに?

| スライドって何のために導入されたの?

 

一般的に年金の“スライド”というと“マクロ経済スライド”を指すようです。マクロ経済スライドは、平成16年の年金制度改正で導入されました。

年金額の調整は原則として賃金や物価の変動によって行われます。ところが、このままの調子で年金額を変動させると、将来の現役世代の負担が過度になってしまいます。そこで、賃金や物価の改定率を調整して年金の給付水準を抑えるために作られた制度が“マクロ経済スライド”です。

ただ、賃金や物価の上昇が小さくて、マクロ経済スライドを適用すると年金額がマイナスになる場合には年金額の改定は行われません。また、賃金・物価が下落した場合にもマクロ経済スライドは適用されず、賃金・物価の下落分だけ年金額が引き下げられます。

 

| 国民年金の場合

 

1 対象と対象外

・対 象:年金、加算額

・対象外:付加年金、死亡一時金、脱退一時金

2 方法

・原則:賃金・物価の変動等による自動改定

・マクロ経済スライド:原則の改定率×調整率(0.998)

3 適用時期

翌年の4月以降

 

| 厚生年金の場合

 

1 対象と対象外

・対 象:年金、加給年金額・加算額、最低保証額

・対象外:脱退一時金

2 方法

・原則:賃金・物価の変動等による自動改定

・マクロ経済スライド:原則の改定率×調整率(0.998)

3 適用時期

翌年の4月以降

 

| ポイント

 

上では“改定率”と書きましたが、原則として国民年金は“改定率”で厚生年金は“再評価率”で改定されます。ただし、厚生年金でも加給年金額・加算額は“改定率”を改定させます。

改定率も再評価率も同じようなものですが、少し内容が異なります。

1 改定率

賃金や物価の変動を年金額に反映させるための率です。

2 再評価率

年金額に過去の標準報酬月額等を現在の価値に再評価したり、賃金や物価の変動を年金額に反映したりする率です。

分かりにくいですが、再評価率には改定率も含まれると考えられています。結局、改定率も再評価率も同じ基準で改定されているようです。

 

| まとめ

 

1 スライドは将来の負担軽減のため!

2 国民年金はスライド対象外が少し多め!

3 改定率も再評価率も同じようなモノ!



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