行政書士試験の憲法(裁判所4)

前回の記事で裁判所には最高裁判所と下級裁判所があることを書きました。最高裁判所や下級裁判所はいったいどんなところなのでしょうか。裁判官と権限について書きたいと思います。

 

 

| 下級裁判所ってどんなところ?

 

下級裁判所には、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所の4種類ありました。高等裁判所以外の3つはそれぞれ扱う事件が異なります。実際に裁判をする裁判官はどんな人なのでしょうか。

下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の作成した名簿から内閣が任命します。任期は10年で、ほとんどの場合は再任されて定年まで勤めます。

 

憲法 80条

下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

 

 

| 最高裁判所ってどんなところ?

 

最高裁判所には、長官が1名、裁判官が14名います。合計で15名です。長官は内閣が指名をして天皇が任命します。長官以外の裁判官は内閣が任命します。下級裁判所の裁判官とは違って任期はありません。

 

憲法 79条

最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。

5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。

 

憲法 6条

2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

 

最高裁判所には小法廷と大法廷があります。小法廷は5人の裁判官で構成されて、3つの小法廷があります。判例変更や違憲判決をするのでなければ小法廷で審議されます。

憲法判断をする場合には大法廷が開かれます。大法廷は15人全員で構成されます。大法廷が開かれると何らかの重要な判決が下されるおそれがあります。大法廷が開かれたからといって必ずしも違憲判決がなされるわけではありません。

 

 

| 裁判官の罷免

 

裁判官は、国会に設置される弾劾裁判所によって罷免されることがあります。その他にも、執務ができなくなった場合、国民審査で罷免された場合があります。ただし、下級裁判所の裁判官には国民審査はありません。

 

憲法 78条

裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

 

憲法 79条

2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。

3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。

4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。

 

国民審査は衆議院議員選挙の時に行われます。審査されるのは、任命されてから初めて衆議院議員選挙が行われるときです。その後10年毎に国民審査に付されます。国民審査で多数の者が罷免と判断した場合には、その最高裁判所裁判官は罷免されます。

現在は、最高裁判所裁判官の名前の上に×を付けると罷免とされています。何も書かなければ信任になります。今までに国民審査で罷免された最高裁判所裁判官はいないようです。

国民審査は司法権に民主的コントロールを及ぼすための制度です。

 

 

| まとめ

 

1 下級裁判所では最高裁が指名、内閣が任命!

2 最高裁判所では内閣が任命!

3 裁判官が罷免されるのは3つの場合!



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