行政書士試験の憲法(裁判所5)

前回は、主に下級裁判所や最高裁判所がどのような場所なのかを書きました。下級裁判所と最高裁判所で裁判官の任命のされ方が異なっていますし、最高裁判所長官は内閣が指名し天皇が任命します。罷免される場合は3パターンあり、国民審査で罷免された裁判官は今まで0人です。小法廷と大法廷の違いについても書きました。

今回は、最高裁判所の権限と公開裁判の原則について書きたいと思います。

 

 

| 最高裁判所の権限

 

最高裁判所には裁判権、違憲審査権、下級裁判所の裁判官の指名権、司法行政監督権、最高裁判所規則制定権などの権限があります。

特に重要なのは、違憲審査権と最高裁判所規則制定権です。違憲審査権は別の記事で書きたいと思います。

最高裁判所規則制定権は、訴訟に関する手続、裁判所内での弁護士や検察官の規律、裁判所の内部規律、司法事務処理を規則で定める権限です。司法権の自主性の確保や専門的な判断を尊重することから認められています。

 

憲法 77条

最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。

3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

 

 

| 公開裁判の原則

 

裁判は原則として公開されます。公開されるのは対審と判決です。対審は裁判官の面前で行う証拠調べのことです。口頭弁論とも言われます。例外的に対審が非公開で行われるのは、当事者の名誉保護のためや社会への悪影響があると思われるときです。ただし、判決は必ず公開されます。

公開されないのは、対審に向けた争点証拠整理手続です。争点証拠整理手続(公判前整理手続)は迅速な裁判を実現するために行われます。準備的口頭弁論、弁論準備手続、書面による準備手続があります。公判期日の合間に非公開で期日間整理手続が行われることもあります。

 

憲法 82条

裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。

2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となってゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

 

 

| まとめ

 

1 裁判所の権限は憲法に明記!

2 違憲審査権と最高裁判所規則制定権は重要!

3 裁判は原則として公開!



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