前回の記事で権力分立について簡単に書きました。権力を立法権、行政権、司法権に分けて互いにけん制させる制度です。
今回は、立法権を担う国会について書きたいと思います。
| 国会は何をするところ?
国会は立法権を担っています。法律を制定するところです。法律を制定する以外にも、内閣総理大臣を指名したり、内閣不信任案を決議したり、弾劾裁判所を設置したりします。
また、国会には3つの立場があります。
1 全国民の代表機関
2 国権の最高機関
3 唯一の立法機関
| 全国民の代表機関って?
憲法43条には国会は全国民の代表機関だと書かれています。
憲法 43条
両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
国会は国民の意思を反映していて、国民は国会を通じて行動します。憲法の前文の冒頭にも“日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し”と書かれています。
国民の意思が反映されているとはいっても、選挙で投票した議員が公約を必ず実現できるとは限りません。また、公約を実現しないからクビだ!とはなりません。このような委任を自由委任と言われています。
もし命令委任だと考えると、公約を実現できない議員を国民がクビにすることができてしまいます。政治は妥協が必要ですから命令委任ということになると議員は公約が第一になってしまい、公約よりも重要な緊急の事案に対応できなくなってしまいます。
近年では半代表という考え方もあり、自由委任ではあるけれども選挙民の意思にも一定程度拘束されるとしています。
| 国民の最高機関って?
前回でも簡単に書きましたが、国会は国権の最高機関です。
憲法 41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
最高機関というのは単なる名義的なものです。政治的美称とも言われています。国会は国民に直接選ばれていますから、国政の中心的な機関であることを強調しているだけです。
国会が内閣や裁判所よりも立場が上だということではありません。行政府では内閣が最高独立機関ですし、裁判所も司法権の最高独立機関です。
| 唯一の立法機関って?
先ほど書いた憲法41条に書かれています。もう一度書きます。
憲法 41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
ここでの“唯一”には2つの意味があります。
1 国会中心立法の原則
国会以外の機関は立法ができないという意味です。
2 国会単独立法の原則
国会以外の機関の関与がなくても国会の議決だけで立法できるという意味です。
どちらも原則ですから、もちろん例外もあります。
1 国会中心立法の原則の例外
例外として、委任立法(73条)、最高裁判所の規則制定権(77条1項)、地方公共団体の条例制定権(94条)、両議院の規則制定権(58条2項)があります。委任立法は原則に反しそうですが、具体的に法律の内容を指示していれば専門家である行政に法案の作成を委任することができます。
2 国会単独立法の例外
例外として、地方特別法の制定(95条)、内閣の法案提出権があります。内閣の法案提出権は内閣が法案を提出できるという権利で、国会が法律を制定するために必ず内閣が法案を提出しなければいけないというわけではありません。
| まとめ
1 国会は全国民の代表!
2 代表は自由委任!
3 国会以外の立法は原則禁止!