近頃、“働き方改革”というスローガンをよく耳にします。働く人が事情に合わせて柔軟に働く方法を自分で選択できるようにするための改革だそうです。
その中で8時間/日、40時間/週の決まりの例外がいくつか作られることになりました。
今回は、変形労働時間制のうち1年単位の変形労働時間制と1週間単位の非定型的変形労働時間制についてまとめたいと思います。
| 変形労働時間制の概要
変形労働時間制は労働時間の例外です。原則は、8時間/日、40時間/週ですが、繁忙期や閑散期がはっきりしていて時期によって仕事の忙しさが違う会社に採用されやすいようになっています。
変形労働時間制は4種類あります。
1 1か月単位の変形労働時間制
2 フレックスタイム制
3 1年単位の変形労働時間制
4 1週間単位の非定型的変形労働時間制
今回は、1年単位の変形労働時間制と1週間単位の非定型的変形労働時間制についてまとめたいと思います。
| 1年単位の変形労働時間制
1か月単位の変形労働時間制の1年バージョンです。全業種が対象になっていて、会社の規模による制限もありません。
ただし、労使協定で一定の事項を定めて労働局へ届け出る必要があります。
1 対象労働者の範囲
2 対象期間とその起算日
3 特定期間(特に繁忙な時期)
4 対象期間における労働日、労働日ごとの労働時間
5 有効期間の定め
労使協定で“特定期間”を定めますが、この期間では最大12日間まで連続して労働させることができます。また、9時間/日、48時間/週超に設定している期間も特定期間です。特定期間の長さに制限はありません。
対象期間は1か月超1年以内です。週平均の労働時間の上限は40時間になっています。中小企業で48時間/週が適用される会社でも、1年単位の変形労働時間制では40時間になっています。
労働日数の上限は、対象期間が3か月以下の場合には制限がありませんが、対象期間が3か月を超える場合には280日/年が限度です。
また、連続労働日数の限度は6日ですが、特定期間の連続労働日数は1日/週の休日が確保できる日数です。7日間で1日の休みが必要ですから、12日間が最長になります。
週平均労働時間以外の労働時間の上限は、対象期間が3か月以下の場合、10時間/日、52時間/週です。対象期間が3か月を超える場合には、10時間/日、52時間/週に加えて、48時間超の週が連続する場合は3週間以下、かつ、3か月ごとに48時間超の週の初日の日数が3日以下でなければいけません。
| 1週間単位の非定型的変形労働時間制
1週間単位の非定型的変形労働時間制では、業種や会社の規模が決められています。
・常時30人未満 かつ
・小売業、旅館、料理店、飲食店
要件は労使協定で定めて労働局に届出をします。変形期間は1週間で、週所定労働時間の上限は40時間/週です。48時間/週が採用されている会社でも40時間/週が上限です。
労働日数の上限はありませんが、労働時間の上限はあります。40時間/週で、かつ10時間/日が上限です。
変形労働時間制のうち、1週間単位の非定型的変形労働時間制だけ事業の規模と業種が制限されています。
| まとめ
1 特定期間を定めると12日連勤が可能!
2 1年単位の変形労働時間制では労働時間の上限に注意!
3 小規模な飲食店では10時間/日まで設定可能!