近頃は専門サイトまである事故物件。当ブログでも事故物件についていくつか記事を書いてきました。
他にも事故物件に触れた記事を書いています。今回は事故物件を売却する方法について書きたいと思います。
| 事故物件って何?何を告知するの?
事故物件は一概に定義されている言葉ではありません。不動産業界の慣習として、自殺や他殺があった場合は事故物件と言えます。その他では、火災・水害・地震での死亡事故や建物倒壊も事故物件とされます。孤独死、自然死、病死などを含む場合もあります。
法律的な観点からは“心理的瑕疵(しんりてきかし)”と呼ばれています。裁判例では“その物件に居住者の住み心地の良さを欠く心理的な欠陥”を言います。たとえば、自殺や他殺以外にも近隣の暴力団事務所・火葬場・ごみ屋敷などの嫌悪施設が含まれます。
心理的瑕疵のある物件を売却するときには、売主さんは買主さんへ瑕疵の内容を伝える義務があります。売主さんが故意に心理的瑕疵があることを買主さんへ伝えなかった場合、売主さんの告知義務違反として買主さんから損害賠償請求をされてしまうこともあり得ます。
どこまでが事故物件として扱われるのかもあいまいです。時代や地域によっても違いますし、事案によっても異なります。たとえば、東京の都心ど真ん中の賃貸住宅の場合であれば、借主さんが5年前に自殺した物件であっても告知義務がないということもありますし、住民の入れ替わりがほとんどない地方の農村では30年前の殺人事件であっても告知義務が認められることもあります。
また、マンションでは室内での自殺でなくても告知義務が認められることもあります。仲介業者を間に入れた場合には、マンションの隣室での自殺や自宅内での自然死が告知することもあります。
売主さんとして心配なのは、心理的瑕疵を告知すると値引き交渉をされるのではないかということではないでしょうか。
ただ、故意に隠したまま賃貸や売買をして事実が発覚後に損害賠償責任を負うことになるよりも金銭的出捐も心配も減ると思いますので、信頼できる不動産屋に相談することをおすすめします。
| 事故物件の売却方法2つ
事故物件を売却する方法としては、2つの方法があります。これらは事故物件に限ったことではありませんが、それぞれのメリットとデメリットについても書きたいと思います。
1 不動産屋を仲介業者とする場合
不動産屋に相談をして売却の仲介を依頼する場合です。メリットは大きく2つ、デメリットは大きく4つあります。
<メリット>
(1)相場価格での売却を期待できる
仲介業者が間に入る場合には、市場価格から大きくかけ離れた価格での売却はほとんどありません。不動産市場の価格に合わせた価格設定がなされます。仲介業者は売却価格に応じた仲介手数料を貰いますからなるべく高く売りたいと思うのは必然です。売却価格と売却までにかかる期間を考えて価格設定すると思います。ただし、事故物件は一般の相場から安くなりますのでご注意ください。
(2)売出価格を売主さんが決められる
仲介業者は物件の査定をして相場から価格を割り出して提案をしますが、売出価格を決めることができるのは売主さんです。たとえば相場では1500万円の中古戸建住宅を今後の利便性の向上などが見込まれることから2000万円で売り出すこともできます。事故物件は価格交渉が入る可能性が高いですから、最初は強気の価格設定をすることもあります。
<デメリット>
(1)仲介手数料の支払
仲介業者が間に入りますから仲介手数料を支払わなければいけません。取引価格が400万円以上の場合は3%+6万円+消費税です。2000万円で売却した場合は、税込72万6000円です。
(2)売却時期が不明
仲介業者に売却を依頼すると、業者はインターネットで広告をしたり、チラシを配ったり、知り合いの投資家に話を持ち掛けたりして売却に努めます。ただし、いつ売れるのかは分かりません。タイミングが良ければ1か月ほどで売却できることもありますし、タイミングが悪ければ1年経っても売れないこともあります。
(3)内覧への対応
居住中の住宅を売却する場合には内覧のたびに対応しなければいけません。内覧のための物件案内は仲介業者が行うのが通常ですが、内覧のたびに事故物件であることやその理由を説明しなければいけないのは、売主さんにとって心理的な負担になります。
(4)リフォーム費用
事故物件を売却する場合には、現状取引でなければリフォームをする必要があります。価格がいくら安くても事故が起きたそのままの状態では買主さんは現れません。最低でも室内のクリーニングが必要ですし、できましたら傷んできている水回りなどのリフォームをすることをおすすめします。室内をきれいにリフォームするには100~200万円かかることもあります。
2 不動産屋が買主となる場合
不動産屋が買い取りをする場合です。メリットは大きく3つ、デメリットは大きく2つあります。
<メリット>
(1)仲介手数料が不要
不動産業者が買主になる場合には当事者同士の取引ですから仲介手数料が必要ありません。売主さんとして必要になる諸費用をかなり抑えることができます。
(2)リフォームの必要がない
現状有姿のまま買い取りますからリフォームをする必要がありません。リフォーム費用の支払の必要がありませんから、経済的な負担が少なく住みます。
(3)売却が早い
不動産業者が買主になるのですから買主を探す時間が省略できます。買取りが決まってしまえば1か月程度で売却手続きが終了します。
<デメリット>
(1)売却価格が安い
買取は相場価格よりもかなり安い価格になってしまいます。買い取った不動産業者はリフォームをしたり建替えたりして売却をすることで利益を出すのですから、不動産業者の利益分は安くなってしまいます。相場価格の半額程度を覚悟しておいた方がいいかもしれません。
(2)買取できない物件
買取をする不動産業者は転売を前提に購入しますから、需要が見込めない物件を買い取ってもらうことはできません。特に全国ニュースになったような事故物件は買取がほぼ不可能です。
以上、2つの売却方法を挙げましたが、まとめると次のようになります。
仲介:高めで売れるけど時間がかかる
買取:すぐに売れるけど価格は安い
どちらがいいのかは売主さんのお気持ち次第です。不動産業者に事情を説明して相談にのってもらってはいかがでしょうか。
| まとめ
1 事故物件かどうかはあいまい!
2 仲介だと高めで売却可能!?
3 買取だとすぐに売却可能!?