訴訟ができない行政書士の行政事件訴訟法

行政書士の業務内容をご存知の方は少ないかと思います。簡単に言うと、行政書士は主に役所への提出書類作成・相談・代理、権利義務関係の書類作成・相談・代理、事実証明関係の書類作成・相談・代理です。詳しくは“行政書士って何をする人?”をご参照ください。

行政書士の業務には訴訟代理は入っていません。ところが行政書士試験には行政事件訴訟法が出題されます。なぜでしょうか。

 

 

| 行政書士と行政事件訴訟

 

行政書士の仕事は広範ですが、具体的には次のような業務があります。

1 遺言・相続

2 契約書

3 自動車登録

4 日本国籍の取得

5 土地の活用

6 内容証明

7 外国人の雇用(申請取次登録のある行政書士のみ)

8 法人関係手続

9 許認可の申請

10 中小企業の支援

11 著作権の保護

12 電子申請

行政書士の作成できる書類は1万種類以上とも言われていて、一概にコレが行政書士の仕事!と言えないのがつらいところです。

このような行政書士の仕事には訴訟に関するものはありません。しかし、行政書士になるための試験には行政事件訴訟法が出題されます。なぜなのでしょうか。

 

 

| 行政事件訴訟法が出題されるわけ

 

これから述べるのは私アシュラの私見です。行政書士会の公の見解ではありませんし、だれか権威のある人の意見でもありません。その点をご容赦ください。

行政書士が扱う中には行政手続に関する書類が多くあります。たとえば、日本国籍を取得するための帰化許可申請書類、外国人を雇用するための在留資格認定証明書の発行手続書類、都道府県への許認可申請書類、市町村への交付手続書類、警察署への許可・登録申請手続書類など、数え上げればきりがありません。

これらの書類に不備があり、許可がされなかったり登録できなかったりしたときには、行政に対して不服を申し立てます。行政書士の中の“特定行政書士”であれば、行政書士の行った許認可等の申請が認められなかったときに、不服申立ての手続の代理ができます。

不服申立ての手続で行政の裁量範囲内のことを変えることは難しいかもしれませんが、記入内容や期間、手続の形式的な誤りなどを正すことはできると思います。

不服申立ての手続きでも是正されなかった場合には、最終的に訴訟で行政機関と争うことになります。最終手段である訴訟のことを知らなければ、行政への申請等の手続上で致命的なミスをしてしまうかもしれません。コレをやってしまうと訴訟では勝てないというようなミスです。

また、訴訟を念頭に置いた証拠収集をしておく必要もあります。行政官の口頭や文書での文言が大切になることもあれば、対応の一つ一つが間接的な証拠になることもあります。どのような訴訟になるのか、その訴訟ではどのような手続きが行われるのかを知っておくことは、行政書士の危機管理の1つとして必要なことだと思います。

 

 

| 行政事件訴訟法は民事訴訟法が基

 

行政事件訴訟法は短い法律です。全部で46条しかありません。刑事訴訟法が507条、民事訴訟法が405条あるのに比べると、条文数は1/10程度しかありません。これで行政事件のすべてが規定されているのかと言いますと、実はそうではないのです。

行政事件訴訟法には第7条で次のような規定があります。

 

第七条 行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。

 

行政事件訴訟法に書かれていないことは全て民事訴訟法に基づいて処理されるのです。語弊を恐れずに言いますと、行政事件訴訟法に書かれていることは訴訟の類型だけと言ってもいいかもしれません。

行政訴訟の提起の仕方から手続の流れ、証拠の種類や認定方法、口頭弁論の手順や方法など訴訟手続のほとんどは行政事件訴訟法には書かれていません。民事訴訟法に書かれています。

行政書士は行政事件訴訟を担当することはありませんから、訴訟手続きを知る必要はありません。ですから、行政書士試験には、行政書士として知っておくほうが良い行政事件訴訟法は出題されても、知る必要のない民事事件訴訟法は出題されないのです。

民事訴訟法は“民訴”と略されることがありますが、“民訴は眠素”とも言われるほど勉強をするにはつまらない法律です。きちんと勉強すれば面白いと思いますし大切な法律なのですが、大学で履修した民訴はまさしく“眠素”でした。何とかギリギリで単位を貰いましたが…。

 

 

| まとめ

 

1 行政書士は行政不服審査の代理ができます!

2 行政事件訴訟の代理はできません!

3 事件の出口としての行政事件訴訟を知ることは大切!



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