代理のポイント3

宅建士試験で問われるポイントを過去問中心に書いていく第3弾です。今回からは宅建士試験に必須の“代理”です。覚えることが多いところですが、分かってしまえば点数につながります。

下線は過去問に問われたところです。

 

 

| 復代理ってなに?

 

復代理は、代理人がさらに代理人を選んだときのことです。代理人が選ぶ代理人なので復代理といいます。復代理人は代理人を代理するのではなく本人を代理します。ですから、代理人と同一の権限をもっています。復代理人を選任しても代理人の代理権はそのまま残っています。

代理人が復代理人を選ぶときは、任意代理と法定代理で違ってきます。

任意代理では原則として復代理人を選任できません。ただし、本人が許諾したときややむを得ない事由があるときは例外的に復代理人を選任できます。

法定代理では自由に復代理人を選任できます。ただし、復代理人がした行為の結果に対する責任は代理人が全部負わなければいけません。

 

 

| 代理権がないのに代理したら?

 

代理の基本図を再掲します。

 

 

代理権がないのに代理人としてした行為を“無権代理”といいます。無権代理では本人Aに契約の効果は帰属しません。しかし、本人Aが無権代理人の行為を追認すると、はじめに遡って有効な代理行為になります。ただし、第三者の権利を害することはできません。

相手方Cは本人Aに対して追認するかどうかを確答するように催告することができます。期間内に確答がない場合には追認を拒絶したとみなされます。無権代理であることを知らなかった相手方Cは、本人が追認する前であれば契約を取り消すことができます。

追認拒絶があったり契約の取り消しがあったりした場合で、無権代理行為が無効と確定したときは、無権代理人は相手方Cに対して契約を履行するか損害を賠償する責任があります。相手方Cが無権代理であることを知っていたり過失で知らなかったりするときや、無権代理人が制限行為能力者のときは、無権代理人は責任を負いません。

無権代理人の責任を整理します。

1 催告:相手方は善意・悪意にかかわらず催告可

2 取消:善意の相手方のみ取消可

3 責任追及:善意かつ無過失の相手方のみ責任追及可

 

 

| 無権代理と相続

 

無権代理人が本人を単独で相続した場合にはどうすればよいのでしょうか。本人として追認を拒絶することができるのでしょうか。

この場合、判例では追認があった場合と同様に扱うとしています。つまり、無権代理人は契約内容を履行しなければいけません。

逆に、本人が無権代理人を相続した場合はどうなるのでしょうか。無権代理人の責任は免れるのでしょうか。

本人が無権代理人を相続したとしても、契約は当然に有効とはなりません。しかし、無権代理人の地位を相続しますので、無権代理人としての責任は果たさなければいけません。ですから、相手方Cが善意無過失のときには契約を履行するか損害を賠償する必要があります。

 

 

| まとめ

 

1 無権代理は本人に効果帰属なし!

2 相手方は、催告、取消、責任追及が可!

3 無権代理人が本人を相続すると追認と同様!

4 本人が無権代理人を相続すると責任追及されます!



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