労働市場のルールは多種多様 ~その7~

今回のシリーズは労働市場のルールをまとめています。基本法である雇用対策法から始めて高年齢者雇用安定法までをまとめました。

今回は障害者の雇用のルールについてまとめたいと思います。

 

| 障害者雇用促進法

 

近年“障害者”の表記を“障碍者”や“障がい者”とすることがあります。内閣府で検討が行われたりしていろいろな意見があるかと思いますが、障害者雇用促進法では“障害者”となっていますので、この記事では“障害者”と表記します。

さて、障害者雇用促進法は昭和35年に制定された“身体障害者雇用促進法”が元になっています。身体障害者だけでなく障害者全般に雇用の促進政策を拡大することになり、障害者雇用促進法と名前を変えたそうです。

障害者雇用促進法は身体障害者や知的障害者の職業の安定を図っています。たとえば、最近地方自治体などで話題になっている雇用義務、均等な機会と待遇の確保、職業リハビリテーションの措置などがあります。会社などの事業主は身体障害者や知的障碍者の雇入れに努めることになっています。

 

| 障害者の雇用義務

 

労働者を常時雇用する事業所では、身体障害者や知的障害者の数の割合が一定以上でなければなりません。民間事業主の場合には常時50人 45.5人以上の労働者を雇用している場合に限ります。割合は大きく3つに分けられています。特例もあります。(平成30年4月1日に変更になりました。)

・一般の民間事業主      : 2.0% 2.2%

・特殊法人、国、地方公共団体 : 2.3% 2.5%

・教育委員会など       : 2.2% 2.4%

精神障害者については雇用義務が課せられていません。精神障害者保健福祉手帳を持っている精神障害者を雇用すると、身体障害者や知的障害者を雇用しているものとみなされます。

また、労働者の総数を数えるときの短時間労働者は0.5人とします。障害者の数を数えるときは次のように数えます。

・重度身体障害者、重度知的障害者          : 2人

・重度身体障害者、重度知的障害者で短時間労働者   : 1人

・精神障害者                    : 1人

・身体障害者、知的障害者、精神障害者で短時間労働者 : 0.5人

 

| 障害者に対する差別の禁止

 

1 募集・採用での差別の禁止

労働者を募集・採用するときに、障害者に対して障害者でない者と均等な機会を与えなければいけません。

2 賃金・教育訓練などでの差別の禁止

賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などの待遇で、障害者であることを理由として不当な差別的取り扱いをしてはいけません。

3 雇用の分野での均等な機会の確保など

募集や採用の場面で均等な機会の支障となっている事情がある場合に、障害者から申し出があるとその支障となる事情を改善するために障害の特性を配慮しなければいけません。また、障害者の能力の有効な発揮に支障となっている事情がある場合には、障害の特性に配慮した措置をしなければいけません。

もちろん、事業主に過度の負担がかかっていては経済的にもマイナスになります。その場合には免除されます。

4 障害者の意向の尊重など

障害の特性に配慮した措置をする場合には、障害者の意向を十分に尊重しなければいけません。相談や対応のために必要な措置も講じなければいけません。

5 助言や勧告など

上の1~4の規定に必要があるときは、厚生労働大臣が事業主に対して助言や指導、勧告をすることができます。

 

| 調整金の支給と納付金の徴収

 

1 障害者雇用調整金の支給

障害者の雇用での経済的負担の調整や雇用促進・継続のために障害者雇用調整金が支払われます。当分の間、常時100人以下の労働者を雇用している場合には適用されません。

2 障害者雇用納付金の徴収

障害者雇用調整金の支給に必要な費用や事務の費用に充てるために障害者雇用納付金が毎年徴収されます。当分の間、常時100人以下の労働者を雇用している場合には適用されません。

 

| 報告など

 

1 障害者の雇用状況の報告

常時50人以上の労働者を雇用している場合には、毎年6月1日現在の障害者の雇用状況を7月15日までにハローワークへ報告します。

2 障害者の雇入れの計画

厚生労働大臣が必要だと認めるときは、法定雇用率を達成していない事業主に対して、障害者の雇入れに関する計画を作成させて実施に関して勧告ができます。正当な理由なく勧告に従わないときは公表されます。

 

| 紛争の解決

 

1 苦情の自主解決

賃金などの待遇で不当な差別があって障害者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関に苦情の処理を委ねるなどして自主的な解決を図るように努めなければいけません。これは努力義務です。

2 紛争の解決の援助

障害者への差別についての紛争について、都道府県労働局長が当事者から援助を求められたときは、必要な助言や指導、勧告をすることができます。

3 調停

賃金などの待遇についての障害者への差別があって、都道府県労働局長の援助の対象になる紛争については、当事者から調停の申請があったときは、都道府県労働局長は紛争調整委員会に調停をさせます。

 

| まとめ

 

1 障害者雇用促進法では全ての障害者が対象!

2 差別の禁止や意向の尊重が主なルール!

3 障害者を雇用するとハローワークへの報告義務があります!



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