違法行為をする行政書士と士業の役割

| 確定申告書の作成で元行政書士を逮捕

 

税理士資格がないにもかかわらず所得税の確定申告書を作成して逮捕された元行政書士。“元”といいますのも、平成28年に行政書士の資格しか持たないのに税務書類を作成したとして有罪判決(執行猶予付き)を受けていたために、行政書士資格を失っていたようです。

行政書士法では、禁固以上の刑に処せられて3年以内であったり懲戒処分などを受けて3年以内だったりすると、行政書士の登録ができないことになっています。日本行政書士会連合会に登録を拒否されてしまいます。

以前から何度も税務書類を作成していたようですから悪質な事件ですね。執行猶予中の同種の犯罪であれば、今回は実刑判決になるかと思われます。

この事件は業際問題として異なる士業間で大きな争いのある分野ではありませんが、専門家は別として普通は行政書士と税理士のできることをきちんと把握している方は少ないのではないでしょうか。今回は、行政書士やその他の士業の業務のおおよその区別をまとめたいと思います。

 

| 行政書士の業務

 

行政書士は主に官公庁に提出する書類を作成して提出の代行をします。官公庁への提出書類は細かな決まりがあって、仕事の片手間に書類を作ろうとしてもなかなか難しくなっています。代わりに作成や手続きの代行するのが行政書士です。

業務の内容はとても広く、建設業許可や産業廃棄物の許可、開発許可、会社設立、相続・遺言、外国人の出入国関係、契約書の作成などビジネスやプライベートでの書類作成を担っています。

行政書士になるには、行政書士試験に合格するのが一般的です。弁護士、弁理士、公認会計士、税理士資格を有していると、試験を受けずに行政書士に登録することができます。試験は士業の中では易しい部類ですが、国家資格全体では比較的難易度が高いと思われます。

 

| 社会保険労務士の業務

 

社会保険労務士は社会保険、人事・労務管理などを含めて労働者の福祉関連の相談や手続きを行います。労働関係や社会保険のスペシャリストで官公庁に提出する書類の作成・提出代行が主な業務です。独立開業している方もいらっしゃいますが、企業内で活躍されている方も多くいらっしゃいます。

昭和の時代に行政書士から独立した資格です。社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格するのが一般的です。その他には年金事務所などで2年以上労働社会保険関係事務に従事したり講習を受けたりして資格登録をすることができます。

 

| 司法書士の業務

 

司法書士は登記や供託などを主な業務としています。書類を作成し手続きを代行します。登記には土地や建物の不動産登記と会社の商業登記があります。取締役の任期などで商業登記を依頼される会社も多いのではないでしょうか。

これらの業務以外にも、簡易裁判所での訴訟代理や民事調停での代理など裁判所関係で活躍されている方もいらっしゃいます。司法書士事務所で経験を積んでから独立される場合が多いようです。

司法書士になるには、司法書士試験に合格するか、裁判所書記官などを一定期間経験し法務大臣の許可を受ける必要があります。試験は1日で終わりますが、かなり難易度の高い試験です。大学の法学部を卒業したとしても簡単には受からないと言われています。

 

| 弁護士の業務

 

弁護士は裁判での代理人として事実を整理したり交渉を行ったりします。業務の内容は広く、民事事件や刑事事件の訴訟、事件の処理、離婚・交通事故の示談交渉など多くの場面で活躍しています。

法律事務所で経験を積んでから独立したり、そのまま法律事務所内で出世する方などさまざまです。

弁護士になるには司法試験に合格しなければいけません。司法試験の合格は弁護士以外にも裁判官や検察官になるためにも必須です。司法試験を受験するには法科大学院を卒業したり予備試験に合格しなければいけませんし、受験回数や年数にも制限があります。合格後は1年間の修習があります。

 

| 公認会計士の業務

 

公認会計士は企業の会計や税務、財務を監査します。社内の従業員や税理士が実際の会計作業をし、公認会計士はそのチェックを行ったりコンサルタントのような業務を行います。財務諸表の正確性を証明する役割もあります。

大きな企業が顧客で会計監査が主な業務ですから、個人で開業をされている方は比較的少ないと言われています。

公認会計士になるには、公認会計士試験に合格して2年以上の実務経験と実務補修を修了したのちに登録が可能になります。試験自体の難易度が高いですから、公認会計士になるにはかなり大変です。

 

| 税理士の業務

 

税理士は納税などの申告をします。税務書類の作成、税金の申告の代理、税務相談が主な業務で、財務や会計についてアドバイスしたり、税務調査に立ち会ったりします。

公認会計士と違って中小企業が主な顧客です。ですから、経営相談などコンサルティングのような業務を行うこともあります。

税理士事務所で経験を積んでから独立する場合と、そのまま勤務する場合があります。

税理士になるには、税理士試験に合格するか、弁護士や公認会計士資格を持っていて2年以上の会計事務経験が必要です。税理士試験は11科目の中から5科目を選択しますが、年に1科目ずつ受験することが可能です。そうはいっても難易度の高い試験です。

 

| 弁理士の業務

 

弁理士は知的財産を特許や意匠などの権利にするために特許庁への出願を代理します。現在は情報が重要な時代で、知的財産を権利として保護・活用するためにニーズが高まっているといわれています。

法律に関する業務ですが、行政書士・司法書士・弁護士などとは違い、理系の知識が必要な業務です。

弁理士になるには弁理士試験に合格する必要があります。一般には特許事務所や企業で特許などの実務経験を積んでから受験することが多いようです。

 

| まとめ

 

1 行政書士は士業の中でも広範囲な業務!

2 社会保険労務士は労務のスペシャリスト!

3 司法書士は登記が主な業務!

4 弁護士は法律系資格で最難関!

5 公認会計士は会計監査が主な業務!

6 税理士は税務関連の専門家!

7 弁理士は知的財産全般を取り扱います!



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