| 安全衛生教育が必要な危険性や有害性
前回の“安全衛生教育を受けていますか?”で、雇入れ時の教育や関町教育で“危険性”や“有害性”という言葉が出てきました。どんなものが危険でどんなものが有害なのかがピンときませんでしたので、まとめたいと思います。
危険物や有害物に関する規制の中で、製造などの禁止と許可、表示などと文書の交付など、新規化学物質の有害性の調査など労働安全衛生法でのルールがあります。それぞれ一つずつまとめていきます。
| 製造などの禁止と製造の許可
製造が禁止されているものと製造に許可が必要なものを分けてまとめます。
1 製造などの禁止
製造などが禁止されている物質には例として次のようなものがありました。
・黄燐マッチ
・ベンジジン
・石綿
・ベータ-ナフチルアミン
・ベンゼンを5%を超えて含有するゴムのり
私、文系ですのでベータナフタチルアミンンという物質がどのようなものかさっぱりわかりません。インターネットで調べてみると、染料を作る中で生成される中間体でどうやら発がん性があるといわれているようです。
これらの物質は労働者に重度の健康障害を生じさせるものとして、製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されています。
ただし、例外として試験研究の場合には製造・輸入・使用ができるようになっています。その場合には、都道府県の労働局長の許可を取り、厚生労働大臣が定める基準に従って製造・使用しなければいけません。
2 製造の許可
製造が許可制になっている物質には例として次のようなものがありました。
・ジクロルベンジジン
・アルファ-ナフチルアミン
・塩素化ビフェニル
・ジアニシジン
・ベリリウム及びその化合物
ここにも知らない物質がたくさん出てきました。インターネットで調べてみました。
ジクロルベンジジンは、顔料の中間体で印刷用インクなどに用いられるそうです。色素沈着をしたり、皮膚からの吸収で中毒の恐れがあるそうです。
塩素化ビフェニルはポリ塩素化ビフェニルとも呼ばれていて、装置を一定の温度に保持するための熱媒体として使われていたそうです。昔、食用油脂に入り込んで中毒症状が出た事件(カネミ油症事件)のあとに使用が規制されたそうです。
ジアニシジンは医薬品や染料中間体として使用されるもののようです。人への影響は詳しくはわかっていないそうですが、皮膚に触れると皮膚炎をおこすそうです。
ベリリウムは、理科の授業で覚えた“スイ・ヘイ・リー・ベ”の“ベ(Be)”ですね。軽い金属で、戦闘機や核兵器に使われているそうです。ベリリウムは慢性ベリリウム症という肺の機能を妨げる病気の原因になります。発がん性があるともいわれています。
これらの物質も労働者に重度の健康障害を生じさせるおそれのある物質として、製造には厚生労働大臣の許可が必要です。
| 表示などと文書の交付など
1 表示など
爆発性・発火性・引火性の物質、労働者に危険を生じさせるおそれのある物質、労働者に健康障害を生じさせるおそれのある物質で政令で定められたもの、製造許可対象物が対象になります。
これらを譲渡や提供するときには、原則として容器に入れたり包装したりしなければいけません。また、容器や包装に一定の事項を表示することになっています。
例外として、一般消費者の生活のためのものは表示の必要がありません。
表示するべき事項は次のとおりです。
・名称
・人体に及ぼす作用
・貯蔵、取り扱い上の注意
・表示をする者の氏名、住所、電話番号
・注意喚起の文言
・安定性と反応性
・注意を喚起するための標章
2 文書の交付など
労働者に危険・健康障害を生じさせるおそれのある物質で政令で定められているもの、製造許可対象物が対象になります。
これらを譲渡・提供する場合には、文書の交付などの方法で一定事項を相手方に通知しなければいけません。こちらにも例外があり、一般消費者の生活のためのものは通知の必要がありません。
文書で通知する内容は次のとおりです。
・名称
・成分とその含有量
・物理的、化学的性質
・人体に及ぼす作用
・貯蔵、取り扱い上の注意
・流出その他の事故がおきた場合の応急の措置
・通知を行う者の氏名、住所、電話番号
・危険性、有害性の要約
・安定性と反応性
・適用される法令
・その他参考となる事項
表示などが義務付けれている物質よりもこちらの方が記載する内容が多いですね。
| まとめ
1 危険物や有害物は多種多様!
2 安全衛生教育だけでなく表示や文書での通知も!
3 表示や文書は一般消費者の生活用なら不要!