| 障害者への差別禁止と雇用義務
障害者の雇用を促進するために“障害者雇用促進法”があります。大きく3つの政策があります。1つめは“障害者への差別の禁止”、2つめは“障害者の雇用義務”、3つめは“障害者雇用調整金”と“障害者雇用納付金”です。
1 障害者への差別の禁止
障害者に対して、募集・採用の場面で障害者でない者と均等な機会を与えなければいけません。
また、障害者であることを理由として、賃金の決定・教育訓練の実施・福利厚生施設の利用などの待遇面で、障害者でない者と不当な差別的取り扱いを射てはいけません。
ポイントは、募集・採用、賃金・教育訓練・福利厚生などの待遇です。
2 障害者でない者との均等な機会の確保などを図るための措置
・募集・採用
均等な機会確保の支障になっている事情を改善するために、障害者からの申出がある場合には障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければいけません。
・待遇
均等な待遇確保のため、または能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために、障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置などの必要な措置を講じなければいけません。
ただし、募集・採用面でも待遇面でも、事業主に過重な負担になるときには義務ではありません。個人事業主や零細企業にとってはかなりの負担になりそうですね。
3 障害者の雇用義務
一般的な事業主と国・地方公共団体ではルールが違います。ここでは一般的な事業主だけをまとめたいと思います。
・雇用する障害者の人数
身体障害者・知的障害者の人数が、【従業員数×障害者雇用率】以上でなければいけません。ただし、1人未満の端数は切り捨てます。
・障害者雇用率
一般事業主で2% 2.2%、特殊法人で2.3% 国・地方公共団体で2.5%、教育委員会で2.4%です(平成30年4月1日引き上げ)。
・身体障害者・知的障害者の数え方
重度身体障害者・重度知的障害者 → 2人分
重度身体障害者・重度知的障害者のうち短時間労働者 → 1人分
精神障害者 → 1人分
身体障害者・知的障害者・精神障碍者のうち短時間労働者 → 0.5人分
・障害者雇用推進者
一般事業主の場合は常時50人 45.5人以上、特殊法人の場合は常時43.5人以上雇用する事業主は障害者雇用推進者を選任するようにしなければいけません。これは義務ではなく、“努力義務”です。
・雇用の報告
一般事業主の場合は常時50人 45.5人以上、特殊法人の場合は常時43.5人以上雇用する事業主は、毎年6月1日現在の身体障害者・知的障害者・精神障害者の雇用状況を、7月15日までにハローワークに報告しなければいけません。
・解雇の届出
一般事業主と特殊法人の事業主は、障害者を解雇するときは速やかにハローワークに届けなければいけません。ただし、労働者の責めに帰すべき理由による解雇の場合や天災等のやむをえない事情によって事業を続けられなくなった時の解雇の場合には、届出は不要です。
| 障害者雇用調整金と障害者雇用納付金
1 障害者雇用調整金
常時101人以上雇用している事業主が法定雇用率を“達成している”場合には、月額27,000円/人の調整金をもらえます。
2 障害者雇用納付金
常時101人以上雇用している事業主が法定雇用率を“達成していない”場合には、月額50,000円/人を不足する人数分徴収されます。ただし、200人以下の労働者を雇用する場合には、平成32年3月31日まで月額40,000円/人に減額されます。
| 障害者を雇用した時の助成金
障害者を雇用した時の助成金は各種あります。厚生労働省のサイトに一覧がありますので、詳しくはそちらをご覧ください。
1 特定求職者雇用開発助成金
・特定就職困難者コース
ハローワークなどの紹介で障害者を雇用する事業主への助成金
・発達障害者、難治性疾患患者雇用開発コース
ハローワークの紹介などで発達障害者などを継続雇用して雇用管理を把握・報告する事業主への助成金
・障害者初回雇用コース
初めて障害者を雇用する事業主への助成金
2 トライアル雇用助成金
障害者トライアルコース、障害者短時間トライアルコースがあります。
3 障害者雇用安定助成金
・障害者職場適応援助コース
職場適応援助者が必要な障害者のために支援計画に基づいて職場適応援助者による支援をする事業主への助成金
・障碍者雇用安定助成金
計画作成、5人以上の雇用などの条件を満たし、施設・設備を設置・整備する中小企業主への助成金
これらの他にも様々な助成金があります。障害者を雇用される事業主の方は一度サイトをご覧になって、当てはまる助成金がないかを探してみてください。
| まとめ
1 障害者の雇用は義務!
2 比較的大きな会社が法定雇用率以下なら納付金があります!
3 障害者を雇用すると様々な助成金が貰えるかも!?