| スマイスターの調査結果
スマイスターを運営するリビン・テクノロジーズ株式会社は、スマイスターを利用した20歳以上の男女(全国150人)を対象に“不動産売買時に必要な用語”の認知調査を行いました。
スマイスターはあまりなじみがないかもしれませんが、不動産の売買やリノベーションの比較査定サイトです。不動産の売却相場や全国の不動産会社の検索などをすることができます。
調査対象の用語は24個。たとえば、レインズ、区分所有、任意売却、重説、危険負担、リバースモーゲージなどに日常生活の会話には登場しない言葉がたくさん挙げられています。“内容まで知っている”、“聞いたことがある”、“知らない”の3つの分類で調査が行われました。
その中から認知度の高かったもの、認知度の低かったものをピックアップしたいと思います。
| 認知度の高かった不動産用語
認知度の高かった不動産用語を1位から5位まで取り上げます。
1位 買取(認知度37%)
言葉そのままですが、不動産業者が売主さんから不動産を買い取り、買主さんへ売却することです。不動産業者は買い取った後リフォームやリノベーションをして売却することがあります。売却のリスクはありますが、付加価値を付けて高く売ることで不動産業者は利益を上げることができます。
2位 市街化区域・市街化調整区域(認知度27%)
都市計画によって定められた区域区分です。
市街化区域は市街地やおおよそ10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域をいいます。市街化区域には、第1種住居地域とか第2種中高層住居専用地域などの用途地域が定められています。
市街化調整区域は、市街化区域の逆で、市街化しないようにする区域です。市街化調整区域には規制が多くあり住宅を建てるために宅地にする行為などは難しくなっています。
3位 元金均等・元利均等(認知度23%)
住宅ローンの返済方法として使われています。元金均等返済は、借りた元金を毎期均等に返済していく方法です。返済額は最初には多くなりますが、支払終わるころにはかなり少なくなっています。
元利均等返済は、元金と利息の返済額を調整して毎期の支払金額が均等になるようにした返済方法です。毎期同じ金額を返済すればいいのですが、元金均等返済に比べて返済総額は多くなります。通常の住宅ローンはこちらになります。
4位 区分所有(認知度22%)
一棟の建物が構造上・利用上の独立性をもって各部分が構成されている場合に、各部分の所有を区分所有と言います。
言葉で説明するとややこしいですが、イメージしやすいのは分譲マンションの各戸です。1棟のマンションが十数戸から数百戸に分かれていますが、構造上も利用上も独立しています。区分所有法によって規制されています。
5位 リノベーション(認知度22%)
増築、改装、模様替え、設備の取換えなどの工事を総称してリノベーションと呼ばれています。リフォームとの違いはあいまいで、ほぼ同義で使ったり大規模なリフォームをリノベーションと言ったりされています。
本来は、マイナス状態を元に戻すことをリフォーム、新築状態よりもプラスにすることをリノベーションと言うようです。具体的には、壁紙の張り替えはリフォーム、仕切り壁をなくして間取を変えるのはリノベーションですね。
| 認知度の低かった不動産用語
1位 インスペクション(認知度4%)
住宅インスペクション、ホームインスペクション、住宅診断などとも言われます。中古住宅の構造の安全性や劣化状況を検査・調査することです。国土交通省では“既存住宅インスペクション・ガイドライン”を公表しています。
すべての内容は書ききれませんのでかいつまみますと、目視や計測で建物の歪みや雨漏りなどの劣化を把握するため、検査を行う者には一定の資格や実務経験が求められ、客観性や中立性の確保や守秘義務などが課せられます。
宅建業者は中古住宅の媒介契約時には書面で検査実施の斡旋に関する事項を記載しなければいけませんし、宅建業者の行う重要事項説明では実施の有無や結果の概要を説明しなければいけません。
2位 スケルトン・インフィル(認知度4%)
これ、一般的な仲介業者ではほとんど使わない用語だと思います。私も知らなかったので調べてみました。建物の骨組み(構造躯体)に比べて耐久性の劣る設備(配管を含む)の修理・交換を簡単にできるようにした構造を採用した方式のことだそうです。
たとえば、配管が壁の中を通っていると交換をするときに壁をはがさなければいけませんし、土中に埋まっている場合は掘り返さなければいけません。費用も時間もかかります。これを簡単にできるように、マンションでは配管を共用部分に設けるなどの方策がとられたものがスケルトン・インフィルと呼ばれています。
3位 リースバック(認知度5%)
不動産を売却して、買主さんからその不動産を賃貸する方法です。不動産を現金化しながらそのまま使い続けることができるのがメリットです。
私は業務で扱ったことなく書物の中でしかしりませんが、住宅ローンが支払えなくなった場合の任意整理などに用いられる方法です。
4位 レインズ(認知度6%)
指定流通機構が運営するコンピュータ上の不動産の情報交換の場です。不動産の仲介業者でレインズを知らない者はいないと言っていいです。
不動産屋はレインズで情報を仕入れてお客さんに紹介します。もちろん各営業マンが足で物件を探し出してきたり大家さんから直接賃借人を探すように依頼されたりすることもありますが、そのような物件は流通量としては少ないと思います。
また、仲介業者は、専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結したときには必ずレインズに物件情報を掲載する必要があります。
5位 危険負担(認知度9%)
民法上に規定のある制度で、債権者や債務者に落ち度がなく損害が発生したときに誰がその損害を被るのかを定めたルールです。
たとえば、中古の家の売買契約を結んだけれど、引渡の前に落雷で家が燃えてなくなってしまったような場合です。現行の民法では買主さんが損害を被ります。つまり、家の引き渡しはされないけれど家の代金は支払わなければならないということになります。通常は売買契約で修正されて所有権の移転時期を決済時にして調整をすることが多いです。
平成32年施行の改正民法ではこのルール(債権者が危険を負担するという規定)は削除されています。
| まとめ
1 認知度が最も高い“買取”でも37%しか知らない!
2 インスペクションの認知度はたった4%!
3 不動産業者でもあまり知らない用語も!?