| 防火地域や準防火地域の防火性能
市街地には、火災の拡大を防止するために建物を燃えにくい建材で作るよう指定された地域があります。防火地域、準防火地域、法22条指定区域の3つがあります。
1 防火地域
駅の周辺など街の中心部で主に商業地域が指定されることが多いです。
3階以上で延べ面積100㎡を超える建物は耐火建築物でなければいけません。その他の建物は耐火建築物または準耐火建築物でなければいけません。
2 準防火地域
防火地域の外側で、比較的防火上重要な地域が指定されることが多いです。
4階以上、1500㎡を超える大規模な建物は耐火建築物、500~1500㎡の建物は耐火建築物または準耐火建築物でなければいけません。3階以上の建物は耐火建築物、準耐火建築物、技術的基準適合建築物のいずれかでなければなりません。
3 法22条指定区域
準防火地域の外側の地域が指定されることが多いです。
屋根を準不燃性能、外壁で延焼のおそれのある部分を準防火性能のある構造でなければいけません。
防火地域、準防火地域、法22条指定区域以外でも大規模木造建築物は一定の規制があります。
| 玄関ドアや窓は延焼のおそれのある開口部
耐火建築物や準耐火建築物は、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に遮煙性能のある防火設備が必要です。外壁の開口部というのは玄関ドアや窓ですね。延焼のおそれのある部分は分からなかったので調べてみますと、原則として隣地との境界線や道路の中心線から1階で3m以下、2階以上で5m以下の部分をいうそうです。
玄関ドアや窓はどの住宅にもありますから、防火地域や準防火地域にあって対象となる建物は玄関ドアや窓が遮煙性能のある防火設備でなければいけません。
以前に問題になったのは、窓の部分のサッシです。国内のサッシメーカーの団体であるカーテンウォール・防火開口部協会がすべての防火サッシを書面のみで防火認定品と認定していました。
ところが、平成22年にこれらの防火サッシの防火性能が国土交通省の基準を満たさないことが分かりました。協会の審査が無茶苦茶だったのです。
そこで、2014年からは、製品ごとに個別に試験を受けて大臣の認定を取得した防火サッシに切り替えることが義務付けられました。平成26年以降に取り付けられたサッシは防火性能があることになります。
この防火サッシ、遮煙性能はどれだけ効果があるのでしょうか。火事になると時間が経つごとに温度が上がり、1時間後で900℃以上、3時間後で約1200℃になるそうです。防火サッシの耐熱温度は勉強不足で存じ上げませんが、一般に窓ガラスの溶ける温度は800~1000℃といわれています。
そうすると、火事になるとサッシは大丈夫でも窓ガラスが溶けてしまいます。窓ガラスが溶けてしまうとサッシに遮煙性能があっても意味がありませんよね。それでも防火サッシの基準を採用しているということは、私の知らないことがあるのでしょう。勉強しなければ…。
| 防火戸はどうなの?
窓については先ほどのとおりですが、ドアについてはどうなのでしょうか。カーテンウォール・防火開口部協会のサイトを見てみますとお知らせがありました。
平成31年4月1日から、ビルの防火戸も防火サッシと同じように個別に試験を受けることになるようです。来年4月以降にアパートを建てようと思っておられる方は、サッシだけでなく防火戸についても個別認定品が使われているのか十分に注意してください。
| まとめ
1 延焼防止のために防火地域、準防火地域などがあります!
2 防火サッシが防火じゃなかった事件発生!
3 共同住宅では窓だけでなく防火戸も個別認定品を!