| 空き家を取り巻く状況
国土交通省によりますと、平成25年10月1日現在で全国の住宅数は約6063万戸、空き家は約820万戸で、空き家率は13.5%だそうです。駅から1㎞以内で簡易な手入れで利用可能な空き家は約48万戸。利用できない主な理由は耐震性がなかったり不朽・破損していたりするからです。
空き家になってしまう要因は、人口の減少や高齢化だけでなく、世帯数やその構成の変化、中古住宅の流通システムとされています。
世帯数は平成2年から22年までの20年間で約1100万世帯増えていて約27%増です。このうち単独世帯数は700万世帯増えていて約78%増です。世帯数は確実に増加していますので住宅の需要が増えそうですが、空き家率も上がっています。
この理由は、駅から近く相対的に広い家が好まれる結果、狭く老朽化した住宅や駅から遠い住宅が敬遠されているからだと考えられています。
この1~2年で中古住宅診断(インスペクション)がもてはやされていますが、中古住宅の構造の良しあしは分かりにくいですし、新築住宅に比べて購入する勇気が必要です。
また、不動産業界に蔓延していた“囲い込み”という慣行があります。“囲い込み”は(専属)専任媒介を受けた業者が物件の問い合わせを断り仲介手数料を多く得ようとする行為です。
このような中古住宅の流通を阻害する要因があるのも事実です。
| 空き家を解体するメリット
空き家が多くなると、地震などでの倒壊で周辺地域に防災安全上の問題が発生しやすくなります。また、手入れのされていない空き家は景観上の問題もあります。さらに、木造住宅では放火の危険性が大きくなります。空き家にはこのような弊害があるとされています。
空き家を解体することで弊害を取り除き、安全できれいな街づくりができるようになります。
また、行政から強制執行されたり、固定資産税の軽減措置を受けられなくなったりする可能性もあります。対象となる空き家は、1年以上人の出入りがないまま不適切な状態で放置された住宅です。空き家が行政から“特定空家等”に指定されると強制執行がされたり、固定資産税の軽減措置の対象から外れたりしてしまうのです。
空き家を解体して更地にすると、老朽化した住宅が建ったままの土地よりも高額でかつスムーズに売却ができる傾向にあります。相続財産の整理をお考えの方は更地にして売却することをおすすめします。
| 空き家を解体するデメリット
土地の上の住宅がなくなると固定資産税と都市計画税の軽減措置が受けられなくなります。固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍に跳ね上がります。
空家の解体費用もかかりますし、建物の売却や賃貸もできなくなります。中には、思い出の家がなくなってしまうことに不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。
解体費用は地域や立地条件によって異なりますが、おおむね木造住宅で4万円/坪、鉄筋コンクリート造で6万円/坪と言われています。延べ床面積30坪の木造住宅でしたら約120万円かかります。これに加えて、廃材や残置物の産業廃棄物処理費用などがかかってきます。木造住宅の解体には100~200万円の負担を覚悟しなければいけません。
| メリットとデメリットの比較検討
あなたにとってメリットとデメリットのどちらが大きいでしょうか?将来に売却を考えているのでしたら解体費用以上の売却価格の上昇が見込めますし、建物を壊してしまえば放火や倒壊による責任を回避できます。
人が住まなくなって空き家になると急速に家が傷みます。いずれ解体するおつもりでしたら、早めに解体して売却することをおすすめします。
| まとめ
1 世帯数は増えてるのに空き家率も上昇!
2 利便性が良く築浅なら中古物件として売却することも!
3 老朽化した住宅は解体して土地を売却するのがおすすめ!