| 空き家のデメリット
近年、空き家のデメリットが叫ばれています。例えば、景観や治安の悪化、資産価値の低下、税金の高額課税、社会経済的損失などがあります。
これまでブログでは社会的な損失を書いてきました。“都市がスポンジになる!?”、“空き家対策に本気!?”、“所有者不明の土地に利用権設定!”をご参照ください。
今回は趣向を変えまして治安について書きたいと思います。
| 空き家と治安悪化の関係性
“割れ窓理論”をご存知でしょうか?軽い犯罪も徹底的に取り締まることで治安が良くなるという理論です。この理論は“建物の窓が割れているのを放置すると誰も地域に関心がないというサインになって犯罪を起こしやすい環境になる”という前提から始まります。ここから割れ窓理論という名前がつけられました。
地域の空家率と犯罪率の相関関係は多くのサイトで紹介されていますので結論だけを書きます。
2008年頃の東京23区では、おおよそですが犯罪発生率:空家率=2:1の相関関係があります。空き家率10%増えれば犯罪発生率が20%増えるということです。かなり高い割合ですね。
| 空き家を使う犯罪
空き家を利用する犯罪は数種類あります。放火や不法侵入は納得しやすいですが、意外な犯罪にも使われています。
1 空き家で大麻を大量に栽培
平成26年には外国人と日本人のグループが空き家を使って大麻を大量に栽培していたニュースが流れました。3軒の民家を大麻工場に改造していたようです。また平成27年にも外国人2人組が同様の手口で逮捕されています。
2 EC(電子商取引)詐欺に利用
インターネットでの通信販売を利用されている方は多いと思います。そして支払いにクレジットカードを利用している方も多いと思います。ということは、“ネット通販でクレジットカード決済”という手口を使って詐欺を働く人たちが現れます。平成27年には不正に取得したクレジットカードの番号などを使ってネット通販で家電製品を購入し換金する犯罪グループの手口が明らかになりました。商品の受け取りは空き家や空き室で行います。もちろん、本人は受け取りません。この事件では犯罪グループの一員から依頼された別の女性が家電製品を受け取っていました。女性に支払われた報酬は日給1万2千円だったそうです。近隣の住民による通報で警察の捜査が行われた事件でした。
| 空き家への進入手口
空き家を利用するには玄関などの鍵を開けなければいけません。以前は窓を割って侵入したり鍵を壊したりしていましたが、最近は違う手口を使っているようです。
賃貸や売却の依頼のある空き家では、不動産業者がお客さんを案内するときのためにキーボックスが設置されていることがあります。
このキーボックスに目を付けたのが犯罪者たちです。不動産業者の閲覧する専用サイト“レインズ”などに不正アクセスし、そこに記入されているキーボックスの保管場所や暗証番号の情報を入手するのです。この内覧用の鍵はオレオレ詐欺や架空請求詐欺にも悪用されたことが分かっています。
このような犯罪を予防するために、最近はレインズの情報にキーボックスの暗証番号を記入する業者はほとんどいなくなりました。ただ、書いていなくても不動産業者に成りすましてキーボックスの暗証番号を聞き出すということも考えられます。そこで、犯罪を未然に防ぐためにも内覧時は売主さん側の不動産業者が同行することがかなり増えてきました。不動産業者も空き家を悪用する犯罪を黙って見過ごしてはいません。いろいろな対策を講じているのです。
| 8軒に1軒が空き家
総務省によりますと、約6000万戸の住宅のうち800万戸以上が空き家になっています。8軒に1軒以上が空き家なのです。
このような状況下で、警察庁は現金や商品の受け取り役の検挙に力を注いでいます。平成27年には前年比で7倍近い244人を逮捕しました。警視庁は、空き家を悪用させない対策として、空き家のドアにステッカーを張り付けて宅配業者に空き家だと分かるようにする事業を始めています。
不動産業者、宅配業者、警察、地域住民が連携して、空き家を犯罪に悪用されないよう対策を講じなければいけない世の中になっています。みなさまも近隣の治安が悪化しないためにも空き家が犯罪に使われていないか注意してくださいね。
| まとめ
1 空き家にはデメリットがたくさん!
2 空き家は犯罪者のターゲット!
3 空き家の鍵を使わせない対策を!