| 貧困ビジネスの多様化
貧困ビジネスというとどのようなイメージをお持ちでしょうか?生活保護受給者を集めて狭い部屋に何人も押し込め、生活保護費を回収してわずかしか渡さない。そんなイメージでしょうか。
そのほかにも、実は色々なパターンがあります。
いま流行っているものはニートの社会復帰・自立支援を目的に連れ出して寮に入れるだけで数百万円を請求するケース。さらに労働研修という名目で賃金をピンハネします。
そのほかには、生活保護受給者の医療費が無料であることを利用して、受給者を通院させて薬を過剰に出してもらいそれを転売するというケース。C型肝炎の新薬でニュースになりました。
昔からあるものとして闇金や資格商法などさまざまな貧困ビジネスがあります。現在では貧困ビジネスが多様化し、生活保護費を支給する行政では統制が取れないようになってきています。
| 貧困ビジネス対策
行政も手をこまねいているだけではありません。大阪市では生活保護の適正化の一環としていろいろと貧困ビジネス対策を講じています。
敷金や礼金がゼロ円の物件なのに敷金・礼金を請求するケースへの不支給、“無料低額宿泊事業”への立ち入り検査、敷金上限額の引き下げ、布団類(被服費)の現物給付など手を打ってはいます。しかし、この程度ではニートの社会復帰のケースや薬の過剰取得のケースに対応できていません。
大阪市のVISAプリペイドカードでの生活保護費支給制度もすぐに終わってしまいました。建前上は不便さからの利用者数の低迷となっていますが、裏ではプリペイドカードの換金を防げないことがあったのではないでしょうか。
行政の対応が後手に回るのは仕方のないことですが、新たな制度ができるたびに貧困ビジネスが跋扈するような事態を招くことは避けてもらいたいところです。
| 新たな住宅セーフティ制度
このような状況下で、平成29年10月25日に新しい住宅セーフティ制度が始まります。
内容は主に空き家の活用なのですが、大家さんへの住宅改修補助や家賃補助がメインになります。原則として25㎡以上の居住面積、水回り設備の設置、家賃が相場であることなどの条件を満たした住宅を登録することで補助を受けることができます。家賃補助には借主さんの条件があり、高齢者・障碍者、低額所得者、被災者、外国人などとなっています。
ここで貧困ビジネスがターゲットとするのは高齢者・障碍者、低額所得者でしょう。低額所得者には生活保護受給者も含まれますから、大家を偽ったり結託したりして生活保護費をピンハネすることもできます。また、高齢者や障碍者のホームレスに対して、住宅を用意したり生活保護費を受けられたりすることをエサに集めることもできるでしょう。安かろう悪かろうのサービスを提供する業者が新たに現れるかもしれません。
住宅セーフティ制度は立派なものですが、貧困ビジネスへの効果的な対応ができていないうちに手厚い保護を先行させても悪用されるだけではないでしょうか。しっかりとした対策を同時に講じる必要があると思われます。
| 登録申請などの行政書士の仕事
新しい公的な制度が実施されると行政書士の仕事の幅が広がります。
この制度の中で、行政書士は“セーフティネット住宅の登録申請”、“居住支援法人の指定申請”、“家賃債務保証業者の登録申請”、“補助金申請”など多くの業務を扱うことができます。事前相談や調査、役所との連絡・調整、書類の清書など書類作成業務全般を担う行政書士がさまざまな側面から支援ができます。
空き家にお困りの方は行政書士に相談してみてはいかがでしょうか?不動産屋を併設している当事務所ではこのようなご相談を得意としています。お気軽にお電話ください。
| まとめ
1 貧困ビジネスはニートや難病の患者さんもターゲットに!
2 貧困ビジネスへの効果的な対策はなされていません!
3 新たな住宅セーフティ制度が発足!
4 空き家でお困りなら不動産に強い行政書士に相談を!