大家さん注意!違法な行為!?

| 民法改正で賃貸借が変わる!

 

平成29年6月2日に改正民法が公布されました。施行は公布日から3年以内ですから、遅くとも平成32年6月2日までには施行されます。

賃貸借契約では、この民法改正で注意しなければいけない部分があります。

1 敷金の明文化!

2 修繕依頼への対応!

3 連帯保証人の保護!

これらを順番に書いていきます。

 

 

| 敷金の明文化!

 

現行の民法では敷金に関する条文はありませんでした。そのため、退去時に借主が負う原状回復義務(修繕義務)についてトラブルが多く、裁判例の蓄積によって解決が図られてきました。

そこで、民法改正では敷金について明文化されることになりました。新設された改正民法622条の2は敷金を次のように定義しています。

「敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下略)」

相変わらず法律の文言は分かりにくいですね。要するに、賃料などの不払いがあったときに補填するためのお金のことです。いままで敷金として扱ってきたお金を敷金と定義しただけですね。

この規定は任意規定ですので、契約で排除することができます。この条文の意味は、敷金について大家さんや借主さんにしっかりと意識してもらうだけになるでしょう。大家さんとしては契約書にしっかりと明記しておくことが必要です。

ちなみに、関西でよく使われている“保証金”は規定されませんでした。改正民法に書かれていないので契約書にきっちり書いておきましょう。

 

 

| 修繕依頼への対応!

 

改正民法では、借主さんに修繕権が認められました。修繕権は、借主さんが大家さんに代わって部屋の修繕をすることができる権利です。かかった費用は大家さんへ請求できます。

修繕権が認められるのは次のような場合です。

1 借主さんなどが大家さんへ修繕の必要があると連絡したときから相当の期間内に大家さんが修繕をしないとき

2 大家さんが修繕の必要があると知ったときから相当の期間内に大家さんが修繕をしないとき

3 修繕をしなければならない差し迫った事情があるとき

たとえば、エアコンが壊れてから借主さんが勝手に直したというような場面です。

ただし、借主さんの責任で修理することになったときには、大家さんは責任を負いません。ですから、大家さんの防御策としては修理が必要になった事情や修理の必要性を借主さんに確認する必要があります。

大家さんは、このような場合にすぐに対応するようにしておかなければ高額な修理費を請求される可能性がありますから、注意してくださいね。

また、“相当の期間”がどのくらいの期間かは明示されていません。裁判例の蓄積が必要です。

 

 

| 連帯保証人の保護!

 

賃貸借契約をするときには大家さんは借主さんに連帯保証人を求めると思います。連帯保証人から大家さんへ、“借主さんが賃料を滞納していないか”“あったとしたらどのくらいあるのか”などの問い合わせがあったときは、大家さんはこれらの情報を答えなければなりません。

また、“期限の利益喪失”があった場合に遅延損害金が減額される可能性があります。期限の利益喪失とは、簡単にいいますと、分割払いのときに1回でも滞納があると残金を一括で支払いなさいというものです。期限の利益が喪失したときは2カ月以内に連帯保証人へ連絡をしなければなりません。これをしないと、期限の利益を失ってから連絡をするまでの間の遅延損害金を請求できなくなります。

さらに、連帯保証人が個人のときには根保証の上限額を明示しなければいけません。家賃〇〇ヵ月分のような取り決めはダメで、“契約時の家賃”〇〇ヵ月分というようにはっきりと金額が分かるようにする必要があります。これがないと保証契約が無効になって、連帯保証人に請求できなくなります。

最近の賃貸借契約では保証会社がよく使われますが、保証会社に加えて個人の連帯保証人を求めるときには注意が必要です。

 

 

| まとめ

 

1 改正民法での注意点は3つ!

2 敷金は契約書できっちりと明記しましょう!

3 借主さんの修繕権には要注意!

4 連帯保証人の保護が厚い!



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