国土交通省の広報によりますと、全国の市町村の多くは空き家対策として空家等対策計画を策定しています。おおよそ80%の市町村で空家対策契約が策定されていますし、おおよそ54%の市町村で法定協議会が設置されています。
また、国税庁では相続した空き家を売却した時の譲渡所得税の控除の特例を作っています。
今回は、譲渡所得税の特例について書きたいと思います。
| どんな家が対象?
譲渡所得税は不動産を売買(譲渡)したときにかかってくる税金で、所得税の仲間です。譲渡所得税は購入時の費用などが分からない場合には結構高額な金額になります。
たとえば、父母が10年以上住んでいたマイホームを相続した場合で、相続後すぐに1000万円で売却できたけれども購入金額が分からない場合には、約142万円もの譲渡所得税がかかってしまいます。
所有期間が5~10年でマイホーム特例を受けられない場合には約203万円。所有期間が5年以下の場合には、なんと約396万円もの譲渡所得税がかかってしまいます。
すごい金額ですよね。でも安心してください。この譲渡所得税が減税される特例があるんです。
次の3つの要件をすべて満たす家の場合には特例を受けられる可能性があります。
(1)昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
(2)区分所有建物登記がされている建物でないこと。
(3)相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
| 譲渡所得税の計算方法は?
どのような計算で何が控除されるのでしょうか。
譲渡所得税の計算式は次のとおりです。
譲渡所得=収入金額-取得費-譲渡費用
「取得費」は、たとえば次のようなものがあります。
・購入代金、建築代金
・購入時の税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税等)
・仲介手数料
・測量費、整地費、建物解体費
・設備費、改良費
「譲渡費用」には次のようなものがあります。
・仲介手数料
・印紙税
・借家人に支払った立退料
・建物解体費
上の式で計算をした譲渡所得から3,000万円を控除できるのが今回ご紹介する特例です。
| どんな場合に控除があるの?
相続関連の譲渡所得税の控除は、最初で書いた3つの要件をすべて満たしたうえで、下にある4つの条件をすべて満たした場合には譲渡所得税が控除されます。
(1)売った人が、相続または遺贈により「被相続人居住用家屋」および「被相続人居住用家屋の敷地等」を取得したこと。
(2)次のイまたはロの売却をしたこと。
イ 相続または遺贈により取得した「被相続人居住用家屋」を売るか、被相続人居住用家屋とともに「被相続人居住用家屋の敷地等」を売ること。
ただし、「被相続人居住用家屋」は次の2つの要件に当てはまることが必要で、「被相続人居住用家屋の敷地等」は次の(イ)の要件に当てはまることが必要です。
(イ) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。
(ロ) 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。
ロ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に「被相続人居住用家屋の敷地等」を売ること。
ただし、「被相続人居住用家屋」は次の(イ)の要件に当てはまることが必要で、「被相続人居住用家屋の敷地等」は次の(ロ)および(ハ)の要件に当てはまることが必要です。
(イ) 相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。
(ロ) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。
(ハ) 取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。
(3)相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(4)売却代金が1億円以下であること。
要件がややこしいですが、簡単にしますと次のとおりです。
(1)相続した人が家や土地を売ったこと
(2)亡くなった方がずっと住んでいた家であること
(3)一定の耐震基準を満たす家であること
(4)解体した場合には解体後に何か建物が建てられなかったこと
(5)亡くなってから3年以内に売却すること
(6)売却代金が1億円以下であること
もっと簡単にしますと、「ご両親がずっと住んでいた家を相続して、3年以内に1億円以下で売ったこと」が要件です。
3年以内というのがネックになりそうですが、意外に当てはまる方が多いのではないでしょうか。相続不動産を売却するなら早めがお得かも!?
| まとめ
1 相続した空き家の売却で税金が控除!
2 相続してから3年以内に売却すると適用!
3 控除額は3,000万円!