親が亡くなって遺産を相続することになった場合、相続人で遺産を分け合います。遺産には分けやすいものだけでなく、不動産などの分けにくいものもあります。これらをどうするか、だれがどれだけ相続するかを決めるのが遺産分割協議です。
では、遺産分割協議の書面、遺産分割協議書を自分で作るにはどうしたらいいのでしょうか。
前回からの続きです。
| 戸籍謄本の読み方
1 現在戸籍謄本
戸籍謄本は現在戸籍であればとても読みやすいです。どこに何が書いてあるのかは一目瞭然です。
ここでは「従前戸籍」の記載部分を探してください。
見本の戸籍謄本では、「婚姻」部分の一番下に「従前戸籍」があります。
戸籍を収集するときには、この「従前戸籍」の市区町村役場に除籍謄本・改製原戸籍謄本の交付請求をすることになります。市の合併や町名の変更などで本籍の表示が今は存在しない古い市町村名であっても、戸籍交付請求書にはそのまま書いてOKです。
北区太郎さんの場合、亡くなった本人以外の謄本はこの謄本だけでOKです。
2 除籍謄本
現在戸籍の一つ前の戸籍は「除籍謄本」か「改製原戸籍謄本」です。ここでは該当者の上段の記載内容をよく読んでください。
この見本では印字されているのでとても読みやすいです。改製原戸籍謄本の場合には手書きなので、文字の巧拙によっては読みにくい場合もあります。
見本の内容を読んでみると、義太郎さんは昭和25年5月15日に東京都北区で生まれています。昭和60年10月25日に婚姻しています。そして、平成15年10月5日に亡くなっています。
この間がつながっていれば、ひとまずOKです。
次に戸籍の冒頭部分を見ます。
見本では、昭和60年10月25日の婚姻を機に新戸籍が作られたことが分かります。また、本籍の市区町村が変わっていないので、以前の本籍は書かれていません。婚姻を機に本籍の市区町村が変わる場合には、「〇〇市××町△△より…」などと記載があります。
本籍の市区町村が変わっている場合には、婚姻前の戸籍を収集するために以前の本籍のある市区町村に戸籍謄本の交付を請求します。
この除籍謄本では、お子さんの啓太郎さんが婚姻して除籍になっていますので、啓太郎さんの現在戸籍を取得する必要があります。婚姻後の本籍地のある市区町村に現在戸籍謄本を交付請求します。
3 改製原戸籍謄本
改製原戸籍謄本の解読が最も難関です。手書きですので何と書いてあるのか分かりにくい、印刷の文字がつぶれていて読めない…など壁がいくつも立ちはだかることがあります。
見本は印字されていますのでとても読みやすいです。除籍謄本と同じように読んで、冒頭部分に以前の本籍が書いてあれば、さらに戸籍謄本の交付請求をします。
この戸籍の場合には、筆頭者の北田二郎さんの現在戸籍を取得する必要がありますが、最初に取得しているはずなので省略します。
今回は戸籍謄本の読み方を書きました。
出生から死亡までののすべての謄本を集めるには、いくつかの市区町村役場に戸籍を交付請求することになります。どこの市区町村役場に交付請求かは、現在戸籍の場合と改製原戸籍の場合で記載箇所が異なりますので注意してください。
相続人になるご家族の現在戸籍の収集も同時に行っていください。
長くなりましたので、続きは次回以降に書きたいと思います。まだ先は長いです…
| まとめ
1 現在戸籍は「従前戸籍」を探す!
2 除籍と改製原戸籍は冒頭部分に注目!
3 相続人の戸籍も同時に収集!