近頃は地方の不動産が無料で譲渡されることが増えてきたようです。いわゆる0円物件です。専門のサイトまであります。
譲り渡したい人の悩みは様々です。誰も住まなくなった家を相続したから賃貸しようにも全く借り手がいない、相続した家を売りたくても売れないといった場合、“タダでもいいから手放したい”と思われる方もいらっしゃいます。
ちょっと待ってください。不動産を貰われる方には意外と費用がかかるんです。
| 田舎生活なら無料物件!?
都心部を除いて、年々不動産の価値は下がってきています。不動産をタダで譲らなければいけなくなる前に売却してしまうのがよさそうです。
どうしても売れなければ更地にすると買主さんが見つかるかもしれません。不動産屋に相談してみると解決方法が見つかる可能性があります。
このような状況は、売主さんには厳しい状況です。しかし、田舎に住みたい人にとってはうれしい傾向です。
多くの方には当てはまらないでしょうが、“定年退職後に物価の安い土地で庭いじりをしながら暮らしたい”とか“電話やインターネットで仕事ができる自由業だからどこに住んでもかまわない”という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、個人間での売買にはご注意ください。タダで不動産を譲りたいといった場合には、土地・建物だけでなく、地域や親族・近隣関係などに何らかの問題があるかもしれません。不動産屋の仲介があれば調査を任せることができますので、時間や手間を惜しむ方や自信がない方には不動産屋の仲介をおすすめします。
| 無料物件を譲り受けても税金がかかる!?
不動産を無料で譲り渡す場合、譲り渡す人には基本的に費用は掛かりません。ただ、契約内容によっては譲り渡す人が一定の費用を負担することもあります。
逆に、譲り受けた人には様々な費用がかかります。いくつか挙げてみましょう。
1 登記費用
登記費用には、印紙代、登録免許税、司法書士の報酬があります。
(1)印紙税
印紙代は200円。これは大したことありませんね。
(2)登録免許税
登録免許税は、土地・建物の評価額の2%です。売買には軽減措置がありますが、0円での贈与の場合には原則どおり2%の登録免許税が必要です。
(3)司法書士の報酬
司法書士の代行手数料はおおよそ5万円前後ではないでしょうか。詳しくは司法書士にお尋ねください。
2 税金
税金には、贈与税、不動産取得税、固定資産税・都市計画税があります。
(1)贈与税
贈与税は、次の計算式を使います。
税額 = 課税価格 × 税率 − 控除額
課税価格は贈与財産価格から110万円を減額した金額です。たとえば、固定資産税評価額が300万円の土地建物を譲り受けた場合、300万円-110万円=190万円が課税価格になります。課税価格200万円以下の税率は10%ですので、19万円が贈与税として課税されます。
詳しくは税務署や税理士にお尋ねください。
(2)不動産取得税
不動産取得税は固定資産税評価額の4%、土地や住宅であれば特例で3%です。また、宅地は固定資産税評価額の1/2で評価されます。その他、新築住宅と敷地の税額軽減、認定長期優良住宅の税額軽減、中古住宅と敷地の税額軽減などがあります。詳しくは税務署や税理士にお尋ねください。
不動産取得税は、譲り受けて登記をした後、半年から1年くらいで市役所から届く「納税通知書」で支払います。納期は都道府県によって異なります。
(3)固定資産税・都市計画税
毎年固定資産税と都市計画税がかかります。計算は次の式を使います。
固定資産税額 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 1.4%
都市計画税額 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 0.3%
これらは市町村が独自に税率を定めますので、地域によって異なります。また、固定資産税評価額は、毎年5月頃に送られてくる固定資産税通知書に記載されています。いくらになるかは売主から固定資産税通知書の写しを貰って確認してください。
また、譲り受けた日を境に固定資産税・都市計画税を日割り計算して清算します。譲り受けた人にとっては出費になります。
3 その他
登記費用や税金以外にも、前の持ち主が残した残置物がある場合には処理費用がかかります。どれだけの量なのかにもよりますが、一軒家でおおよそ30~50万円かかると思います。
また、家の傷み方次第ではリフォーム費用がかかったりします。キッチンや浴室、トイレなどの設備を入れ替えると100万円単位の出費になります。床や屋根の大規模な修理となると、状態によっては数百万円かかるかもしれません。
0円物件は出費なしで不動産が手に入るわけではありません。不動産を譲り受けるときは譲り受けるときの費用、譲り受けた後の費用にご注意ください。
| まとめ
1 田舎の不動産が0円で取引!?
2 譲り受ける人は別途費用がかかります!
3 ボロ家をリフォームしたら数百万円!?