少し前に“自分で遺言を書くときの注意点8つ”という記事を書きました。申し訳ございません!足りないことがありました。ご容赦ください。
今回は以前の記事の足りない部分を補足として書きたいと思います。
| 自筆証書遺言の基本ルール5つ
1 すべて自筆で書くこと
自筆証書遺言はその名のとおり“すべてを自筆で書く”必要があります。遺言書の本文は当然ですが、日付、署名もすべて自筆です。
ただ、2019年1月に施行された改正民法で、財産目録はパソコンで作ったり通帳のコピーで代用したりすることができるようになりました。その代わりに自筆ではないすべてのページに署名と押印が必要です。
2 署名と押印をすること
氏名はかならず自筆でなければいけません。ペンネームなどの個人を特定できる名前でも大丈夫ですが、戸籍にある氏名を書いた方が無難です。
また、ハンコも必ず押します。実印である必要はなく、100円ショップの認印でも大丈夫です。
3 日付を書くこと
“2022年12月吉日”のような書き方はダメです。きちんと“2022年12月9日”のように年・月・日を書いてください。もちろん自筆です。
4 訂正は指定の方式を守ること
書き間違えた場合には訂正をすることができます。この訂正にも厳格なルールがあります。訂正方法が分かりにくいですので、訂正や追加があるときは書き直した方が無難です。
5 遺言の内容は具体的に書くこと
“軽井沢の別荘を長女花子に相続させる”などのあいまいな書き方はダメです。不動産の場合には財産目録に登記簿謄本のとおりの“所在”“地番”“地積”“地目”“家屋番号”“種類”“構造”などを書きます。面倒であれば登記簿謄本のコピーに署名・押印をしてもOKです。
| 押印は認印でもいいけれど…
自筆証書遺言に使うハンコは認印でも大丈夫です。100円ショップで売っているハンコでもかまいません。ハンコを押してあることが大切なのです。
18年位前にハンコの代わりに“花押”を書いた遺言書の有効性が争われました。長く争われていたようですが、6年位前に最高裁判決が出されています。
“花押”は署名の代わりに使用される図案です。日本では昔から利用されていましたが、現在では閣議の署名に使われているくらいでしょうか。日常的に使われているわけではありません。
この花押をめぐって争われた裁判では、“花押を書くことは印章による押印とは異なる”ことから“印章による押印に代えて押印を書くことによって文章を完成させるという慣行ないし法意識が存在するものとは認め難い”として、“花押を書くことは、印象による押印と同視することはできず、民法968条1項の押印の要件を満たさない”と判断されました。
自筆証書遺言でハンコを押さなければいけない場合には、安い認印でも構いませんが、花押を書いてもハンコと同じように扱われません。花押を書く人はほとんどいないでしょうけれども、ご注意ください。
| まとめ
1 自筆証書遺言には厳しいルールがあります!
2 遺言は具体的に自筆で書く必要があります!
3 日付は年月日を正確に、ハンコも忘れず押印!