新型コロナウイルス感染症の影響で経済が低迷してから早1年半が経ちました。地域経済はまだまだ底のように思います。特に、飲食店、エステ・ネイル・理美容などの美容関連、個人タクシーなどではかなり苦しい状況だと思います。オーナーの方はもちろんのことですが、従業員の方も給与が大幅に減って苦しいのではないでしょうか。
今回は前回に引き続き、借り入れの返済が厳しくなった方の債務整理について書きたいと思います。
| 個人再生と破産の違い
破産と聞くととても大層なことのように感じます。実際に破産をすると社会生活でさまざまな不利益を被ります。そうは言っても、借り入れの返済が厳しくなってきた方にとっては、現状よりもマシだと思われるのかもしれません。
破産以外にも、借り入れの返済が楽になる方法があります。以前の記事でも紹介しましたが、任意整理と個人再生です。簡単に書きますと、任意整理は、金融機関と話をして利息を減額したり返済スケジュールを変更したりする方法です。個人再生は、裁判所が間に入って再生計画を作成する方法です。
では、個人再生と破産では何が違うのでしょうか。
破産をする場合には、原則としてすべての借り入れが免責になります。その代わりに自由財産を除いたすべての財産の処分が必要です。
他方、個人再生は全額を免除されることはありませんので、一部での返済を続ける必要があります。しかし、借入金の総額にもよりますが、返済額が1/5や1/10といった具合に大幅に減額されます。また、住宅ローンを支払い中の自宅を処分する必要もありません。
個人再生のメリットデメリットは以下の記事でご紹介しています。
| 具体的な違いの一覧
破産と個人再生の主な違いを並べてみます。
1 債務の免除の違い
(1)破産:原則として全額免除
(2)個人再生:一部の免除のみ
2 財産の処分の違い
(1)破産:財産の処分が必要
(2)個人再生:財産の処分が要件ではない
3 住宅ローンの残る自宅の処分の違い
(1)破産:自宅の売却が必要
(2)個人再生:住宅ローンは免除にならない反面、自宅の売却が不要
4 資格の制限の違い
(1)破産:資格制限(資格登録の取消、免許の取消など)がある
(2)個人再生:資格制限がない
5 郵便物の転送の違い
(1)破産:免責まで郵便物が破産管財人に転送される
(2)個人再生:郵便物は転送されない
6 借り入れ理由の影響の違い
(1)破産:借り入れ理由によっては免責されない
(2)個人再生:減額に借り入れ理由は無関係
7 手続きの違い
(1)破産:破産管財人が実施
(2)個人再生:本人または弁護士などの資格者が実施
このように並べてみると、破産と個人再生はかなり違うように見えます。個人再生では、減額された借り入れを返済し続けることで、社会復帰を容易にしようとしているように思います。債務整理の検討の順番としては、(1)任意整理、(2)個人再生(給与所得者等再生)、(3)個人再生(小規模個人再生)、(4)破産、になると思います。
債務整理が少しでも頭に浮かびましたら、ぜひ専門家にご相談ください。
| まとめ
1 債務整理の方法によって内容が違う!
2 個人再生は社会復帰が比較的ラク!
3 債務整理は専門家に相談を!