新型コロナウイルス感染症の影響で経済が低迷してから早1年半が経ちました。地域経済はまだまだ底のように思います。特に、飲食店、エステ・ネイル・理美容などの美容関連、個人タクシーなどではかなり苦しい状況だと思います。オーナーの方はもちろんのことですが、従業員の方も給与が大幅に減って苦しいのではないでしょうか。
今回は前回に引き続き、借り入れの返済が厳しくなった方の債務整理について書きたいと思います。
| 個人再生の手続き
個人再生の手続きは複雑で難しいと言われています。ですので、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが勧められています。名古屋地方裁判所のQ&Aには次のような記述があります。
(以下、名古屋地方裁判所のサイトから引用)
5.弁護士を頼まずに手続を進めることはできますか。
個人再生手続は,申立人が主体となって手続を進めていかなければならない制度です。
給与所得者であっても,小規模個人再生手続を利用できるので,どちらの手続を選択するかによって,また,申立書の作成の仕方によっても,あなたにとって有利になったり,不利になったりすることがあります。
また,申立書のほか,財産目録,清算価値算出シート,可処分所得額算出シート,財産状況等報告書,再生計画案,返済総額算出シートなど,複雑でたくさんの書類を裁判所が定めた期間内に提出する必要があり,それができないとそれまでの手続がすべて無駄になることもあります。
更に,債権者に対してどのように弁済していくかという再生計画案も,本人の責任で作成することになります。
裁判所の窓口では,手続説明はできますが,これらの書面の作成に関してのアドバイスをすることはできません。
一般的に,弁護士に依頼をせずに,本人で日常の仕事に従事しながら,個人再生の申立手続を遂行していくことは,実際には相当難しいと思われますので,破産,調停,個人再生手続(「小規模個人再生手続」,「給与所得者等再生手続」のどちらを選択するか),弁護士による任意整理,のどの手続を選択するかも含めて弁護士会の相談窓口や司法書士などに相談したり,書類作成のアドバイスを求めることをお勧めします。
なお,弁護士を代理人として選任しない場合は,原則として,個人再生委員を選任して手続を進めますが,個人再生委員はあなたの代理人ではなく,中立・公平な立場の人です。個人再生委員の主な職務内容は,申立人と面接して収支や財産の状況を確認したり,申立人が再生計画案を作成するに際し,助言を行うことなどのほか,申立人にとっては不利になる事実(再生手続進行を認めるべきでない事情等)が判明した場合には,裁判所に報告することになっています。したがって,書類の作成自体は,あくまでもあなたが主体となって行わなければなりませんので,個人再生委員が選任されても,当初自分が期待していた手続結果には至らない可能性があります。
(以上、名古屋地方裁判所のサイトから引用)
実際の個人再生の手続きの流れは次のようになっています。
1 弁護士や司法書士に相談(省略可)
2 弁護士や司法書士に依頼
3 取引額から融資額を確定
4 (必要な場合)過払い金請求
5 申立書類の準備・作成
6 個人再生の申し立て
7 (必要な場合)個人再生委員の選任
8 履行テストの開始
9 個人再生委員との面談
10 個人再生手続き開始の決定
11 金融業者による債権の届出
12 債権認否一覧表、報告書の提出
13 再生計画案の提出
14-1(小規模個人再生の場合)債権者による議決
14-2(給与所得者等再生の場合)債権者への意見聴取
15-1再生計画の廃止、不認可の決定
15-2認可決定の確定
16 再生計画に基づく返済の開始
17 返済完了(残債免除)
このように、個人再生の手続きは複雑です。融資額の確定(上限利率での計算のやり直し)や書類の作成、個人再生委員との面談など、仕事をしながら片手間にできるほど簡単ではないようです。
長くなりましたので、続きは次回以降に書きたいと思います。
| まとめ
1 個人再生は専門家への依頼が無難!
2 裁判所のサイトに詳しい説明がある!
3 個人再生の手続きは複雑で提出書類が多い!