法定相続人の確定のやり方 その8~戸籍で追う まとめ~

相続の中でも面倒くさい“遺産分割協議書の作成”。数回にわたって手順を書きました。しかし、内容としてかなり省略した部分があります。法定相続人の確定についての部分です。かなり細かくなりますので文章量のバランスがおかしくなってしまったからです。

今回も引き続き以前に省略した法定相続人の確定のやり方を書きたいと思います。

 

 

| 法定相続人の行方を追う ~まとめ~

 

何度かの記事に分けて法定相続人を確定する方法を書いてきました。長くなってしまいましたので、まとめたいと思います。

最初に遺産分割協議書の作成に必要な書類をまとめておきます。

(1)亡くなった方の除籍謄本、改製原戸籍、(現行)戸籍謄本(出生から亡くなるまで)

(2)亡くなった方の住民票の除票と戸籍の附票

(3)相続人全員の(現行)戸籍謄本

(4)相続人全員の印鑑証明書(+実印)

(5)金融機関の残高証明書や分割する財産の一覧

 

 

| 取得する戸籍謄本などのまとめ

 

法定相続人が誰なのかによって取得する戸籍謄本が異なります。効率的に戸籍謄本を取得する順番も考えてみます。

法定相続人のパターンは次のとおりです。

1 配偶者とお子さん(直系卑属)

2 配偶者とご両親(直系尊属)

3 配偶者とご兄弟

4 配偶者のみ

5 お子さん(直系卑属)のみ

6 ご両親(直系尊属)のみ

7 ご兄弟のみ

8 甥・姪がいる場合(ご兄弟に関する代襲相続)

これらに分けて書いていきます。

1 法定相続人が配偶者とお子さん(直系卑属)の場合

(1)最初に取得する戸籍謄本

<亡くなった方の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍など>

配偶者とお子さんがいらっしゃることを確認します。

(2)2番目に取得する戸籍謄本

<配偶者とお子さんの(現行)戸籍謄本>

配偶者とお子さんのご存命を確認します。

2 法定相続人が配偶者とご両親(直系尊属)の場合

(1)最初に取得する戸籍謄本

<亡くなった方の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍など>

配偶者がいらっしゃることとお子さんがいらっしゃらないことを確認します。

(2)2番目に取得する戸籍謄本

<ご両親の改正原戸籍・(現行)戸籍謄本・除籍謄本>

ご両親がご存命であることを確認します。もし亡くなられている場合に備えて除籍謄本の交付も申請しておきます。

(3)3番目に取得する戸籍謄本

<配偶者の(現行)戸籍謄本>

配偶者がご存命であることを確認します。

3 法定相続人が配偶者とご兄弟の場合

(1)最初に取得する戸籍謄本

<亡くなった方の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍など>

配偶者がいらっしゃることとお子さんがいらっしゃらないことを確認します。

(2)2番目に取得する戸籍謄本

<ご両親の出生から死亡までの改正原戸籍・除籍謄本>

ご両親が亡くなられていること、ご兄弟の本籍を確認します。ご存命の場合に備えて(現行)戸籍謄本の交付も申請しておきます。

(3)3番目に取得する戸籍謄本

<兄弟姉妹の改正原戸籍・(現行)戸籍謄本・除籍謄本>

ご兄弟がご存命であることを確認します。もし亡くなられている場合に備えて除籍謄本の交付も申請しておきます。

(4)4番目に取得する戸籍謄本

<配偶者の(現行)戸籍謄本>

配偶者がご存命であることを確認します。

4 法定相続人が配偶者だけの場合

(1)最初に取得する戸籍謄本

<亡くなった方の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍など>

配偶者がいらっしゃることとお子さんがいらっしゃらないことを確認します。

(2)2番目に取得する戸籍謄本

<ご両親の出生から死亡までの改正原戸籍・除籍謄本>

ご両親が亡くなられていること、ご兄弟がいらっしゃらないことを確認します。ご存命の場合に備えて(現行)戸籍謄本の交付も申請しておきます。

(3)3番目に取得する戸籍謄本

<配偶者の(現行)戸籍謄本>

配偶者がご存命であることを確認します。

5 法定相続人がお子さんだけの場合

(1)最初に取得する戸籍謄本

<亡くなった方の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍など>

配偶者が亡くなられていることまたは離婚していること、お子さんがいらっしゃることを確認します。

(2)2番目に取得する戸籍謄本

<お子さんの(現行)戸籍謄本>

お子さんがご存命であることを確認します。

6 法定相続人がご両親だけの場合

(1)最初に取得する戸籍謄本

<亡くなった方の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍など>

配偶者が亡くなられていることまたは離婚していること、お子さんがいらっしゃらないことを確認します。

(2)2番目に取得する戸籍謄本

<ご両親の改正原戸籍・(現行)戸籍謄本・除籍謄本>

ご両親がご存命であることを確認します。もし亡くなられている場合に備えて除籍謄本の交付も申請しておきます。

7 法定相続人がご兄弟だけの場合

(1)最初に取得する戸籍謄本

<亡くなった方の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍など>

配偶者が亡くなられていることまたは離婚されていること、お子さんがいらっしゃらないことを確認します。

(2)2番目に取得する戸籍謄本

<ご両親の出生から死亡までの改正原戸籍・除籍謄本>

ご両親が亡くなられていること、ご兄弟がいらっしゃることおよび本籍を確認します。ご存命の場合に備えて(現行)戸籍謄本の交付も申請しておきます。

(3)3番目に取得する戸籍謄本

<兄弟姉妹の改正原戸籍・(現行)戸籍謄本・除籍謄本>

ご兄弟がご存命であることを確認します。もし亡くなられている場合に備えて除籍謄本の交付も申請しておきます。

8 法定相続人に甥・姪がいる場合(ご兄弟に関する代襲相続)

(1)最初に取得する戸籍謄本

<亡くなった方の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍など>

配偶者が亡くなられていることまたは離婚されていること、お子さんがいらっしゃらないことを確認します。

(2)2番目に取得する戸籍謄本

<ご両親の出生から死亡までの改正原戸籍・除籍謄本>

ご両親が亡くなられていること、ご兄弟の本籍を確認します。ご存命の場合に備えて(現行)戸籍謄本の交付も申請しておきます。

(3)3番目に取得する戸籍謄本

<兄弟姉妹の出生から死亡までの改正原戸籍・除籍謄本・(現行)戸籍謄本>

ご兄弟が亡くなられていること、ご兄弟にお子さんがいらっしゃることおよび本籍を確認します。ご存命の場合に備えて(現行)戸籍謄本の交付も申請しておきます。

(4)4番目に取得する戸籍謄本

<甥・姪の改正原戸籍・(現行)戸籍謄本・除籍謄本>

甥御さんや姪御さんがご存命であることを確認します。もし亡くなられている場合に備えて除籍謄本の交付も申請しておきます。

 

 

| まとめ

 

1 最初は亡くなった方の戸籍を収集!

2 次に配偶者やお子さんの有無を確認!

3 場合によってはご両親やご兄弟のご生存を確認!



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