宅建士試験の振り返り(2020年度12月)問35・36

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

今回から2020年12月試験の問題を振り返ってみたいと思います。今回は宅地建物取引業法の続きです。

 

 

| 2020年12月試験 宅建業法

 

引き続き宅建業法を振り返ります。受験をされなかった方はインターネット上で問題を探してみてください。

1 問35 正解肢3

契約書面(37条書面)に関する問題です。個数問題です。

肢ア 売買契約の記名押印

宅地建物取引士の主な業務の1つに契約書面への記名押印があります。契約書面の交付は宅建業者の義務です。記名押印した宅建士以外が交付しても差し支えありません。

肢イ 賃貸借契約の引渡時期など

賃貸借契約では、契約書に賃借権設定登記の時期の記載は必要ありません。時期に関しては、宅地・建物の引渡し時期と移転登記の申請の時期の2つだけです。そもそも借地借家法上、賃借権の対抗要件は引渡ですから、賃借権の設定登記をすることはほとんどありません。

肢ウ 売買契約の天災など

天災などによる損害の負担の定めがあるときは、契約書面に記載しなければいけません。

肢エ 定期賃貸借契約と37条書面

契約書面への宅建士の記名押印と契約書面の交付は、契約当事者が宅建業者であっても省略できません。

2 問36 正解肢3

宅建業者の守秘義務に関する問題です。守秘義務の例外は4つあります。(1)法律上の告知義務、(2)取引の相手方に真実を告げなければいけない場合、(3)依頼者本人の承諾、(4)他の法令に基づく資料として提供する場合、です。

肢1 依頼者本人の承諾

依頼者本人の承諾がある場合には、依頼者の秘密を相手方に告げることができます。

肢2 宅建業廃業後の秘密保持

業務上知りえた秘密は、たとえ宅建業者を廃業した後であっても守秘義務の対象になります。

肢3 裁判の証人としての証言

裁判の証人として証言する場合は真実を告げることができます。

肢4 法律上の告知義務

法律上の告知義務がある場合には真実を告げなければいけません。たとえば、心理的瑕疵(自殺・火災など)に関することです。

 

 

| まとめ

 

1 契約書への記名押印は宅建士の主たる業務!

2 宅建業者の守秘義務の例外は4つ!

3 廃業後も守秘義務は継続!



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